めっちゃ今更なのだけど、疑問に思ってしまった。
ご存知の通り、SOFAの呼吸の3点以上には"respiratory support"が必要。でもその定義が不明確で、人工呼吸のみなのか、NPPVやHFNCも含むのか、よく分からない。どちらかの記載はあってもそこに根拠はなく、みんな勝手に決めている感じ。例えば、
Pérez-Torres D, Merino-García PA, Canas-Pérez I, et al.
Real-world inter-observer variability of the Sequential Organ Failure Assessment (SOFA) score in intensive care medicine: the time has come for an update.
Crit Care. 2023 Apr 21;27(1):160. PMID: 37085825.
6年以上の経験のある専門医がSOFAを計算したところ、呼吸のKappa値は0.42しかなく、六臓器の中で最も一致率が低かった。こんな研究が昨年発表されるくらいだから、混乱は世界中で起こっているようだ。
僕は人工呼吸のみだとずっと思っていた。なのでNPPVやHFNCも含めるという話を聞くたびに、「間違ったこと言ってるなー」と思っていた。でもつい先日、「あれ、根拠を知らないぞ!」ということに気がつき、自分に対して驚いてしまった。
仕方がない、調べるか。
当然のことながら、SOFAの原文には記載がない。でもこれ以外に”正しい定義”と呼べるものはない。ただ、当時はNPPVもHFNCもほぼ臨床で使用されていなかったので、respiratory support = mechanical ventilationだったと考えるのが妥当でしょう。
でもそれでは根拠にならないので、SOFAを作ったVincent先生が書いている文献を片っ端から確認した。その結果、見つけたのがこれ。
Vincent JL, Moreno R.
Clinical review: scoring systems in the critically ill.
Crit Care. 2010;14(2):207. PMID: 20392287.
SOFAの原文の2nd authorであるMoreno先生との共著。ちなみにこのレビューはICUにおける重症度スコア全般についての解説で、掲載された当時「めっちゃ良いから読んでね」と僕がそこらじゅうで宣伝してたやつ。
で、この中に、SOFAのrespiratoryの項目として"PaO2/FiO2 ratio, mechanical ventilation"の記載を発見!
少なくとも2010年の段階ではこのお二人は"respiratory support" = "mechanical ventilation"とお考えであったことが分かる。
ちなみにJIPADでは2018年度から入室時のSOFAを算出しているけど、respiratoryの算出は人工呼吸のみ。理由は簡単で、HFNCとNPPVはICUでの使用については収集しているけど、入室24時間の情報は人工呼吸しかないから。
とりあえず間違ったことはしてこなかったようで、一安心。
と言っても、もうすぐ発表されるであろうSOFA2.0ではこの辺の混乱も解消されることでしょう。
ご存知の通り、SOFAの呼吸の3点以上には"respiratory support"が必要。でもその定義が不明確で、人工呼吸のみなのか、NPPVやHFNCも含むのか、よく分からない。どちらかの記載はあってもそこに根拠はなく、みんな勝手に決めている感じ。例えば、
Pérez-Torres D, Merino-García PA, Canas-Pérez I, et al.
Real-world inter-observer variability of the Sequential Organ Failure Assessment (SOFA) score in intensive care medicine: the time has come for an update.
Crit Care. 2023 Apr 21;27(1):160. PMID: 37085825.
6年以上の経験のある専門医がSOFAを計算したところ、呼吸のKappa値は0.42しかなく、六臓器の中で最も一致率が低かった。こんな研究が昨年発表されるくらいだから、混乱は世界中で起こっているようだ。
僕は人工呼吸のみだとずっと思っていた。なのでNPPVやHFNCも含めるという話を聞くたびに、「間違ったこと言ってるなー」と思っていた。でもつい先日、「あれ、根拠を知らないぞ!」ということに気がつき、自分に対して驚いてしまった。
仕方がない、調べるか。
当然のことながら、SOFAの原文には記載がない。でもこれ以外に”正しい定義”と呼べるものはない。ただ、当時はNPPVもHFNCもほぼ臨床で使用されていなかったので、respiratory support = mechanical ventilationだったと考えるのが妥当でしょう。
でもそれでは根拠にならないので、SOFAを作ったVincent先生が書いている文献を片っ端から確認した。その結果、見つけたのがこれ。
Vincent JL, Moreno R.
Clinical review: scoring systems in the critically ill.
Crit Care. 2010;14(2):207. PMID: 20392287.
SOFAの原文の2nd authorであるMoreno先生との共著。ちなみにこのレビューはICUにおける重症度スコア全般についての解説で、掲載された当時「めっちゃ良いから読んでね」と僕がそこらじゅうで宣伝してたやつ。
で、この中に、SOFAのrespiratoryの項目として"PaO2/FiO2 ratio, mechanical ventilation"の記載を発見!
少なくとも2010年の段階ではこのお二人は"respiratory support" = "mechanical ventilation"とお考えであったことが分かる。
ちなみにJIPADでは2018年度から入室時のSOFAを算出しているけど、respiratoryの算出は人工呼吸のみ。理由は簡単で、HFNCとNPPVはICUでの使用については収集しているけど、入室24時間の情報は人工呼吸しかないから。
とりあえず間違ったことはしてこなかったようで、一安心。
と言っても、もうすぐ発表されるであろうSOFA2.0ではこの辺の混乱も解消されることでしょう。
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