春とは名ばかりの冷たい風に、思わずコートの襟を立てる。東京では、2月25日に春一番は吹いたものの、その後も春と冬が交互にやってきて、今日も真冬のような寒い一日だった。しかし、植物は確実に春を感じ取っている。

閉じた両手を広げると、中から春が飛び出してくるかのように、早くもわが家のベランダの都忘れが、遠慮がちに蕾をほころばせはじめている。どんなに冬が寒くても、時が来れば春は忘れずににやってくる。都忘れがそう言っているかのようだ。
「都忘れ」の名は、佐渡に流刑の身となった順徳天皇が、毎日、都を思って涙にくれるある日、庭の片隅に咲く一輪の花を見て、その美しさに「しばし都を忘れさせてくれる」と言ったからとか。。。
今年の6月が来ると満100歳になる柴田トヨさんの詩ではないが、物忘れが激しい今日この頃、それを淋しいと思わず、厭なことは忘れることで幸福と思えばいい。と言うのは負け惜しみだが。。。

閉じた両手を広げると、中から春が飛び出してくるかのように、早くもわが家のベランダの都忘れが、遠慮がちに蕾をほころばせはじめている。どんなに冬が寒くても、時が来れば春は忘れずににやってくる。都忘れがそう言っているかのようだ。
「都忘れ」の名は、佐渡に流刑の身となった順徳天皇が、毎日、都を思って涙にくれるある日、庭の片隅に咲く一輪の花を見て、その美しさに「しばし都を忘れさせてくれる」と言ったからとか。。。
◇忘れる◇
歳をとるたびに
いろいろなものを
忘れていくような
気がする
人の名前
いくつもの文字
思い出の数々
それを 寂しいと
思わなくなったのは
どうしてだろう
忘れてゆくことの幸福
忘れてゆくことへの
あきらめ
ひぐらしの声が
聞こえる
-柴田トヨさん-
歳をとるたびに
いろいろなものを
忘れていくような
気がする
人の名前
いくつもの文字
思い出の数々
それを 寂しいと
思わなくなったのは
どうしてだろう
忘れてゆくことの幸福
忘れてゆくことへの
あきらめ
ひぐらしの声が
聞こえる
-柴田トヨさん-
今年の6月が来ると満100歳になる柴田トヨさんの詩ではないが、物忘れが激しい今日この頃、それを淋しいと思わず、厭なことは忘れることで幸福と思えばいい。と言うのは負け惜しみだが。。。