三昧日記

小心者川筋男の後悔日誌

短波無線機の改造

2016-09-17 08:39:11 | 日記
今回もマニアな話。

まず,最初に前回のブログで用語に間違いがあったので訂正する:
(誤)抑制格子→(正)遮蔽格子
一般にはサプレッサグリッド,スクリーングリッドと呼ばれている。この無線機の送信管はビーム管であるので抑制格子は存在しない。ビーム形成電極を抑制格子のように捉えている人もいるようだが,正確には違う。

さて,前回予告したように無線機を改造した。その内容はつぎのとおり。
(1)出力電力を1Wから10Wまで連続的に変えることができるようにする。
(2)背面にある電鍵ジャックを前面に移設する。
上記いずれもそのための部品を取り付ける場所が必要。かなり時間をかけて検討したが,結局RITと呼ばれる機能を犠牲にした。下の写真をご覧いただきたい。

上の写真で,赤矢印が示しているのがRITで受信周波数を変えるための可変抵抗,緑の矢印で示しているのがRIT機能のON/OFFスイッチである。これらを撤去して上側に出力電力調整のための可変抵抗を,下側に電鍵ジャックを取り付けることにした。電鍵ジャックは本来左隅の黄色い矢印で示した場所が最適なのだが,どうも空間的余裕が不足している。(しかし,まだ諦めてはいない。)
作業開始。
前面パネルを外したところを下の写真でご覧いただきたい。

何しろ何十年も弄っていない(はずな)のでつまみを固定しているねじが容易に外れなかった。もちろん,5-56の登場だが,それでもかなり苦労した。
改造の経過を披露してもしょうがないので結果だけをお見せしよう。
下の写真はRITによる受信周波数調整用可変抵抗を取り外してビニル袋に入れたところである。

こうしておけば,全体の機能に害を与えることなく外した場所に出力電力調整用可変抵抗を取り付けることができる。実際,取り付け,配線した。
つぎの写真はRIT ON/OFFスイッチをはずして,これまたビニル袋に押し込んだところである。

必要ならいつでも原状回復が可能である。ON/OFFスイッチの跡地には電鍵ジャックを取り付けた。
機能確認を済ませて全体を組み立てたところを下の写真に示す。

改造した場所がお分かり頂けるであろうか?
本来ならパネルにきちんと文字を入れたいところだが,なかなか難しい。取り敢えずダイモテープで貼りつけた。
出力電力の調整だが,可変抵抗を反時計方向一杯に回したところで0.9W程度,時計方向一杯に回したところで11W程度出ることを確認した。

補足1
出力電力について一言。電波法第54条につぎのように定められている:
無線局を運用する場合においては,空中線電力は,つぎの各号の定めるところによらなければならない。ただし,遭難通信については,この限りでない。
一 免許状等に記載されたものの範囲内であること。
二 通信を行うため必要最小のものであること。
無線局免許状には最大電力が示されているのでその電力以下でなければならないのはもちろんであるが,通信を行うために必要な最低の電力での運用が求められているのである。これは不要な混信などを防止するためであろう。
上記のことを実行するためには出力電力を調整する機能が必要である。最近の無線機にはこのような機能が搭載されているが,昔のものには付いていない。わたしはこのことを以前から不満に思っていたのである。

補足2
RITはReceiver Incremental Tuningの略である。
送信周波数を変えずに受信周波数のみ変えること。交信を開始して,相手の信号(の周波数)がずれていて聞きづらいとき使用する。
もし,この機能を使わず(相手の信号が聞き取りやすいように)周波数の設定を変えるとこちらの送信周波数も変わってしまう。すると,相手がこちらの信号を聞き取りにくくなり,相手も周波数をずらす。するとこちらは再び相手の信号が聞きづらくなり・・・。結局いつまで経っても双方が満足にいく状態に収斂しない。――RIT機能を使えば一気に解決する。
昔の自作時代の無線機は送信機と受信機が別々であったから本質的にRIT機能付きであった。また,最近の無線機を使っていても,わたしはRITを使うことがほとんどないので今回撤去したのである。

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