今日は「処暑」である。暦のうえでは晩夏だが、猛暑は全国に広がっている。北海道も今年の夏は慌ただしい日々だったように思う。 それにしても今年の夏は顕著なことが3つあった。一つは何と言ってもリオ・オリンピック開催であろう。次には全国高校野球選手権大会だった。 そしてもう一つは相次ぐ台風の襲来で豪雨や川の氾濫などによって各地に被害をもたらしたことだ。
ここ数年、自然災害が多いように思えるが、このような大きな出来事の前に立ってみると、人間の力がいかに小さいかがわかる。 それを乗り越えて挑戦する私たちの姿をもう一人の自分がみているといささか滑稽に見える。山の日があり、海の日があり、自然を愛し、 故郷を愛し、などと字ずらにするとごもっともなことではあるが、いちいちそんなことをお上から言ってほしくないのである。
そんな愚痴っぽいことは別にして、リオのオリンピックでの日本の成績は素晴らしいものがあったが、開催地の治安や疫病などへの不安は もしかして戦後のオリンピックで最も案じられたかもしれない。だがテロも起きず、地元の友情やサポートは大きな讃辞となっていた。 選手団は国家の代表ではなく、あくまでもトップ・アスリートの結集団だったことを忘れてはならない。だからこそ国を追われ他国に逃れた人たちや 自国政府の圧政によって忍従する選手たちの権利を生かそうとしていた。
今年は「難民選手団」が結成されオリンピック旗を持って入場していた。粋な計らいだと思った。選手の力の違いを度外視して初めて出会った人々が 尊い絆を創りえたとしたら、こんな舞台はそう多くはあるまい。
4年後舞台は東京に移る。いろんな批判が渦巻く中、英智を結集して心の籠った大会にしてもらいたいものだ。政治的な思惑や経済的欲望を むき出しにしてほしくない。巨額な金が動くと必ず不正や汚職が徘徊する。政界も経済界も自分たちの権力を無節操に求めず、 何が一番大事なのかを謙虚に考え、世界に通じる「おもてなし」をしてもらいたいものである。
この夏の思い出の一つとして心に残ったシーンでもあった。
やさしいタイガー