三昧日記

小心者川筋男の後悔日誌

38年ぶりに疑問解消

2016-12-29 07:40:05 | 日記
28歳からの2度目の学生生活の第一学期は新鮮であった。
力学演習という講義があって,わたしとはそれほど歳の違わない先生が懸命に
声を張り上げていた。教科書は先生自ら書かれたもの。まだワードプロセッサ
のない時代で,先生の手書きであった。
それはともかく,重積分の計算で疑問に感じたことがあった。先生や同級生に
尋ねればよかったのだが,タイミングを逸してしまったのである。それ以後,
ときどき気になって調べたのだが,疑問は解消しなかった。
それから38年。ついに解けた。

問題の重積分を見てみよう。下の式は重心を求めるものである。

わたしは積分の式では「∫とdで括弧を構成していて,この括弧に挟まれた関数
が積分の対象となる」と理解していた。よって,たとえば二重積分では∫∫のつ
ぎに被積分関数が書かれ,最期に閉じ括弧としてdが2つ続くのである。
上の例では,被積分関数はy2ρであり,それを∫∫とdxdyで囲んでいる。

ところが,講義が進んでいくと下のような記述が現れたのである。

これは慣性モーメントを求める式であるが,上に示した括弧構造をしていない。
第1の式のIzを求める積分では,被積分関数が分離できるのでいいのだが,第2
の式のIxとIyを求める積分では括弧構造からはずれている。
Ixを求める式の第2行ではdφの右の∫の右にφを含む関数が置かれている。
わたしの認識ではこの2番目の積分は「定数1(1は書かれていない)をφについ
て0から2πまで積分する」ということで,結果は2πとなる。
しかし,テキストではこうなっていない。dφの後ろ(右側)にある関数を積分
しているのである。
――これが理解できなかった。

最近またふと思い出して一度目の学生時代の教科書を取り出して「重複積分」の
章を拾い読みしてみた。すると,脚注にわたしの疑問に答える記述があった。

上の写真をご覧いただきたい。脚注の2)にいずれでもよいと書かれている。
何と!すでに習っていたのである。それを認識するのに38年を要したという
ことになる。
以上