さて先週になりますが、都内某所で陳思誠監督、劉昊然&王寶強主演「唐人街探偵 東京MISSION」(21)を試写で観て来ました。
現地で人気シリーズ第3弾のお正月映画として公開された本作は大ヒットを達成したとの事ですが、昔から香港のお正月映画の馬鹿騒ぎ&大雑把な作りな苦手な私としてはちょっと長く感じた136分でした。日本のヤクザ同士の争いから起きた密室殺人にお馴染みの唐人街探偵コンビのチン・フォン(劉昊然)とタン・レン(王寶強)に加えてご当地探偵の野田(妻夫木聡)とタイの探偵ジャック・ジャー(トニー・ジャー!)が挑みますが、そこに謎の国際組織Qが絡み事件は複雑に入り乱れていきます!
まずこの手のオールスター映画の悪いパターンである、次々と出て来る登場人物たちのキャラクターたちに深みがない。なので観る側も感情移入出来ない。その間に無理やりアクションを入れるからドラマとアクションのバランスが悪くなる。結果としてやたらダラダラと盛り上がりのないストーリーが続く。龍熱としては136分から30分削った100分前後に仕上げたらテンポ良く観れた作品になったと思います。
と文句ばかり言いましたが、龍熱が最も注目していたトニー・ジャーのムエタイアクションをどう引き出すかですが、映画の中盤に出て来るお寺でのトニー☓剣道軍団の乱戦はそれなりに見応えある殺陣に仕上がっていました。ただ今回のトニーはアクションよりむしろ演技者として実に深みある佇まいを披露しています。そこはトニーファンは注目でしょう。
あと王寶強ですが、最初は鼻についたタン・レンの奇天烈キャラも、映画が進むにつれそれが何とも味があり頼りがいがありそうに見えて来るから不思議でした。逆にキャラ的に振り幅がなく面白味に欠けるチン・フォンと比べて、王寶強が実に楽しそうに演じるタン・レンこそがこの「唐人街探偵」シリーズのまさに“核”である事が今回龍熱はハッキリと分かりました👍。
そうは言いながらも、クライマックスに用意された三浦友和や長澤まさみが出廷しての裁判シーン。ここでの余りにやっつけ仕事的な、後からとってつけたかのような新事実を持ち出して来て「さあ、感動しろ!」と言われても無理でしょう。重厚な人間ドラマを描くには最適な裁判シーンを映画のラストに用意するならば、もう少し丁寧に脚本を練って欲しかったです。まあ陳監督が角川映画「人間の証明」が好きなのはよく分かりましたが。最後にヤクザの子分役で格闘家の秋山成勲が出演していて、なかなか良い味を出していました。
この「唐人街探偵 東京MISSION」は7月9日から日本緊急公開との事です、