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アトピー性皮膚炎 苔癬化アトピー 漢方治療15報

2014-07-31 00:15:00 | アトピー性皮膚炎

 

幼少期からアトピー性皮膚炎を患って、いわゆる対症療法である副腎皮質ステロイド軟膏を外用して、自覚症状の悪化と穏解を20年も繰り返していると、いわゆる「苔癬化アトピー」の状態になります。皮膚はゴワゴワして、肥厚して硬くなり、指で皮膚をつまむことが困難になります。素体(アレルギー体質)をそのまま放置して、外用剤で痒みに長期間対処しているうちに、ほとんどの症例が苔癬化アトピーに陥ります。苔癬化が全身に及ぶと、皮膚の発汗作用も失われ、「汗をかくことが出来ない」皮膚の表面が広がってきます。

 

症例(26歳男性)の苔癬化アトピーの写真からご紹介します。(写真下)

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全身の写真もありますが、ブログ容量の問題があり、手甲と指の写真のみにしました。皮膚表面は乾燥、ザラザラ、ゴワゴワして、皮膚が厚くなり固くなっています。写真の解像度が悪く、はっきりと認識出来ないかもしれませんので、やや斜めから撮ったコントラストのある写真(下)をご覧ください。

 

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苔癬化(皮膚の乾燥、厚化と硬化、表面の粗造化)がご理解いただけると思います。このような苔癬化がほぼ全身に生じると、患者さんの精神的痛苦も大なるものです。

 

苔癬化アトピーに対する私の認識:およそ、人体の皮膚組織は2か月もしないうちに、新しい皮膚組織に置き換わるのが本来の姿ですが、汗皮脂腺も含め、本来の正常な皮膚組織が繰り返される炎症のために生じた結合織の増生によって破壊され、皮膚の代謝自体が低下しきっている状態のところには、新生皮膚組織が、素体(皮膚アレルギー)を改善させないうちは、たとえ部分的に置き換わっても苔癬化アトピーは改善しないと認識しています。

 

苔癬化アトピーに対する私の治療方針:発赤に清熱解毒剤を濫用するとほとんどの清熱解毒薬は燥湿という「乾燥」させる性質から、発赤は幾分改善されても皮膚の乾燥は進むことになります。後に大まかな治療方針を記載しますが、まずは2か月後の治療結果を示す写真をご覧ください。(写真下)

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手首部分の湿疹が消失、手甲部分の苔癬化局面がほぼ穏解し、冒頭の写真のような紫色の瘀血が消失しています。何より皮膚がつまめるようになり、苔癬化局面は寛解へ向かっています。

 

玄参(清熱解毒養陰)生地黄(養陰清熱)知母(滋陰潤燥)牡丹皮(清熱涼血 活血祛瘀)赤芍(清熱涼血 祛瘀止痛)などを念頭に入れなくてはなりません。外用剤としては、副腎皮質ステロイド剤は1/6程度に減量し、紫草(清熱涼血)エキス、当帰(養血、活血、止痛、潤腸通便)エキスなどを配伍します。(これ以上の生薬配伍と外用剤の細部は企業秘密です。)久病挟瘀、抗過敏、かつステロイドは傷陰する。これがキイポイントです。

 

患者は治療開始後半年で脱毛した部分から産毛(うぶげ)が生えてきて、汗が出るようになったと喜んでいました。

 

 

 

思い返せば、無理やり温薬で発汗させている?患者は「汗が出るからこれでいいのです」という症例がありました。

 

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20120719

 

アトピー性皮膚炎の漢方治療 傷寒論は向かない?

 

以上ご参照ください。

 

 

 

ドクター康仁

 

2014731日(木)