JIPADというものに関わってます。
Japanese Intensive care PAtient Databaseの略で、日本集中治療医学会が行っている、日本のICUの多施設データベースのこと。
集中治療先進国では国レベルの多施設データベースがあるのは当たり前で、それを用いて、医療資源の分配について考えたり、研究したり、いろいろなことが行われている。日本にも必要なので、普及するように頑張ってます。
学会が多施設データベースを作るというのは、最近はどこもやっていることらしい。でも、学会としてこういうことをやることになったので皆さんよろしく、程度だったり、参加しないとこういう罰則があります、だったり、なんか権力者が強制しているような感じのも少なくない気がする。
JIPADはそういう感じではやりたくない。
各参加者にデータベースの重要性を理解してもらって、参加の意義を感じてもらいたい。でも理想論だけでは無理なので、多施設データの利用権とか、自施設のパフォーマンス評価のための情報提供とか、参加者のメリットとなるものも提供したい。
そうすることにより、データの質が良くなり、データベース全体としてもメリットがある、と思う。つまりはウィンウィンの関係が目標。
研究も同じ。一人でデータ収集して一人で解析するような研究なら気にしないでいいけど、ある程度以上の質の研究ではどうしても他の人の協力が必要になる。数人であれば、共著者にするとか、それこそお金を払うとか、その人のメリットになることを見つけるのはそれほど難しくない。でもたくさんの人が協力するような研究だと、みんなにとってメリットがあるような状況を作ることは簡単じゃない。”医学の進歩のため”とか、それだけでデータ収集の質を維持するのは不可能。上司からの命令だから仕方なしにやってますとか、チョー嫌い。
逆に、相手のメリットをちゃんと考えれば、それが研究の質の向上につながり、結局は自分のメリットになる。
最近、このことを考慮していないように思える出来事があったので、ふと思うことを書いてみた。