Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

執筆者とは?(authorship)

2011年09月05日 | その他
今回は、ちょっと変化球。

研修医の頃、初めて学会で症例報告をしたときに、上司から、共同発表者の順番が違うと言われ、直したことがありました。つまり、筆頭演者(僕)、スーパーバイザーの上司、その後は年齢の若い順に医局の人の名前、最後に教授、が順番で、この人とこの人の学年が逆だ、ということでした。
当時は、ふーん、そういうものなんだ、と思ったのですが、今思うとちょっと不思議。だって、発表に全然関係ない人の名前を何で書くのかも分からないし、その順番が学年順??
でも結局は今の自分もそうしてたりして。

これは学会発表の話ですけど、文献を書いたときの共著者の選び方も順番も、日本ではこれとあまり変わらない気がします。

最近はJSEPTICで多施設研究なんかもやり出したりしているので、著者の決め方って難しーなーと思っていたところに、こんな文章と出会いました。

Lok AS.
Authorship: who should be included and how should it be determined?
Gastroenterology. 2011 Sep;141(3):786-8. PMID: 21782816.

このLokという方、Gastroenterologyのsenior associate editor(副編集長?)の一人で、これまでの自分の経験をふまえ、Authorshipとはどうあるべきかについて書いてらっしゃいます。

そもそも、
The International Commitee of Medical Journal editors (ICMJE、医学雑誌編集長国際委員会?)
www.icmje.org
という団体があるんだそうです。NEJMとかLancetとか、たくさんの雑誌が参加していて、そこがauthorshipとはこうあるべき、というものを発表しています。
具体的には、
・研究デザイン、データ収集、解析、執筆の全てに深く関わった人だけが執筆者になる
・お金を集めてきた、データを収集した、研究全体をスーパーバイズした、だけではダメ
・全ての基準は満たさないけど研究に貢献した人はacknowledgmentに記載する
ということになっているそうです。

でも、じゃあ深く関わるって、どういうこと?とか、この人無しでは研究が成立しなかったけど、全ての基準を満たさない人はどうするんだ?とか、疑問が出てきます。
それを、一施設研究、多施設研究、企業主催の研究に分けて、例を挙げながら持論を展開されてます。

2ページちょっとで、すぐ読めるので、
著者ってどうすればいいんだろ、と悩んだことのある人にはオススメでっせ。
コメント
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