CozyConer

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東京の頂点 雲取山 日本百名山(5/100)

2009年04月12日 | 登山・ウォーキング

P1000022  11日早朝、埼玉県の所沢駅から特急電車に乗り込む。レッドアロー号だ。終点の西武秩父まで1時間程度のゴージャスな旅、目的は東京都の最高峰、雲取山の登山である。快適な旅はあっという間に終わり、西武秩父から三峯神社行のバスへ乗り換える。登山口まで一気にバスで向かうのだ。以前は秩父鉄道の三峰口駅からロープーウェイを経て三峯神社へ出るのがポピュラーであったが、老朽化の為ロープーウェイは廃止された。10時半頃に三峯神社へ到着するが、まだ早い時間のためか閑散としており、登山者のみがいそいそと準備に忙しそうであった。三峯神社はヤマトタケルを祀っているとのことで、個人的には非常に興味深いのだが、今回は先を急がせてもらうこととし、一路雲取を目差す。霊場っぽい雰囲気の木立の中を進む。よく整備された登山道で、快適なトレッキングだ。時折、チラチラと見える奥秩父の名峰、両神山が「こっちへも来いよ」と挑発しているようだ。

P1000187  比較的緩やかに高度を増していくと、やがて霧藻ヶ峰へ到着する。待望の昼食の時間だ。峠には有人の小屋というか売店があり、その軒先で休ませてもらうことにした。休憩料は一人400円でお茶かコーヒーが飲める。え?有料なの?と思うことなかれ、この場所で切り盛りするには相当なコストがかかると思う。管理人のおじさんとの会話や、他の登山者との会話で思わぬ情報も得ることができるので、積極的に利用したいところだ。実際にこの先、かなりのアイスバーンだという情報を得ることができた。もしアイゼンを持ち合わせていなければ、この時点で引き返すことができたのだ。

P1000205 さて、先を急ぐとしよう。更にゆるゆると高度を上げ、一旦お清平に出ると、ここからこの日のメインイベントの急登が始まる。前白岩を越えるまでの辛抱だ。ゆっくりと足を進めていくと、前白岩の肩に出た。一旦下ると廃墟と化した白岩小屋があり、ここで小休止。汗を拭きながら眺望にため息をつく。コーヒーを沸かして、持参した和菓子を頂いた。和菓子は酒まんじゅうだが、これがコーヒーと絶妙なるハーモニーをかもしだす。至極の時であった。

 
P1000209 のんびりもしてられずに、あたふたと出発した。さてもう一分張りだというところで、足元の様子が変わってきた。雪だ。所々に雪があり、しかも凍り付いている。しばらくそのまま登ったが、限界を感じて、軽アイゼンを装着した。途中、アイゼンを持っていないパーティーと遭遇したが、難儀しているようだ。ゆっくり登って欲しい、と声をかけて先を急いだ。

P1000212  雪の登りが一段落したところでサプライズ!目前に2頭のシカが!結構余裕で何かをついばんでいる。カメラを向けても焦ることなくジロっと睨まれるだけだ。まだ若いシカだったのか、結構無邪気な顔していてカワイイもんだ。もう少しかまってみたかったが、いい加減にして先を急いだ。

P1000224  やがて目前に数張りのテントが見えてきた。どうやら本日のお宿、雲取山荘に到着したようだ。テント場を抜けると、まるで昔の小学校のような山荘が出迎えてくれた。受付を済ませ、部屋に案内してもらった。8畳の個室の真ん中にコタツが用意されている。豆炭で暖められており、夜寝るときもコタツに足を突っ込んでもOKとのこと。混む様なら相部屋になります、とのことだったが、結局ボクら夫婦で広々使わせてもらった。

P1000227  18時の夕食が結構待ち遠しかった。準備が出来た、との連絡があり、食堂へ向かうと名物のハンバーグ。ご飯も炊きたてですごく美味しい。思わずお代わりしたかったけど、食べ過ぎには注意しないとね。でも回りの方々、「チョー大盛りで」とか「富士山級で」とか言いながらご飯のお代わりを要求していた。

P1000226  食後は部屋に戻り、まったりとした時間を過ごす。普段は口にしないウィスキーだが、紅茶で割って飲んでみると意外にも美味しい。病み付きになりそうだ。携帯電話もかろうじて圏内になるのでmixiの日記を書いてみた。また持参した緊急用のアマチュア無線機のスイッチを入れてみると、多摩地区のレピータが受信可能だ。さすが東京で一番高いところにある(厳密には埼玉県にいるのだが)。しかもこの無線機、ラジオの受信ができるので、周波数を81.3MHzに合わせてみた。するとおなじみのJ-WAVEが聞けるではないか。なんともご機嫌ではないか。だがしかし、容赦なく訪れる睡魔に勝つことはできずに気がついたら深い夢の中であった。

P1000238  翌朝は5時少し前に起床して日の出を拝もうと思っていた。しかしあいにく曇り空で雲がオレンジに輝く程度であった。昨晩は瞬く星空を仰ぐことができ、天の川までしっかり見れたのに・・・。しかし西側には雲海が広がっており、その雲の海から(たぶん)両神山が顔を覗かしているではないか。待ってろよ両神山、そのうち登ってやるぜ!相変わらず挑発的な山であった(笑)。

P1000246  朝食を済ませて出発の準備だ。ここから山頂までは通常で30分程だが、もうつるんつるんに凍りついている。軽アイゼンでは少々心もとない。前爪があればなぁ~と思いながら慎重に登っていく。今朝、他の登山者から聞いた話だと、巻き道を通った人が昨日滑落事故を起こしたとのことだった。この次期は巻き道、特に北面を回る道は大変危険なのである。とは言え、この山頂直下も危険であることは間違いない。1時間弱の時間をかけてようやく山頂へ辿り着くことができた。

P1000248  山頂はほぼ360度の展望だった。富士山も綺麗に見える。南アルプスも雪化粧した山並みがはっきりと確認できた。いやぁ~、本当に素晴らしい。ため息連発だ。写真を無造作に何枚も撮ってしまっていた。この山頂で、埼玉県、山梨県、そして東京都の1都2県の境になっている。

P1000268  山頂から奥多摩方面を目指してしばらく歩くとまるで芝生を植えたような鞍部に出る。振り返ると避難小屋の赤い屋根と青い空が見事なコントラストを描いていた。さっきから「きれいだねぇ~」しか言葉を発していないかもしれないと気付く。

P1000274  緩やかな斜面を下っていくと、やがて奥多摩小屋に到着する。ここは素泊まり専用の小屋だ。ここでしばしの休憩とすることにした。目前には富士山がそびえており景色も文句の付け様がない。いつもの珈琲鳴館のドリップコーヒーを取り出し、お湯を沸かす。じっくりと蒸してからドリップした。美味いコーヒーには和菓子が我が家の定番、今回は豆大福であった。

P1000278 この付近にはヘリポートがある。救助や狩猟、荷揚げ等に利用する設備だ。聞くところによると、東京都の石原都知事も時々ヘリで訪れて、趣味の狩猟をされるとのこと。お金持ちは違うねぇ~。三峰からだと5~6分で飛んで来れるとか。ダイナミックな話である。

P1000282  帰りは山梨の丹波(たば)にある鴨沢というところからバスで奥多摩駅へ向かう予定だ。しかしバスの時間をうまく意識して歩かないといけない。この時点でひょっとしたら11時半のバスに乗れるかもしれない、という期待があった。しかし場所を予測してコースタイムから割り出すと、コースタイムを10分上回るスピードが必要だ。しかも休憩は許されない。であればのんびり帰るべ、と言うことでお昼の準備に取り掛かった。この日の昼食は「ひきわり納豆そば」をチョイス。コッヘルにお湯を沸かして、乾燥麺と粉末スープを入れるだけ。納豆味が絶妙に美味い。インスタントラーメンのように油を使っていないので、食べ終わったコッヘルも油で汚れずに助かった。これはオススメである…と思ったが、帰宅してからスゴイ異臭に悩まされた。納豆は時間が経つとニオウのであった。

P1000294_2  やがて眼下には車道が見えてきて、しばらくその車道に沿っての下山になる。もう鴨沢バス停は目前だ。次のバスまで1時間ちょっとあるが、休息を兼ねれば大した待ち時間ではないだろうと思っていた。バス停に着くと、目ざとく酒屋を発見。ダッシュでビールを買いに行く。小走りできる余裕がまだあることに驚いた。今回の1泊2日の行程は、それほど体力的にしんどくは感じず、ちょっと余力を残しての行程に感じる。それが缶ビールで乾杯したとたんにヘナヘナと腰抜けとなってしまった。予定から少し遅れて、奥多摩駅行きのバスが到着したが、なんと素通り。え?満員で乗れないの?と思ったのもつかの間、2台で運行していたようだ。後ろのバスはガラガラでしっかり座って帰ることができた。今回もご他聞に漏れずに地元の居酒屋にて反省会を開催し、じっくりと反省を行った後にほろ酔い気分で我が家へ戻った。東京都最高峰、そして日本百名山の雲取山、良い山行が出来たことに感謝したいと思う。