道元禅師の御言葉に 「善悪は時なり、時は善悪に非ず」
というのがあります。
人及び一切のものには、善悪というものはありません。
善と思う時があり、悪と思う時があるということです。
人は一度に 「二つの考え」 を思うことは出来ません。
ですから、「善」 と 「悪」 と二つの考えを一度に思うことは
出来ないのです。
先ず 「善(悪)」 と思い、その 「善(悪)」 という考え方が
なくならなければ 「悪(善)」 と考えることは出来ません。
その 「善(悪)」 と思ってから 「悪(善)」 と思うわずかの間に
ものすごいスピードで移り変わっているのです。
普通では考えられないかもしれませんが、瞬間に
「自我」 というものが立てられるわけです。
これはすべて 「識の働き」 によるものなのです。