Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

レミフェンタニル

2024年02月23日 | 神経
最近、やけに耳にするようになったな、と思ったら。
ああ、そうなんですね。2022年8月に効能が追加されたんですね。
臨床やめると、こういう情報は疎くなるわ。
僕的には、「半減期が短いなどの理由で一時的に話題になり、OP室では使われているけど、ICUでは大した効果が示されず、忘れて良い薬」リストに10年以上前に入れていたので、はて?と思っていた。

手元の文献を改めて確認したけど、新しい文献が全然ない。どうして自分でこう結論づけたのかの根拠を忘れてしまった。文献を紙管理からPDF管理にしたのが2012年で、それ以前の文献は99%捨ててしまったし。

仕方ないのでPubMed。
remifentanil [ti] AND ("intensive care" OR "critical care")
で検索し、RCTでフィルタリングした結果がこれ。

思った通り、ブームは10年以上前に終了している。
さらに、ここ数年の文献のタイトルを眺めてみたけどICU関連のRCTは全然なくて、結局、ICUのremifentanilについて調べた人なら誰でも知っていそうなこのメタ解析を確認すればよい、という結論になってしまった。

Zhu Y, Wang Y, Du B, Xi X.
Could remifentanil reduce duration of mechanical ventilation in comparison with other opioids for mechanically ventilated patients? A systematic review and meta-analysis.
Crit Care. 2017 Aug 3;21(1):206. PMID: 28774327.


Remifentanilを使うと人工呼吸期間が1.5時間、ICU在室期間が2時間短くなる、と。
手元にこの文献がなかったのは、何年も前に”忘れて良い”リストに入れていた薬についての文献を久しぶりに見かけたけど、結論を見て残す価値なしと判断したんじゃないか、という気がしてきた。

大事な点は、メタ解析の対象が23研究、N=1905であること。つまり大きな研究がない。PropofolもDEXもNEJMやJAMAがあるのに。ICU界隈ではあまり興味が持たれなかった、ということを示唆するし、実際、PADIS2018にもNEJMの鎮静のレビューにも優位性については記載がない。

コストが数倍だったり、ボーラスしにくくかったり、ルートに気をつけないといけなかったり。
確認の結果、自分の中での評価は変化なし、です。
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