9月28日、阪神の2軍監督の掛布さんが2軍の最終戦で退任しました。7131人の観客を迎えてのゲームで大勝し、花を添えました。終了後、退任セレモニーが行われましたが、挨拶や花束をもらった掛布さんを胴上げしようと計画していて、全員からも観衆からも望まれていたのに、手でバツを印して辞退していました。
どうやらティームが最下位であり、1軍がCS(クライマックス・シリーズ)に出場するかどうかきわどいときだけに遠慮したのかもしれませんが、これも掛布さんの美学だと報じていました。それにしてもきれいな別れ際でした。
最後の挨拶の中で、自分の子どものような年齢の選手には高い目線で接するのではなく、彼らから吸収しようという気持ちと若い選手とおなじ目線に立つことが大事だと感じて指導してきた。少し甘かったかな、と話していました。いつも笑顔の絶やさない掛布さんの優しさがにじみ出ていたように見えました。
いろんな噂があり、厳しさが足りないのではないか、と金本監督との意思疎通の不足を取り上げた報道もありましたが、あったかもしれないが、これほどの大選手が監督になっても、自分が経験した事を選手に押し付けて通じるのは難しい事をよく知っていたのかもしれません。
指導者は、時には厳しく、また優しくできる包容力、さらに潜在能力を引き出し、よい素材を生かす力のある人こそ、よき指導者ということになるのでしょうか。掛布さんは多くのファンに惜しまれつつ、現場を去って行きました。ファンの一人としてさびしい限りです。
やさしいタイガー