Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

抗菌薬のde-escalation

2014年10月06日 | 感染
先週は、ESICM関連のon-line publicationを含め、40くらい文献をダウンロードした。
こりゃ大変だと思っていたら、台風のせいで新幹線に5時間(止まっている時間がね)閉じ込められたので、モーマンタイ。

NEJMとJAMAはジャーナルクラブで扱う予定なので、紹介しません。
そうなると先週出た中でベストな文献はこれだろうか。

Leone M, Bechis C, Baumstarck K, et al.; AZUREA Network Investigators.
De-escalation versus continuation of empirical antimicrobial treatment in severe sepsis: a multicenter non-blinded randomized noninferiority trial.
Intensive Care Med. 2014 Oct;40(10):1399-408. PMID: 25091790.


フランスの9施設、120名の重症敗血症/敗血症性ショック。抗菌薬開始後、培養の結果で抗菌薬の種類を変更(de-escalation群)するか、broadのまま投与し続けるか(continuation群)で比較。Primary outcomeはICU滞在日数。その結果、ICU滞在日数は9日 vs. 8日(p=0.71)で有意差無し、死亡率や耐性菌の出現率などにも差はなく、感染の再発(superinfection)がde-escalation群で多かった(27% vs. 11%, p=0.03)。

新生児を対象とした研究はあったけど、成人では初のRCT。ただ、残念ながら患者群にいろいろ差がある(年齢、SAPS II、カルバペネムの使用頻度)。それに予想よりもprimary outcomeのSDが大きくて、必要な症例数は実際には500例くらい。

でも、これまで複数の観察研究でde-escalationの有用性が言われてきて、初のRCT(しかも多施設)でちょっと悪い結果になったのは事実。それもあってか、editorial2つもついている。さらには、著者らのcorrespondenceまで。

無駄な抗菌薬は使わないようにしつつ、今後の研究に期待。
コメント
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