Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

外科コンサルトした患者のアウトカム

2019年10月15日 | 消化器・血液
Briggs A, Handzel RM, Kutcher ME, et al.
Predisposed to failure? The challenge of rescue in the medical intensive care unit.
J Trauma Acute Care Surg. 2019 Oct;87(4):774-781. PMID: 31233441.


アメリカのある内科系ICUで外科コンサルトが必要になった911例について後ろ向きに検討。186例で実際に手術が施行され、死亡率は37%。64例でダメージコントロール的手技、死亡率46%。26例は外科介入が適応となる病態だったが、何らかの理由で施行されず、死亡率100%。

数年前、ある患者さんが突然ショックとなり、明らかな外科手術の適応のある病態が見つかり、夜間に外科コンサルトしたところ、外科医と麻酔医から術中死の可能性があるという理由で拒否された。その患者さんは、もちろん翌日死亡した。

今度同じことがあったら、この数字を見せてあげようと思う。
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Ventilator-Free Daysの再評価

2019年10月14日 | EBM関連
Yehya N, Harhay MO, Curley MAQ, et al.
Reappraisal of Ventilator-Free Days in Critical Care Research.
Am J Respir Crit Care Med. 2019 Oct 1;200(7):828-836. PMID: 31034248.


これまで何度か取り上げた話題。
この文献はもうちょっと踏み込んで、統計学的な評価や提案をしてくれている。

ちょっと、そろそろ、という感じがしてきましたね。
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PCR陽性でβDグルカンが高値ならPCPと診断していいか?

2019年10月09日 | 感染
Morjaria S, Frame J, Franco-Garcia A, et al.
Clinical Performance of (1,3) Beta-D Glucan for the Diagnosis of Pneumocystis Pneumonia (PCP) in Cancer Patients Tested With PCP Polymerase Chain Reaction.
Clin Infect Dis. 2019 Sep 27;69(8):1303-1309. PMID: 30561560.


おお。こういうのを待っていた。HIVじゃないPCPの情報って少ないもんね。
Introductionにも、
To date, there are no studies evaluating the accuracy of BDG when combined with PCP PCR in a large cancer-patient population.
と書いてある。

結果は臨床で普段感じているのと同じで、例えばPCR陽性でBDが著明高値なら陽性予測値は100%(Nが40と少ないけど)。なので目新しいとは言えないのだけど、普段の臨床が保証された感じがして、ちょっと嬉しかったです。
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テンプレート変更。

2019年10月07日 | ひとりごと
やっとこさ、涼しくなってきましたな。
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深層学習による低酸素脳症の予後予測

2019年10月06日 | AI・機械学習
Tjepkema-Cloostermans MC, da Silva Lourenço C, Ruijter BJ, et al.
Outcome Prediction in Postanoxic Coma With Deep Learning.
Crit Care Med. 2019 Oct;47(10):1424-1432. PMID: 31162190.


画像や病理の影に隠れてあまり話題になっていない気もするけれど、脳波は機械学習が得意そうな分野だ。特にICUで持続モニタリングするときって、誰もが異常を診断できるわけではないし、でもきっと情報量は多いし。

現状では世界中のICUの中で持続脳波が導入されているところ、さらにはちゃんと利用されているところは限られていると思うけど、将来的には、AIがいろいろ教えてくれる持続脳波が普通にICUで使われるようになるかも。
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慈恵ICU勉強会 190924

2019年10月05日 | ICU勉強会
9月24日 反応のない患者の脳活動の検出(JC-NEJM)

確かにとっても大事な話ではある。
遅れて回復してくるかもしれない患者さんの治療がwithdrawされてしまうのは問題だし、将来的には四肢が動かなくてもコミュニケーションが取れるようになるかもしれないし。

でも、どうしてNEJMなのかは、結局よく分からなかった。
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ESICM2019

2019年10月04日 | その他
JAMAからメールが一回来た以外は気がつかなかった。
今年は少なめか?
そうでもないか?

Effect of Selepressin vs Placebo on Ventilator- and Vasopressor-Free Days in Patients With Septic Shock: The SEPSIS-ACT Randomized Clinical Trial
Pierre-Francois Laterre, MD; Scott M. Berry, PhD; Allan Blemings, MS; et al.


Effect of Postextubation High-Flow Nasal Oxygen With Noninvasive Ventilation vs High-Flow Nasal Oxygen Alone on Reintubation Among Patients at High Risk of Extubation Failure: A Randomized Clinical Trial
Arnaud W. Thille, MD, PhD; Grégoire Muller, MD; Arnaud Gacouin, MD; et al.


Changes in End-of-Life Practices in European Intensive Care Units From 1999 to 2016
Charles L. Sprung, MD; Bara Ricou, MD; Christiane S. Hartog, MD; et al.


これ以外に、今週のNEJMに出たやつもESICMで発表されたと聞いたので、載せておく。

Targeted Temperature Management for Cardiac Arrest with Nonshockable Rhythm
Jean-Baptiste Lascarrou, M.D., Hamid Merdji, M.D., Ph.D., Amélie Le Gouge, M.Sc., et al., for the CRICS-TRIGGERSEP Group.


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PICCでVolumeViewを使うと、

2019年10月03日 | 循環
D'Arrigo S, Sandroni C, Cacciola S, et al.
Are Peripherally Inserted Central Catheters Suitable for Cardiac Output Assessment With Transpulmonary Thermodilution?
Crit Care Med. 2019 Oct ;47(10): 1356-1361. PMID: 31356470.


PICCから水を注入してVolumeViewをキャリブレすると心係数が高め(平均で3.3 vs. 4.5Lなので結構デカイ)に出るよ、という研究。

簡単には、注入した水の温度が上がってしまうかららしい。
へー、知りませんでした。
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高濃度酸素はSSIを予防するか

2019年10月02日 | その他
今月のオロジーにこの話題についての文章が二つ出ていた。

Hedenstierna G, Meyhoff CS, Perchiazzi G, et al.
Modification of the World Health Organization Global Guidelines for Prevention of Surgical Site Infection Is Needed.
Anesthesiology. 2019 Jun 20. [Epub ahead of print] PMID: 31246605.

WHOのガイドラインでは推奨されているけど、それは違うでしょ、という意見。

Hovaguimian F, Elia N, Tramèr MR.
Supplemental Oxygen and the Risk of Surgical Site Infection: Evidence of Compromised Data Requires Correction of Previously Published Meta-analysis.
Anesthesiology. 2019 Jul 19. [Epub ahead of print] PMID: 31343461.

過去のメタ解析ではretractされた研究が含まれているので、やり直したら有意差がなくなった、というレター。

この件は、いろいろな視点というか要素があると思う。
メタ解析はあくまで仮説を生む行為であるとされているけど、ガイドラインではメタ解析の結果が推奨を決定するのって面白いねとか、
同じ主題に対するメタ解析が複数あると結果が違うことがあるのってちょっと変とか、
研究でズルをするとガイドラインの推奨にも影響を与えうるとか、
ガイドラインの推奨って鵜呑みにするんじゃなくて、自分で評価しないとねとか、
いろいろ。

SSIと周術期の酸素って20年くらいの歴史がある話で、しかもメジャー雑誌(一番多いのはJAMAじゃないかな)に複数の研究が発表されているのに、いまだに議論が続いている。
普通はそれなりの結論に達するか、なんとなく下火になるかなのに。
結構、珍しいのではないだろうか。

何かを証明するって、難しいね。
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慈恵ICU勉強会 190917

2019年10月01日 | その他
9月17日 エコー下CV挿入:内頸 vs. 鎖骨下(JC-ICM)

手技についてのRCTって、難しいね。
以前だと経皮的気管切開 vs. 外科的とか。最近だとビデオ喉頭鏡 vs. 普通の喉頭鏡とか。
手技をやる人がどれくらい慣れているかが結果に与える影響がとっても大きい。
両方に慣れてますっていう環境が研究としてもっとも望ましいような気もするけど、大抵の場合はそうすると差がなくなる。
CVをブラインドで入れるかエコーを使うかみたいな極端な場合を除き、自分の得意なやり方でいいですよっていう、すごく普通の話になってしまう。

そういうことの確認も重要なのだろうか。そうかもしれない。
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