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Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

0.05テスラでの全身MRIとChatGPT-4o

2024年05月15日 | AI・機械学習
ICUとは関係ないけど。

Whole-body magnetic resonance imaging at 0.05 Tesla

最近のMRIは1.5か3.0テスラだから、なんと約100分の1。
電力も1800Wと、エアコンをガンガンに使ったくらいの電力消費。

一家に1台MRIが置いてある時代が来るかも??
AI、すごいわー。

すごいAIと言えばChatGPT-4oだよね。
もう2001年宇宙の旅のHAL9000と同レベルじゃん。
ちょっと怖いくらい。

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連合データアクセスと連合学習

2024年05月06日 | AI・機械学習
van Genderen ME, Cecconi M, Jung C.
Federated data access and federated learning: improved data sharing, AI model development, and learning in intensive care.
Intensive Care Med. 2024 Apr 18. Epub ahead of print. PMID: 38635044.


連合学習とはこういうやつ。概念自体は随分前からあるけど、集中治療の世界ではほとんど報告がない。メジャーなものはこれくらいだと思う。

それがなんと、ESICMを中心としてヨーロッパ全体でICUデータを集めようとしているらしい。
”We are currently bringing together different stakeholders to create a fed- erated infrastructure for ICU data across Europe"
「私たちは現在、さまざまな利害関係者を集め、ヨーロッパ全体のICUデータのための連携インフラを構築しています」
これを読む限りはまだまだ先の話のようには思えるけれども。

いろいろなところで同様な動きはあるはず。
実現したら、すごいね。
また一つ、時代が進みそう。
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SAHにおける術後肺炎予測のための機械学習モデルの開発と性能評価

2024年05月05日 | AI・機械学習
Li X, Zhang C, Wang J, et al.
Development and performance assessment of novel machine learning models for predicting postoperative pneumonia in aneurysmal subarachnoid hemorrhage patients: external validation in MIMIC-IV.
Front Neurol. 2024 Apr 15;15:1341252. PMID: 38685951.


SAHの肺炎を予測とは!!!

こういう研究を見ると、single centerのデータを機械学習を使って〇〇を予測したら精度が良かった、という研究手法が終焉を迎えていることがよく分かる。この研究では中国の病院のデータを使っているけど、single centerという意味ではMIMICやeICUも同じ。これからもチラホラ文献は出るだろうけれど、終わりは終わり。

これからは、単純に何かを予測するにしても、多施設データが必要になる。でも1施設のデータですら研究に使えるレベルに整形するには結構な手間がかかるから、例えばこれみたいに誰かがその大変な部分をやってくれたりしないと難しい。

もう一つの方法は、明日。
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臨床上の質問における大規模言語モデルのパフォーマンス比較

2024年04月14日 | AI・機械学習
Han T, Adams LC, Bressem KK, et al.
Comparative Analysis of Multimodal Large Language Model Performance on Clinical Vignette Questions.
JAMA. 2024 Mar 18:e2327861. Epub ahead of print. PMID: 38497956.


NEJMからemail-alertが来るたびに、最近はChatGPT(有料)、Gemini(無料)、Claude 3(無料)にImage Challangeの問題文をコピペして遊んでいる。ほとんどは正解するんだけど、時々答えが違う時があって面白い。違うときはほぼChatGPTが正解なのだけど、それって有料だからなんだろうなと思っていたが、どうもそうでもないらしい。
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ブラウザの和訳機能

2024年03月28日 | AI・機械学習
この半年で、一緒に研究をしている若者3人に同じことを言った。
「投稿規定を読むときは、和訳機能を使わずに英語のまま読んだ方がいいよ。」

典型例はこれ。
Critical Careのcorrespondenceの投稿規定
"Correspondence articles should be a maximum of 800 words with no more than 5 references. They can include a Table or a Figure. Abstracts and keywords are not required for this article type."
これをSafariの和訳機能で和訳すると、
「通信記事は、5つ以下の参照で最大800語でなければなりません。テーブルまたは図を含めることができます。この記事タイプには、要約とキーワードは必要ありません。」
となる。そもそも日本語がイマイチなだけでなく、これだと図表をいくつまで載せられるか分からない。答えは"a Table or a Figure"だからどちらか一つ。

同じ文章をDeepLに入れても、
「表または図を含むことができる」
ChatGPTで和訳しても、
「表または図を含めることができます」
なので、現状でのAI和訳の限界を感じる。まあ普通は冠詞は訳さないもんね。

これは簡単な例だけど、やはりニュアンス的なものは訳すのが難しいから、読める言語はそのまま読んだ方がいい。英語のウェブサイトを読むときは、僕は和訳ボタンを押したくなるのをグッと堪えて英語で読むようにしている。読めなくなっちゃうと悲しいから。
少なくとも、正確性が要求されるときは和訳せず原文で読みましょう。

と思ったら。
なんとGemini (無料版)もClaude 3 (無料版)も、
「表または図を1つ含めることができます。」
と訳した。
きっとすぐにChatGPTもSafariもちゃんと訳せるようになるに違いない。

もう無理して英語読むのやめようかしら。。。
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生成AIモデルによる心停止後の転帰予測

2024年03月25日 | AI・機械学習
Amacher SA, Arpagaus A, Sahmer C, et al.
Prediction of outcomes after cardiac arrest by a generative artificial intelligence model.
Resusc Plus. 2024 Feb 22;18:100587. PMID: 38433764.


ほお。
こういう使い方はしたことがなかったし、読んだこともなかった。
既存の予測スコアと同程度かそれ以上の精度ですか。ふーん。

確かに、例えばNEJMのImage Challangeを文章だけコピペしてChatGPTに聞いてもだいたい正解するし、どの専門医試験もだいたい合格する。でもLLMに予後予測してもらうというのは初めて聞いた。

でも、なんか気持ち悪い。それが紹介の理由。
それって生成AIに聞くことか?AIを使うなら予測モデルに聞いたほうがいいんじゃないか?

なんて疑問も、いろいろ統合されて数年したら疑問として成立しなくなるかもしれないけど。

ーーーーーーーーーー
追伸。
こんなのもあった。こっちはAUROCが0.62で悪かった。
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人工呼吸を要する重症患者における酸素目標の個別化治療効果

2024年03月21日 | AI・機械学習
お、またICUの機械学習文献がJAMAに載ったぞ。
熟読、熟読。

Buell KG, Spicer AB, Casey JD, et al.
Individualized Treatment Effects of Oxygen Targets in Mechanically Ventilated Critically Ill Adults.
JAMA. 2024 Mar 19. Epub ahead of print. PMID: 38501205.


なるほどー。うーん。。。

やっていることは、
Sp02のターゲットを高くするか低くするかのRCTのデータを2つ(PILOTICU-ROX)使って、
・まずPILOTのデータで28日死亡率を予測するモデルを作って、
・それをICU-ROXに当てはめて、
この方法でICU-ROXの症例を3群に分けたところ、
・ある群では低SpO2に割り付けた方が6%死亡率が低く、ある群では高SpO2に割り付けた方が13%低かったと。
結論として、こんな感じで酸素化のターゲットを個別化すれば予後は改善するかも、と。

主な研究の問題点(パラレルワールドじゃないんだから無理でしょとか、MEGA-ROXを待とうよとか)については、EditorialでAngus先生がお書きになっている。
なので僕は機械学習的に気になったところを。

まず、PILOTで作ったモデルをICU-ROXに当てはめるためには同じ特徴量(統計用語で言うところの説明変数、ただし細かいことを言うとこの二つは違うという話もある)を作る必要がある。でも使用された重症度スコアが2つの研究で異なる(PILOTはSOFA、ROXはAPACHE II)ので、これを換算する必要があった。いろいろ方法はあると思うけど、この研究では、SOFAを2点ずつ、APACHE IIは5点ずつに群分けして、それぞれの群の実際の死亡率を計算し、その値を"predicted risk of 28-day mortality"という名前の特徴量として利用している。
さて、これは情報のリークではないか?死亡率を使って死亡率を予測しちゃダメなんじゃないか?SOFAとAPACHEの関連を示した研究はいくつかあるだろうから、それを使う方が妥当では?

6つの機械学習モデルから、RBoostというのが選ばれている(XGBoost的なやつらしい、Rの言葉で書いてあるからよく分からない)。ハイパーパラメータをいろいろ調整した結果、このRBoostが一番だったということだけど、パラーメータ調整をするためのデータセットが用意されていない。普通はPILOTのデータを少なくとも二つに分けてパラメータ調整するはずが、どうもやっていないらしい。

この二つはPILOTのデータに対して過学習の原因になりそう。
まあ、それでもROXのデータでも臨床的に妥当な結果(脳損傷では低SpO2の方がいいとか)になっているのでOKでしょう?と言われたら、反論はしにくいけれど。

酸素化のターゲットの話はMEGA-ROXを単に待つ、でいいでしょう。
Nが馬鹿デカいから、それを使っていろいろ遊ぶ人も出るだろうし。
それに、どんな手法で仮説を立てても、結局はその仮説を検証するRCTが必要なわけで、普通のサブグループ解析でも分かる仮説の検証ではなく、複雑な予測による個別化を検証するRCTって、将来的に行われるのだろうか。
やるなら見てみたい気もするけれど。

なんか、批判的吟味的なことをしてしまった。恥ずかしい。
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人型ロボットが作業しながら自然に会話

2024年03月19日 | AI・機械学習
ICUとは関係ないのですけど、
動画がSF映画並みでビックリ。

人型ロボットが作業しながら自然に会話--OpenAIと提携するFigureが動画を公開

もうちょっとしたら、CV挿入も挿管もロボットがやる時代が来そう。
診断も治療方針の決定もAIがしちゃったら、ICUの医者は何をするんだろう?
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人工知能によるICU日記の生成でパンドラの箱を開ける: 仮想研究プロトコル

2024年03月09日 | AI・機械学習
毎日、PubMedがICUの機械学習関連の文献リストを送ってくる。
その中で見つけた、不思議な文献。

Peschel E, Krotsetis S, Seidlein AH, Nydahl P.
Opening Pandora's box by generating ICU diaries through artificial intelligence: A hypothetical study protocol.
Intensive Crit Care Nurs. 2024 Feb 22;82:103661. Epub ahead of print. PMID: 38394982.


退室時に患者さんに渡すICU日記を、ナースが書くかChatGPTが書くかでRCTをやる、という研究計画を立てた、という内容。
そういうRCTを実際にやる予定があるとか、やりたいとかじゃなくて、こんなことを実際にやる奴がいたら、そいつは実施前に、それこそナースという職業の価値から考えろよ、パンドラの箱は開けたら閉じられないんだぞ、ということを言いたいらしい。

何かあったのか?

でも、それはそうだ、とも思う。
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重症化を防ぐリアルタイム機械学習アラート

2024年03月05日 | AI・機械学習
Levin MA, Kia A, Timsina P, et al.
Real-Time Machine Learning Alerts to Prevent Escalation of Care: A Nonrandomized Clustered Pragmatic Clinical Trial.
Crit Care Med. 2024 Feb 21. Epub ahead of print. PMID: 38380992.


なかなか凝った仕組み。ナースへの自動連絡用のデバイスを導入したり、false alarmを減らすために工夫したり、アラートを二段階にして対応を変えたり。
ちなみにこの研究で使われているMEWS++というのはこちら

病棟患者の自動アラートで有名なのはこの文献
もし本当にRRSという仕組みが予後を改善するなら(RCTでは証明されていない)、自動アラートも予後を改善しそう。ただし、どちらも導入方法によって結果が変わりそう。そこが難しいところ。
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