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腎病と水腫論 漢方薬 6 「上熱下寒 花粉瞿麦にて清肺温脾腎が適宜」(腎病漢方治療413報)

2014-07-11 00:15:00 | 漢方市民講座

 

雑感

 

工場出荷時からスパイウェア入りの中国製スマホが安価で市場に流れ出したとウォールストリートJに記事が載った。(事実なら)手にしたら最後だ。小生の「虚熱論」も丸々ハングル化されて盗用された。最近ガス代金が嵩む。中国製の電気湯沸かし器に最初から特殊チップ組み込まれていると噂されてから、湯はガスで沸かす。

 

中国船のベトナム船への「体当たり」を見て、テミストクレスのペルシャ軍船への体当たりを思い出した。近代にしては初歩的な、いかにも中国らしい暴力威嚇行動だ。それにしても、パンダや須磨の蛸(たこ)にワールドカップを占うとは、デルフォイの巫女には到底及ばぬのに、庶民はなんと甘く御されやすいことか。須磨の隣の明石では「蛸の日」を市議会で定め、地域活性化政策として「蛸の日」に「蛸」を食べるとか。

 

戦争(殺し合い)を極小単純化してルールを作ったものがスポーツの原点である。サッカーでギリシャに勝てなかったのは、レオ二ダスにも等しい防御があったからだ。

 

都議会の某女史が「早く結婚しろ」とヤジられて「セクハラで傷ついた」と大騒ぎ。衍化すれば親が子供に早く結婚したらと言えば「セクハラ」になってしまうのか。政治家の「戦場」は「議会」である。(生卵、サンダル、レーザーポインター、極言すれば、或いは銃弾で)狙撃されないだけでもましである。都政は任せられても、国政をゆだねることは出来ない。スポーツにもヤジはある。キレたり、傷ついたりしていたら戦に負けるのは必定。

 

確かに母子家庭も多いし、晩婚化も進んでいる。子育て支援、不妊症支援を訴えるよりも、自分の頭で考えて、適齢期減税などの個人の可処分所得を増加させる法案などを提出した方が根本に近づけるものを、「逆手に取る」どころか、「セクハラで傷ついた」とは、受け狙いの「覚悟に欠ける政治屋」と断言できるし、片や、煽り立てるマスコミも「受け狙いの軽薄さ」を隠しきれてない。号泣議員も「お騒がせ以前の詐欺師」であった。

 

日本産婦人科学会は事実婚での体外受精を認める(法的に整備して国費で支援せよ)と発表した。これも衍化すれば、精子バンクの精子での体外受精を認めるということになる。まず体外受精の成功から出産への成功率を上げる最善の努力をすべきであろうにと思う。

 

八路軍の狙撃兵(スナイパー)のライフル弾が部隊の先頭にいた者の腰部をかすめて後方にいた父の左側頭部を衝撃波が襲った。直撃は無かった。そして、ソビエト侵攻、挙句、シベリア抑留、家畜(生かしたままシベリヤ鉄道で運ばれ、勿論ソビエト兵が食する)の(強制キャンプへの引き込み線路上に溢れた)糞中の半消化の豆を食らい餓死もせず、凍死もせずに、感染症で死にもせず、極度の栄養失調で舞鶴に帰国、アメリカのB29の焼夷弾から逃れ疎開していた女と結婚、私は1951年に生れた。それでこの原稿を書いているのが父から私につながる個人歴だ。(僅か1860年ほど前の、諸葛孔明、司馬懿の時代には勿論、スナイパーは存在しません。)

 

 

 

本稿に入ります腎病水腫論の最終稿です。腎病漢方治療講座は413報になりました。そろそろ読者に飽きられてくることでしょう。

 

慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、隠匿性糸球体腎炎の患者群で、以下の症候、即ち、中等度或いは軽度の水腫、小便不利、口干渇、胸腔或いは胃脘灼熱、舌紅苔燥、形寒肢冷、四肢困重、頭昏沈、大便不実、腰膝酸痛沈重、両下肢寒涼、脈象沈の症候を示す場合に、(中医は)肺熱脾腎虚寒上熱下寒寒熱交錯と弁証するのです。大便不実とは形のある大便塊の無い水様或いは泥状便という意味です。

 

方用:花粉瞿麦湯(温腎健脾 清肺利水:清肺温腎利湿法) 生薬組成:天花粉養胃生津 清肺熱 消腫排膿)20g 瞿麦(活血利水通淋)20g 附子(補火助陽 散寒止痛 回陽救逆)15g 山薬(益気健脾)20g 茯苓(健脾利水)1520g 澤瀉(利水滲湿 泄腎濁)20g 麦門冬(甘微苦/微寒 潤肺養陰、益胃生津、清心除煩)20g 知母清熱滋陰潤燥 清肺利咽)15g 桂枝(通陽)15g 黄耆(益気健脾)30g 甘草15g

 

二文字で花粉と記載している場合は天花粉を指します。最初の五薬の配伍は金匱要略「消渇小便不利脈証併治編」の中、条文「小便不利者、有水気、其人若渇、栝萋瞿麦丸主之」、栝萋瞿麦丸」:栝萋根瞿麦附子山薬茯苓の組成と同じです。これも衍化の類になります。条文には大便不実の記載は無いようです。栝萋 瞿麦も薬性は共に寒です。張琪氏は栝萋根由来の天花粉を使用しています。天花粉 瞿麦 附子 山薬 (甘草) 茯苓湯とそのまま覚えると良いでしょう。「かふんくばくぶし山薬かんぞう茯苓湯」という具合です。栝萋根(かろこん)は栝楼根、瓜荽根と記載されていることもありますのでご注意ください。

 

要薬考 No6 栝萋或いは栝楼、天花粉と薤白

 

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20121108

 

要薬 考 No7 天花粉の臨床

 

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20121109

 

澤瀉(利水滲湿 泄腎濁)20gから始まり、麦門冬(甘微苦/微寒 潤肺養陰、益胃生津、清心除煩)20g 知母清熱滋陰潤燥 清肺利咽)15g 桂枝(通陽)15g 黄耆(益気健脾)30gまでが原方加味となっているわけです。

 

上熱下寒とか、上実下虚とか、上下の弁証用語が中医学には頻出します。八綱弁証は、ご存知の通り、寒熱、虚実、陰陽、表裏ですから、寒熱、虚実は別にしても、厳密な意味では上下弁証は含まれません。三焦弁証、臓腑弁証で上中下の概念が出てくるのです。

 

難解な(と言っても、殆ど清朝滅亡以降に進化が無く、診断や治療用語において、いつもながらの古典復帰で、飽きの来る)水腫基礎理論を説明するより、症例への応用をご覧になった方が宜しいかと思います。ご参照ください。

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140130

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140131

 

慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140223

 

本日も「飽きないで読んで下さる方々」に御礼申し上げます。暑湿の候、御体には御自愛ください。ドクター康仁拝

 

 

 

2014年7月11日(金)

 


腎病と水腫論 漢方薬 5 「湿熱中阻 和中分消法」(腎病漢方治療412報)

2014-07-10 00:15:00 | 漢方市民講座

 

漢文が全くの表意文字であるので、私の講座は殆どの読者には「想像力の世界」になります。でも、ご心配なさらずに。極々一部の漢族の更に一部の人々しか漢文は理解できず、殆どの現代中華人民共和国の人は全く理解できないのですから。「想像力」とて、読者が劣っているとは私には思えません。<o:p></o:p>

 

本稿に入ります。<o:p></o:p>

 

急性、慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群の患者群で、腹水が著しく、腹部が膨満し、小便不利、大便秘結、五心煩熱、悪心嘔吐、口干食納減少、舌質紅苔白厚膩、舌体胖大、脈弦滑或いは弦数;大量の蛋白尿、低アルブミン血症、高脂血症、時にCreBUNの上昇を示す群があります。<o:p></o:p>

 

(これらの症候を中医は)病情の気機(メカニズム)は脾気虚で脾の本来の昇清機能が失われ、湿濁が中阻(中焦に阻滞)し、胃の気滞が降濁を失い熱と瘀を帯びた、即ち虚中挟瘀、湿熱中阻の証と弁証します。(何処にも腎が出てきませんね。これも中医弁証の特徴です。)<o:p></o:p>

 

方用:中満分消飲加減黄芩1015g 川黄連10g 草果仁15g 檳榔(行気利水消積殺虫)20g 半夏15g 乾姜10g 陳皮15g 姜黄(破血行気 通経止痛) 澤瀉25g 猪苓20g 茯苓1520g 白朮1020g 干晒人参1015g 砂仁15gの配伍も可) 川厚朴20g (枳実15gの配伍も可) 知母15g 甘草10g<o:p></o:p>

 

敷衍(ふえん)という漢字をご存知であれば、本方は李東垣中満分消丸から衍化されたもので、張琪氏の自創方(に近い)です。<o:p></o:p>

 

配伍生薬を中医学的に説明すれば、苦寒の黄連 黄芩は清熱除痞に、乾姜 砂仁は脾胃を温め運化除湿を助け、白朮 人参 甘草 茯苓(四君子湯)は益気健脾に作用し、厚朴 枳実 姜黄は開鬱理気散満に働き、半夏 陳皮(橘皮)は和胃降逆に、猪苓 澤瀉 茯苓は利水に、知母は水の上源である肺を清する組成になっています。<o:p></o:p>

 

本方は「内経」の記載によるものです。「素問 陰陽応象大論」の「中満者、内に之を瀉す」に根拠とする分消法であり、「辛熱を以って散じ、苦を以って瀉し、淡滲をもって利し、上下分消(湿熱)となる。」という記載から後世の医家、例を挙げれば李東垣は(蘭宝秘蔵)で中満分消飲を創方しています。清昇濁降となれば張満は自ずと除かれます。この上下分消法は慢性腎炎の水腫張満、口干苦、悪心、小便不利、高窒素血症(腎不全)などに有効な法であるとされます。<o:p></o:p>

 

中満分消飲の臨床応用の実例は過去の記事を再度ご参照ください。論より治療効果ですから。症例から何かを感知すれば宜しいのです。<o:p></o:p>

 

ネフローゼ症候群<o:p></o:p>

 

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20130601<o:p></o:p>

 

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140117<o:p></o:p>

 

腎不全http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140416<o:p></o:p>

 

肝硬変の腹水軽減にも有効であるとする報告もあります。腹水が顕著な場合に、二丑(牽牛子:黒白丑共に逐水瀉下 袪積殺虫に働く、峻下利水薬)にて逐水するという加味も可能です。但し有毒ですので、量は一日量30gが限度です。<o:p></o:p>

 

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2014年7月10日(木)<o:p></o:p>

 


腎病と水腫論 漢方薬 4 「三焦水熱 疏鑿清利を選用」(腎病漢方治療411報)

2014-07-09 00:15:00 | 漢方市民講座

 

またまた、「黄帝内経」に曰く「上焦如霧、中焦如?、下焦如?」。「素問 霊蘭秘典」曰く、「三焦者决?之官、水道出焉」の古典漢文の水腫論の続きになります。本案の疏鑿飲子(そさくいんし)は分利湿熱法に属します。<o:p></o:p>

 

原方の疏鑿飲子(世医得効方)の組成は以下になります。<o:p></o:p>

 

羌活 秦艽 大腹皮 茯苓皮 生姜 澤瀉 木通 椒目 赤小豆 商陸 檳榔<o:p></o:p>

 

処方中の羌活、秦艽は疏風透表に働き、表にある水気を汗にさせて疏解する。大腹皮、茯苓皮、生姜は羌活、秦艽に協力して、肌膚の水を取り除く。澤瀉、木通、椒目、赤小豆を用い、商陸、檳榔と協同して、二便を通利し、裏にある水邪を下せる。全身水腫の治療方剤です。大便不暢の原因を津欠腸燥とする説や、三焦の気機が閉塞されて二便が不通になるという説もあります。治療は表裏分消の法となります。表裏分消を説明すると、商陸は瀉下逐水で、二便を通利し(大便 小便)、檳榔、大腹皮は行気導水し(小便)、茯苓皮、沢瀉、木通(木通は、最近は腎毒性のために使用されません通草で代用します)、山椒、赤小豆は利水袪湿で、裏の水が二便から除かれる。
羌活、秦艽、生姜は疏風発表で、水湿を肌膚から排泄する。諸薬は協同して表裏の水湿を体表と小便、大便から除去するという意味が表裏分消です。
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皮膚瘡瘍が熱を持ち腫れている者には金銀花 地膚子を加える。大便乾燥不通者には大黄を倍量にして火麻仁を加える。商陸に関しては以前の記事を参照してください。<o:p></o:p>

 

峻下逐水薬に分類されます。商陸は大小便を通暢させことで、水湿を除きます。<o:p></o:p>

 

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20130309<o:p></o:p>

 

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20130227<o:p></o:p>

 

さて本稿に入ります。増味疏鑿飲子:発表瀉下利水 清利三焦水熱<o:p></o:p>

 

檳榔(行気利水消積殺虫)20g 商陸(苦寒/有毒 行水退腫、散結消腫)15g<o:p></o:p>

 

茯苓皮(健脾利水滲湿)15g 生姜皮15g 大腹皮下気寛中、行水消腫、止瀉)15g 椒目(温中燥湿)15g 赤小豆(利水消腫、解毒排膿)30g 澤瀉10g <o:p></o:p>

 

秦艽(祛風湿、舒筋絡、退虚熱)15g 羌活(解表散寒、祛風勝湿、止痛)15g<o:p></o:p>

 

車前子15g 萹蓄(利水通淋)15gは加味する場合もあります}二丑(牽牛子:黒白丑共に逐水瀉下 袪積殺虫に働く、峻下利水薬)各30g 海藻(消痰軟堅 利水退腫)30g<o:p></o:p>

 

表裏内外から水邪を表裏分消、上下分消する全身水腫の方薬です。<o:p></o:p>

 

論より治療効果ですね。過去の記事をご参照ください。<o:p></o:p>

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140127<o:p></o:p>

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140128<o:p></o:p>

 

(前稿の409報の「陽水」が出てきますよ)<o:p></o:p>

 

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2014年7月9日(水)<o:p></o:p>

 


腎病と水腫論 漢方薬 3 「水気交阻には新方流気行水方」(腎病漢方治療410報)

2014-07-08 00:15:00 | 漢方市民講座

 

連続テレビ番組「三国志」も終わりました。経過中に感じたことは「なぜ各国がそれぞれ文武百官を要したか?」という疑問です。結論は、異文化、異言語、異民族の三国であったなら、文書外交、謀略宣伝、諜報活動などに異国の言語に通じる文官がどうしても必要であったのではないかということです。それぞれの国が、少なからず、他民族の外人部隊をかかえていたわけですから、自国でも意思の疎通すら困難ではなかったか。魏が滅び、宋が興り、外来民族による国家の興亡が繰り返され、「漢民族」などは一体何処に消えたのかとすら思い始めています。漢文は表意文字として残りましたが、現代の中華人民共和国で漢文の表意を理解できる人々は殆どいないでしょう。<o:p></o:p>

 

「黄帝内経」に曰く「上焦如霧、中焦如?、下焦如?」。「素問 霊蘭秘典」曰く、「三焦者决?之官、水道出焉」などを医学の根拠理論として中医が引用するのは、大いに無理があります。「上焦は霧のようであり、中焦は泡立つアブクのようであり、下焦は用水路の溝のごとくであり、三焦は下水道につながり水道は終わる」の如き引用からは、解釈の問題であり、医学的根拠にはほど遠い感じがします。(出目民族の異なるそれぞれの中医が以上の「漢文」を引用して)、三焦は人体の水液昇降出入の通道であり、もし三焦の気化効能が受阻され常を失えば、水道不暢で水液停蓄が生じ、脾胃不和により運化を失い、他には三焦気滞不通が生じ、(したがって)脘腹張満、四肢腫、気不下行、ゲップ(?气)や脇肋の張痛を併発し、小便不利、大便不通などの症候が出現する。(と中医は説明するのが常のようです)<o:p></o:p>

 

中医は一般に有識者としてみなされるようですが、それは「漢文」の表意を理解できるからであり、その数が限られているという意味です。(断言は出来ませんが、ほぼ間違いないことでしょう)<o:p></o:p>

 

尊敬する張琪氏にしても、恐らくは(漢民族ではなく)満州族の出であろうかと思います。<o:p></o:p>

 

本稿に入ります。具体的に日本語の口語調で解説します。<o:p></o:p>

 

慢性糸球体腎炎およびネフローゼ症候群を示す腎病で、お腹が腹水のために腫れ、腹部は張れていっぱいになった感じがして、手足は浮腫んで腫れあがり、わき腹には張ったような痛みがあり、小便の量が少なく、口や咽が渇き、嘔吐や嘔気で食べられない、顔は浮腫んで、大便は秘結して出ない、体は浮腫んで腫れ、皮膚の色は青っぽい、舌の苔は厚く白くべったりとしていて、やや黄色のこともある。脈象は沈滑であるが有力である。<o:p></o:p>

 

かかる症候の場合に、気滞水蓄の病と弁証し、水気同病、気滞即ち水積、水積即ち気鬱、気と水が互結して、三焦の運行を傷害する、故に上記の症候が現れる(と中医は考えます)。<o:p></o:p>

 

方用: 新方流気飲:効能:疏鬱利水(気滞を改善し利尿する):干晒参15g 白朮20g 茯苓20g 甘草10g 半夏15g 陳皮15g 公丁香10g 広木香7g 枳実15g 川厚朴15g 檳榔15g 香附子15g 草果仁10g 青皮15g 大黄10g 肉桂7g<o:p></o:p>

 

本方は木香流気飲を基礎にしているものです。人参から陳皮までは六君子湯;健脾胃除痰湿に作用し脾の運化を改善し;丁香 肉桂 草果仁は温振脾陽に、枳実 厚朴 檳榔 香附子 青皮 木香は疏鬱理気にて三焦の気化を通利させ、大黄は清瀉胃熱して湿濁を降ろします。甘遂(苦甘/寒 峻下逐水)を酢で炮制しやや黄色になったものを5~7gを加味すると、腹水の消失、大便の通利、小便の量の増加に有利に働くことがあります。<o:p></o:p>

 

具体的な治療例については以下の記事をご参照ください。<o:p></o:p>

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140126<o:p></o:p>

 

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2014年7月8日(火)<o:p></o:p>

 


腎病と水腫論 漢方薬 2 「陽虚陰水には加味真武湯が適宜」(腎病漢方治療409報)

2014-07-07 00:15:00 | 漢方市民講座

 

まず、「陰水」からお話ししますと、脾腎陽虚で水湿の温運無力となり水腫を形成したものを「陰水」というのです。陰陽論から、当然の如く、(井上)陽水の「陽水」があります。(中医の定義づけは)風邪外侵、飲食不節度を成因とするのが陽水、労倦内傷、生育不節を成因とするのが陰水となります。病理論では、表証、実証、熱証が陽水、裏証、虚証、寒証が陰水、発病と病呈の特徴は、急短が陽水、慢長が陰水、主な症状として陽水は頭部顔面から発症し、皮膚は弾力があり光沢、指で押すと陥没の回復が早く、陰水は下肢から始まり、皮膚は弛緩し無光沢、指で押すと陥没の回復が緩慢です。観察と診察、問診からの情報であり、習慣化してしまえば、陰水、陽水の区別は半ば自動的に出来るものですが、(腎臓内科専門医でも)そもそも観察、診察しなければ無縁のことになります。<o:p></o:p>

 

全身浮腫、腰以下に浮腫が著しく、指で押すと陥没は容易に回復せず、水腫の反復発作があり、小便の量が少なく、便は溏で不爽、脘腹張満、腰痛、畏寒肢冷、精神萎糜、面色は暗あるいは皓白、舌体胖で水っぽく、舌質淡、瘀斑あり、脈沈細遅或いは沈渋の症候(情報)が脾腎陽虚の陰水の弁証根拠となります。<o:p></o:p>

 

治療は温腎健脾利水活血の剤が宜しいのです。<o:p></o:p>

 

方用:加味真武湯附子(先煎)2530g 茯苓30g 白朮25g 白芍25g 生干人参15g 麦門冬15g 五味子15g 益母草30g 紅花15g 桃仁15g 生姜15g 甘草15g<o:p></o:p>

 

本方は温腎健脾利水活血の剤で、慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群のうち腎陽虚の水腫を主治とします。方剤中の附子は温助腎陽の品;人参 白朮 茯苓 甘草は益気健脾(四君子湯);白芍 五味子 麦門冬は斂陰滋陰の品;人参 附子 白朮は温熱燥の薬、故に斂陰滋陰の剤を配伍し、陰液を守り、熱燥耗陰を防止します。<o:p></o:p>

 

高度の水腫状態では、血液の凝固能が亢進します、故に益母草 桃仁 紅花の活血利水にて血凝を改善し、水腫がのぞかれ、気血が通暢となれば、全身の機能が回復するのです。<o:p></o:p>

 

益母草(活血利水消腫)は副作用が無く、使用上便利かつ有効な生薬です。<o:p></o:p>

 

附子に関しては多く説明してきましたので詳細は省きます。<o:p></o:p>

 

本稿の方剤は見ようによっては真武湯合参麦飲になります。過去の記事をご参照ください。<o:p></o:p>

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140125<o:p></o:p>

 

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2014年7月7日(月)<o:p></o:p>