
東京は昨日から頬を刺すような冷たい北風が吹き、春はどこかへ行ってしまったようだ。
それでも墨田公園のソメイヨシノは、確実にその蕾を膨らませていた。
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「笑いかけ」 佐野藤右衛門さん
一年間、手塩にかけて守った桜が、春になって蕾が膨らんでくる。
これをわしらは「笑いかけ」と言うんですが、微笑んだような状態になって、自分の力で咲こう咲こうとしている。
わしはこの瞬間があるから「桜守」をやめられないんです。
ほら、いま咲いている花のとなりの芽は、蕾になって半分風船を膨らませているように、プーッ、となってますわ。これが「笑いかけ」ですわ。いまにも笑い出しそうな顔に似とるやろ。
この「笑いかけ」なんか見ると、こっちも思わず微笑みたくなるやろ。
そうした見方ができるようになると、少し桜を見る目ができたということですわ。
集英社 「櫻よ」から
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靖国神社の桜の基準木も花を開き始めたそうだ。
2006.03.20