ひとり鍋

　東京は師走に入るや否や、朝からの氷雨に思わず「さぶっ！」と叫びたくなるような厳しい冷え込みになった。昨日との気温差は11℃だという。夏に続いてこの冬も節電に協力すべく、厚手の下着と重ね着で、未だに暖房をしていない。寒さに弱い僕、今日の寒さに暖房をしようかと迷ったが、鍋物で温まることにした。鍋物の定番おでんを作ってみたが、悲しいことにひとり鍋。身体は温まっても心が寒い。

　しかし世の中には一人がいいという御仁も多いらしい。最近流行りの「ひとりカラオケ」や「ひとり焼肉」「ひとりしゃぶしゃぶ」が人気だという。それぞれ専門店があり、誰にも気兼ねなくひとりを楽しむことができるとか。僕なんか専門店に行かなくとも、毎日ひとりを楽しんでいる、というのは負け惜しみだが。。。

　『ひとりかくれんぼ』などという奇妙な怪奇ゲームもあると聞くが、それは僕のテリトリーではない。若いころの一人旅は何度もしたことがあり、若さゆえの特権だった。今、一人暮らしは、気ままな自由と心の寒さの抱き合わせ。そんなときは、ひとり鍋でかりそめの暖をとることにしよう。いずれ、ひとりかくれんぼするときが来るまで。。。折角おでんで温まったのに、結局また『さぶっ！』い話になってしまった。ア～ァ！