Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

SDDは有効なの?無効なの?

2022年11月06日 | 感染
もうちょっとESICMから。

SuDDICU Investigators for the Australian and New Zealand Intensive Care Society Clinical Trials Group, Myburgh JA, Seppelt IM, Goodman F, et al.
Effect of Selective Decontamination of the Digestive Tract on Hospital Mortality in Critically Ill Patients Receiving Mechanical Ventilation: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2022 Oct 26. Epub ahead of print. PMID: 36286097.

ANZICSのRCT、N=5982。SDD群は死亡率27%、コントロールは29.1%で有意差なし。

Hammond NE, Myburgh J, Seppelt I, et al.
Association Between Selective Decontamination of the Digestive Tract and In-Hospital Mortality in Intensive Care Unit Patients Receiving Mechanical Ventilation: A Systematic Review and Meta-analysis.
JAMA. 2022 Oct 26. Epub ahead of print. PMID: 36286098.
A
ANZICS-CTGのメンバーがやったメタ解析。32RCT、N=24389。SDDのrisk ratioは0.91で有意に減少。

一番古いRCTは35年前。Nが1000を超えているRCTも3つある。でもまだフワッとしているという、なんとも不思議な話題。
抗菌薬の使いすぎはダメと言われている中で全例に投与するというのは直感的に拒否反応があるし、研究対象となるような重症患者さんの多くは静注で抗菌薬が投与されているし、どうも積極的にやろうという気が起こらない。
例えば、自治さいたまのICUはJIPAD参加施設の中で一番重症患者が多いのだけど、そこでも年間のICU死亡は100例くらいなので、20-30%の死亡率の群でリスク比が0.9だと年に2-3人の死亡が減る計算。もっと規模の小さいICUだと年に1人も減らない。そのためにICU全体のルーチンを変更する気になるか、という問題もある。

うっすら有効そうな印象はあるんだけどね。
多くのICUのプラクティスを変更するようなことは起こらなそう。
コメント
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