Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

頭部外傷における輸血の自由戦略 vs. 制限戦略

2024年07月03日 | 消化器・血液
Turgeon AF, Fergusson DA, Clayton L, et al.
Liberal or Restrictive Transfusion Strategy in Patients with Traumatic Brain Injury.
N Engl J Med. 2024 Jun 13. Epub ahead of print. PMID: 38869931.


思ったこと2つ。

1つ目。
一応ネガティブな結果ということになっているけど、図3のGOSのグラフとかを見ると、ちょっとどうだろうかと思う。
この研究に限らず、輸血の域値はなんでも7で良い、とは言い切れないことを示した研究は何年も前からチラチラあるが、もう発表されてから四半世紀経ったTRICC studyのインパクトが革命的すぎて、そう簡単にはプラクティスは変わらない印象がある。ラッキーセブンだし、一つの方が覚えやすいし。実際、世界のプラクティスは変化しているのだろうか。これも大きな振り子であって、徐々に変化していくのだろうか。

2つ目。
よく言われがちなこと。高齢者はリザーブがないのでHbは高めで、的なやつ。これは多分示されたことはなくて、どちらかと言えば逆の結果をよく見かける印象がある。今回の研究のサブグループ解析でも55歳以下の方がliberal strategy betterの方向になっていて、ああまたかと思った。

輸血の域値問題。まだまだずっと続きそう。
コメント
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