Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

血糖コントロール

2016年09月11日 | ひとりごと
もう20年も前のこと。
当時は内科医をしていたのだけど、病院の決まりで、抗がん剤の点滴は医者が作って患者さんに投与する、というのがあった。理由は医療事故を防ぐため。全然知らないけど、このルール、今も使用しているところってあるんじゃないだろうか。
普段点滴を作っていない医者がやった方が安全なんていうことがありえるのか。間違いも起こりやすいだろうし、清潔操作も下手だろうし、投与速度の調整もうまくできないだろうし。
このルールは患者さんの安全のためにあるのではなく、ナースが医療事故を起こさないためにあるのは明白。

ICUにおける血糖コントロールは全面的にナースの仕事っていうのが世界常識で、プロトコルにそって、ナース判断で血液ガスを測定して持続インスリンの投与量を変更するのが普通、だと思っていた。
他にも、降圧剤や昇圧剤の投与量の変更、不穏・苦痛時の鎮静剤・鎮痛剤のボーラス投与、マスクや鼻カヌラでの酸素の投与量変更、SpO2低下時や高乳酸血症発生後の経過観察のための血液ガス採取などはナースの判断でどんどん行われる、ものだと思っていた。患者さんの一番近くにいるのだから、病態を考えながら行動するのは当然のことのはずなのに、これ、必ずしも当然のことではないらしい。

最近、いろいろな病院のICUを訪問する機会があるのだけど、例えば血糖コントロールのための持続インスリンの投与量決定は全面的に医者がやっている、というところは少なくない。
こういうところは、単に血糖コントロールだけやらないのではなく、ナースが判断をして行動するということをそもそもしないことが多いようだ。ICUもしくは病院の看護部の姿勢や方針がそうなっている。

国家資格に基づき、責任をもって自分で判断して行動する。
それがプロの仕事じゃないのかなー。
コメント
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