ブログ人 話の広場

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コンサートに出て見て

2010-03-22 08:56:36 | 日記・エッセイ・コラム

 チケットを取替えにホールに行くと、もうほぼ満席で「ここだけしか空いておりませんが」といわれ、やむなくその内の一席を確保したのでした。肌寒い日、行く道はしんどい気持ちで行ったのですが、ホールの暖かさにほっとしました。開演10分前というのに、かなりの空席が目立ちます。僕の列は女子学生と僕の3人だけでずらっと空席です。何だ、満席といいながら客席は70%ていどでしょうか。チケットを買った人はどうしたのでしょう。

 案の定、インターミッションの時に演奏者を楽屋に戻した指揮者尾高忠明さんがマイクを持ってご挨拶をされ、その中にウイーンでの体験を紹介されました。夜の開演なのに朝7時から既に100人以上もの人たちが列をなして並んでいたと言われる。そこに高級車が自分の所で横付けし、立派な紳士が見も知らない貧乏留学生の尾高さんにチケットを差し出したそうです。急にどうしてもいけなくなったので、これで楽しみたまえ、といって去っていったそうです。

 さすがに音楽の都だけあるのか、一枚たりとも余しては楽団員に失礼だ、という気持ちが流れているらしいのです。一席も空けずにホールが熱気に包まれるとき、指揮者もプレーヤーもそして陰で支える役割の人も次への大きな励みになると尾高さんは話していました。

 4月にも演奏会に行く予定です。席はもう一番後ろしか空いていませんでした。当日どんな反応なのか見ものです。札幌の文化全体に対する行政や企業の取り組みは低く、市民の意識も又育っていないのでしょう。尾高さんの美しい指揮ぶりに感動しながら、優しく話されたメッセージも市民はしっかりと重たく受け止めていく必要があるような気がしました。

やさしいタイガー