
「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」 林芙美子
東京でも桜の開花宣言があり、いよいよ春本番。
温かな春の陽射しに、墨田公園の桜もたった一輪だけ、青空に向かって微笑んでいた。
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折節の移り変わるこそ、ものごとにあわれなれ。
もののあわれは秋こそ勝れと人ごとに言ふめれど、それもさるものにて、際心(きはこころ)浮き立つものは、はるの気色(けしき)にこそあめれ。
鳥の声なども、殊の外に春めきて、のどやかなる日影に垣根草萌え出づるころより、、やや春深く霞み渡りて、春もやうやう気色(けしき)立つほどこそあれ、折りしも雨風うち続きて、心慌ただしく散りすぎぬ。
青葉になりゆくまで、よろづにただ心をのみぞ悩ます。
吉田兼好「徒然草」より
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兼好は、「四季の移り変わるようすは、何につけても心に沁みるものがあり、特に桜の花が今にも開こうとするとき、雨や風の日が続いて慌ただしく散りすぎてしまう。
こうして青葉の時期になるまで、あれやこれやと気をもむ日々が続く。
そんな春は、どれもこれも見落とせず、よりいっそう心が目覚めるものだ」と言う。
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明日ありと 思う心の あだ桜
夜半に嵐の 吹かぬものかは
親鸞
桜の花が気になる季節になりました。
2006.03.21