勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

君を守り隊

2006-11-30 21:03:36 | Weblog
『君を守り隊』

 茨城県筑西市立下館中では、10年前に教師が呼びかけ、生徒が自主運営する「守り隊」ができた。生徒一人ひとりが隊員となり、いじめの情報収集やパトロールを始めた。やがていじめは見られなくなり、4年前にパトロールをやめても変わりないという。

-朝日新聞「天声人語」から-


 29日、首相官邸で開かれた教育再生会議「いじめ問題への緊急提言」で取り上げられた当初案のひとつ。
問題を起こす子に、指導、懲戒の基準を明確にし、毅然とした対応をとる。
加害者の「出席停止」や「見てみぬふりをする者も加害者とする」などが提案された。
加害者を出席停止にするという案は盛り込まれなかったが「ひとつの選択肢としては将来的にはあってもいいのではいないか」という。

 8項目の提言を読んで思う。なんと愛情のない、責任放棄ともいえる無責任な提言なのだろう。
いじめは被害者も加害者もいつ入れ替わるかわからない。表面化しないいじめもあるだろう。そちらのほうが深刻な場合もある。いじめの定義も受け手によっても違うだろう。

斉藤茂太さんの著書にこんなエピソードが載っていた

 電車に乗った2~3歳の子供を連れた母親がいた。席に座った母親は、前のベビーカーの子供とニコニコと話をしていた。やがてその子はむずがり、ついには大きな声で泣き出した。すると母親はベビーカーから子供を抱き上げ、ただ、じっと抱きしめた。子供はすぐに泣きやみ、母親の胸に頬を押し付けながら満足そうに何かしゃべりだした。


 このときに子供を叱ったらどうなっただろう。もっと大きな声で泣いたかもしれない。

 いじめは加害者が悪いのはわかりきったこと、しかし加害者に罰を与えて果たしていじめがなくなるだろうか?いや、それ自体がいじめではないのか。他人ごととして外からいじめを見るのではなく、冒頭の下館筑西中の「君を守り隊」のような愛のある対応はないものだろうか?いじめる子も、いじめられる子も、このお母さんのような愛の心で、先生や友達からじっと抱きしめられたら、いじめも自殺もなくなるかもしれない。
2006.11.30