Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
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発作性心房細動の文献3つ

2014年08月18日 | 循環
2014 AATS guidelines for the prevention and management of perioperative atrial fibrillation and flutter for thoracic surgical procedures.
The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery
Volume 148, Issue 3, Pages e153-e193, September 2014


胸部手術(肺癌とか食道癌とか)の周術期の心房細動の予防と治療についてのガイドライン。参照文献が約200と、結構ちゃんとしたエビデンスレビューになっております。

Gialdini G, Nearing K, Bhave PD, et al.
Perioperative atrial fibrillation and the long-term risk of ischemic stroke.
JAMA. 2014 Aug 13;312(6):616-22. PMID: 25117130.


カルフォルニアの急性期病院のデータベースを用いた後ろ向きコホート研究。手術のために入院して、生存退院して、脳血管病がなくて、もともと心房細動もない約170万人が対象。そのうち1.43%に入院中に心房細動が発生し、0.81%に退院後に脳卒中が発生。脳卒中に対する心房細動症例のハザートリスクは、心臓手術で1.3、非心臓手術で2.0だった。
術後に心房細動を起こすとそれが原因で脳卒中になる、ということではないですよ、念のため。観察研究だもの。どんなに統計学的に処理しても、心房細動を起こしやすい人が脳卒中も起こしやすいだけかも、という可能性は残るから。
実際、どうなんだろうね?

Nuotio I, Hartikainen JE, Gronberg T, et al.
Time to cardioversion for acute atrial fibrillation and thromboembolic complications.
JAMA. 2014 Aug 13;312(6):647-9. PMID: 25117135.


心房細動で救急外来を受診、発症が48時間以内で、カルディオバージョンが施行され成功した成人5516例。多変量解析で、12時間以内に施行された症例に比べ、12-24時間、24-48時間経過した症例が何らかの血栓性合併症を起こしたオッズ比はそれぞれ4.0と3.3で有意に高値。
発症後48時間以内なら抗凝固無しで除細動してもOKという常識に対する反論、かな。まあこれも観察研究ですけど。

ICUにいると心房細動は毎日のように経験するけれども、分かっていることはとっても少ない。
JSEPTICのclinical Q&Aにまとめがあるので、勉強したい方はこちらをどうぞ。
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