9月7日 チームニシムラプロジェクト@船の科学館

2008年09月08日 | 風の旅人日乗
東京都有明にある船の科学館とチームニシムラプロジェクトとの共同事業、
『誰でも無料体験セーリングイベント』第3回目の開催日。

前日が、やはり東京港近辺でのセーリングの仕事だったので、
そのまま東京に泊まり、有明には豊洲からゆりかもめで向かった。

豊洲から船の科学館までのゆりかもめ沿線には、
セーリングできたら楽しそうな水面がたくさんあるが、
業務用船舶が独占使用するための水面ばかり。

船の科学館とチームニシムラプロジェクトの体験セーリングイベントで使用している
船の科学館前の水面は、
学芸部のK部長の骨折りで実現した、
東京港内で唯一『ポジティブに』セーリングが許可された海面だ。

この日、くもりのち雨の予報が数日前から出ていたので、
また、
夏休みも終わっているので、
あまりたくさんの人は来ないだろう、という予想の元、
東京海洋大学OB&学生を中心にする今回のチームニシムラ側のスタッフは、
M橋さん御夫妻をはじめとする
7名だけの少人数に抑えた。
これに船の科学館の方たちが、
レスキュー艇配備、受付、ライフジャケット着用補佐などに4名加わってくださり、
今回の体験セーリングイベントのスタッフの総勢は11名。

この人数から逆算して、
受付、艇の発着補佐、参加者の艇の乗降補佐、インストラクター交代要員確保などを考えると、
出せる艇は、4隻+レスキュー艇1隻。

ただ、この日の東京は、天気予報が外れて晴れていたものの、
都心に湧き上がる積乱雲の発達具合や、その雲の通り道次第では、
特に午後、有明のセーリング海面も、突然の雷雨と突風に襲われる恐れがあり、
それに見舞われた場合のレスキュー態勢などを考えると、
海上に出る体験セーリング艇は3隻に絞りたい。
まあ、朝も曇&雨の予報が引き続き出ていたこともあり、
あまり人も集まらないだろうから、
3隻でも充分対応できるだろうと考えて、準備を始めた。


ところが、あけてビックリ。
11時に午前の受付けが始まると同時に、親子連れを中心に、
人が群れるように集まってくる。
申し込み名簿はすぐに50名に達し、
その時点で、これ以上は午後1時までの2時間では実際に乗りきれなくなると判断して、
午前の部の受付けは締め切りにしてもらったが、
午後の部も、受付けを再開してからほとんどすぐに申し込みが50名になった。

結局、今回のセーリング体験イベントは、
午前午後合わせて100名までで申し込みを打ち切らせていただき、
それ以降の希望者の方たちには、
せっかく来ていただいたのに本当に申し訳ないことだが、
今回は遠慮していただくことになった。
安全体制を最優先にしての判断だとは言え、本当に申し訳ありません。


100名の人たちを前にして自分の考えや夢を言葉で正確に伝えることなど、
あがっちゃうこともあって、ぼくにはとてもできない。
しかし、
一人一人の参加者に、セーリングの面白さや『海の上に出ることを喜ぶ自分』に気付いてもらおうと、
スタッフみんなで一生懸命対応していたら、
終わってみたら、たった1日で100人もの人にセーリングを体験してもらうことができた。

言葉よりも行動。
知識よりも体験。
人が一致団結したときの力の大きさ。
そして千里の道も一歩から。

いろんなことを考えさせられ、
いろんなヒントをもらったような気持ちになった1日だった。
スタッフ全員で夕食をご馳走になりながら、
船の科学館のK部長と、
「セーリングしてみたいと思っている人は、実はこんなにたくさんいるんですね」
というような会話をしたときも、
何かに背中を押してもらったような気持ちになった。

この日最後にセーリングを体験していただいたお母さんと息子さんは、
昨年7月29日に東京海洋大学で行なわれた
ハワイのセーリングカヌー〈ホクレア〉の日本航海を振り返るシンポジウムにも参加されたという方たちだった。
息子さんはそのときに作文も読んでくれたのだそうだ。
ごめんなさい、覚えてませんでした。

でも、なんだかぼくは、
その母子にセーリングを海の上で実際に体験してもらうお手伝いができたことで、
〈ホクレア〉とチームニシムラプロジェクトの接点を、
あらためて見たような気持ちになった。
ハワイと日本。
活動の拠点は違うけど、根底にある活動の理念
【海洋民族としての誇りを、みんなで思い出そうよ】
は同じだもんなぁ、と
とても幸せな気分に浸りながら、落雷で遅れた電車に揺られて葉山に戻った。