第72代横綱稀勢の里が誕生した。やや遅咲きの感はするが、何はともあれ久しぶりの横綱が生まれ、心から祝いたい。 今日の午後、明治神宮で奉納土俵入りが行われた。先人の横綱はいずれもモンゴル出身だけに少し違った感慨を覚える。
ぼくは相撲に関してあまり知識はないが、ずっと幼いころから理由はわからないが、高砂部屋が好きで、かつて前田山などが この部屋から横綱になっていたし、最近では朝青龍が破竹の勢いで大いに盛り上げていたことを思い出す。
相撲には、関取顔というのがあるように思っているのだが、稀勢の里はまさにその顔だ。ぼくはきりっとした寡黙な雰囲気が好きだ。 横綱といえばもう負け越すことはできない。あとがない。引退しかないのである。スポーツの中でもこれほど厳しいものはないのかもしれない。 下がればもう一度やり直せるというわけにはいかない。それだけ横綱の権威は高い。
相撲は言うまでもなく、江戸時代からあった伝統のある格闘技であるが、今では一つの文化遺産にふさわしい。 だから相撲に関心があるなしに関係なく、社会的な影響を持つようになっているし、プレーヤー たちが食する「ちゃんこ鍋」は 一つの食文化を生み出している。裸一貫の技を競うのだが、それだけではなく、ファンに応えようとする柔軟さと相撲取りとしての 厳格さが問われるのであろう。
誰かに注目されるということはいささか窮屈な面もあろうが、それだけに人生意気に感じるであろうし、謙虚な人生を送ることを 大事に受け止めているのではないだろうか。一見保守的な相撲道だが、いろんな国からも加わっていく自由さも素晴らしいと思う。 こうして外国の若い人々を受け入れる相撲協会の慧眼に大いに拍手を送りたい。国際貢献の一助だ。
ただ心配なのは国内の若者の入門希望者が少ないとも聞く。厳しい鍛練に堪えられないのかもしれないが、そんな中に飛び込んで みようという覇気が薄れているのだろうか。横綱稀勢の里がこれからの若い人たちの憧れであってほしいと願うのだ。 そうそう今まで孤軍奮闘してきた横綱白鳳にはさらに立派な横綱であり続けてほしいとと応援したいものだ。
やさしいタイガー