三洋のホームベーカリーで米からパンを作れる機種GOPANが登場するらしい。米粉だけでは作れないだろう、と思っていたらはたしてそのようで、
米以外にグルテン、ショートニングなどが必要らしい。どうせグルテンを入れるのだったら炊いたご飯をパン生地に入れて焼くという手法でもいいかもしれない。ご飯を入れてパンを作るというアイディアは三洋の機械と同じ「ごぱん」という名前で「焼きたて!ジャパン」というアニメでも紹介されていたらしい。でも、自分の知る限りパトリス・ジュリアンという方が自著「パンの学校」という本の中でパン・ジャパネスクとして紹介しているのが一番古い記録でこちらが元祖ではないかと思う。図書館で借りて見ただけなので記憶があいまいだが、炊いて荒熱をとったご飯をそのまま生地の中に入れていたように記憶している。実はこれを参考に5年ほど前、道明寺粉で餅を作り、中力粉を混ぜてパンを一度焼いてみたことがあった。バゲットみたいなパンに挑戦したのだが、ちょっとゆるすぎてリュウスティックみたいになってしまった。粒も残ってしまった。でも、結構、もちもちして(餅が入っているからあたりまえだが)おいしかった。
GOPANのを見ていたらもう一度ご飯入りで今度は丸パンを作りたくなり、やってみた。
でも、道明寺粉が手元にないので普通のご飯を使うことにした。米のタンパク量は6~7%らしいのであわせる粉は最強力粉がいいだろう。水分量の決定は難しいが、以前の経験からご飯を加えすぎなければ小麦粉に対する通常の水分量でよいと思った。ご飯の量はこれも以前の経験からパン生地の20%程度とした。
米のデンプンにはアミロースとアミロペクチンの2種類があってアミロースの含有量が多いともちもち感が落ちる。もち米のデンプンはほとんどアミロペクチンで、うるち米は両方含有している。ただ、アミロースは水溶性でうるち米も炊いた後、洗うことによりアミロースが溶けて、つくともちになるとのこと。
冷蔵庫のあまりご飯をこの手法を使って水洗いして丸パンとした。
結果は写真のとおり大成功。外見だけでなく食感ももちもちして味もとてもいい感じでできた。ただ、冷蔵庫に入っていた冷ご飯だったためか、デンプンの再アルファ化がいまひとつだったようで若干粒が残っていた。お湯で洗浄するか、洗浄後、電子レンジで加熱して湯種のようにしたほうがよかったかもしれない。
ところで、三洋GOPANを知って米パンを久々に作って感じたこと。。。。。
このホームベーカリーはそれなりに需要があるだろうし、自作などで米パンを遊びで作る人は増えるだろうが、パン製造やパン販売などで米のパンを作っても商業的に成功はしないだろう。その理由は経済的に米は小麦粉よりも不利であるということ。低アミロースの米はコシヒカリに代表されるようにそれなりの値段がする。10kgで4000~6000円ほど。高い米だと5kgで5000円ぐらいか。25kgだと一万円をまず超えてしまう。小麦粉は特・うたまろのような日本でもっとも高級とされている最強力粉でも25kg5000円~6000円。半値だ。しかも米をあらかじめ炊飯するとなるとさらに経済的に悪くなる。米パンにそれだけの付加価値をつけて高い値段をつけて購入する人はどれくらいいるだろう?話題性で最初は売れるかもしれないが、定期的には無理だろう。
脱穀、精米で処理がすむ米と違って小麦粉は麦から粉にするのに米以上に手間がかかっている。日本の土地が高い、農機具代、燃料費など農家の方々にもそれなりの事情があるのだろうが、米がはるばる遠方からやってきて手間のかかる小麦粉より値段が高いのは「大人の事情?」を考慮しない消費者は理解できないだろう。デフレと言うが、まだまだ日本の食料品は国際価格からみても高い。案外、米離れといわれている現象は経済的な要因が大きいかもしれない。

配合
ご飯 100g
特うたまろ 300g
塩 4g
にがり 3g
砂糖 15g
全粉乳 5.5g
赤サフ 3.5g
水 200ml
バター 15g
ご飯を水洗いした後、バター以外の材料と餅つき機でこねる。ある程度こねあがったらバター投入し、グルテンを出すまでこねる。
一次発酵、分割、成形、二次発酵後、焼成予熱200度 180度18分。