懐石料理の店「やまもと」
料亭で修行したご主人はまだ30代だが、その丁寧な仕事とセンス抜群の創作料理は、食通達の間で開店当時から話題になっていた。メニューはお任せのみ¥6300と¥9450の2種類、決して安くは無いが値段以上の満足を確実に味わえる数少ない日本料理店だ。
招待してくれた友人はここの常連らしく店内での撮影を許可して頂いたので、料理をしっかり紹介してみようと思う。
1品目は「金美人参」のスープ
この人参、沖縄の島人参を改良して出来たもので、奇麗な黄色で人参臭さが無く甘みが強い。甘さに一瞬「かぼちゃ」?と思ったが不思議そうな顔をしていると「これなんだと思います?」と質問された。1品目にしてこの調子、先が楽しみになって来た。
2品目は野菜となまぐさものを盛りつけた「八寸」
見た事も無い木の実や趣味の良い盛りつけが、期待感をさらに増幅する。味付けは限りなく上品でしっかりしている。
3品目は金目・えぼだい・いかの「向付け」
金目はもちろん、酢でしめたえぼだい、産地で食べた取れ立てに負けない甘いいかが、素材の良さを物語る。薬味の「ゆずこしょう」の辛みが強く、金目との相性抜群だ。
「岡海苔と銀杏の天ぷら」
ほのかに海苔の香りがする葉野菜で、少しぬめりが有る岡海苔と銀杏のかき揚げを塩でいただく「旨い!」
「メヒカリの天ぷら」
旨味の強いメヒカリ、身はホクホクで独特の食感だ。これも塩でいただく・・・・旨い!
本日のメイン「イシナギの蒸し焼き」
幻の魚クエの仲間らしい。大型の深海魚でクエよりもさらに水揚げが少ないそうだ。そのカマの部分の蒸し焼き!これが不味い訳がない!これを自家製「ハーブペースト」をつけてポン酢で頂く「お~まいがっ!」小さく映っているがこの皿は約40センチ、カマは両手くらいの大きさだ。
歯ごたえ抜群で旨味がむちゃくちゃ強い。蒸し魚なのに臭みが全くない。試しに柚子胡椒で食べても抜群に旨い!これはまいった・・・・・
「根菜の吸い物」
ブラジルのかぼちゃで作った根菜の吸い物、ほのかな甘みと上品な味はこの店の十八番!かぼちゃとほんの少しの塩だけで作ってあるそうである。
「ウマヅラハギの肝」
お口直しの一品!この味、この食感は???フォアグラにも負けないとろけるような食感は、さすが!っていうか、今まで食べたどのキモよりも旨かった。
「強肴(しいざかな)」
酒飲みには嬉しい強肴(しいざかな)旨味抜群の「いかと大豆」の醤油煮と「鮎」の甘露煮!割としっかり目の味付けで、緩んだ舌に活を入れ酒の旨味を引き立てる・・・・
「キノコと穀類の小鍋」
お得意の野菜でとったスープで煮込んだ小鍋。とろみにたっぷりしみ込んだ旨味と香り高いキノコが絶品!この鍋はここの定番料理でコースの終盤、ご飯の前に出される。
「最強のさば味噌煮」
ん?懐石に「さば味噌煮」?そう、これはいわゆる「裏メニュー」ご飯の時に出して頂いた。普通は懐石にはないものであるが、賄い用に作っているのを見つけ、おねだりしたらむちゃくちゃ旨く、それ以来予約の際に必ず頼んで作ってもらうらしい。これがまた絶品で、今まで食べてた「味噌煮」って何だったんだ???っていうくらい旨い!ひと手間もふた手間もかけ、刺身に出来るような鯖を丹念に煮込むらしい。これまじやばい!例えようの無い旨さである。
「デザート」
またここで質問「赤いのはリンゴ、では黄色いのは?」・・・・なんと柿である。酸味が程よい紅玉はしっかりと食感を残し、不思議な甘みの柿はトロリとした食感!これは意外だった。上にのった黒蜜とミントのアクセントが翻弄されっぱなしの舌を再び楽しませてくれる。
これでコースは終了!かなりの量だが、計算された味のコントラストと珍しい素材や彩りの妙がそれを全く感じさせない。どちらかというと懐石料理にいい思い出が無かったが、ここは大満足!これになかなか手に入らないという「日本酒」を3種1.5合頼んで2人で¥25000程
出来れば予約したほうが無難!店の造りもとても良いし、接客も最高!接待にもデートにもバッチリ!ほんとは教えたく無い店である・・・・
東京都渋谷区恵比寿2-12-16 リベルタII1階
18:00~22:00 日曜・祝日の月曜休み
03-3280-6630