ブログ人 話の広場

日頃の生活のなかで見つけたことなどを写真もそえて

濡れ落ち葉にならないように

2008-10-28 18:38:09 | 日記・エッセイ・コラム

 しとしとと秋雨が降り続いていて、近くの山500mの藻岩山も霞んで見えます。かえでの葉っぱやイチョウの葉が道路にはらはらと舞い降りてきてべったりと道にくっついています。そう『濡れ落ち葉』なのです。

 ひところ会社を辞めて行く処もなく、家にいるしかないために、妻はまた新しいストレスに襲われるし、夫は妻がどこかに出かけるときには自分も一緒にくっついていく、そんな姿を揶揄して「濡れ落ち葉」といわれてきましたね。最近あまり言わなくなったのは、旦那衆が自立的に次の居場所を自宅だけでなく見つけたからでしょうか。そういえば図書館などは恰好の居場所ですね。いつ行ってもレギュラーメンバーを見かけますから。 

 何でもいい。家を出て外の空気と人の輪の中に加わるということはシニアにとってはとても大切なことですね。ぼくも経済的には苦しいけれど、何かを追いかけながら「遊行期」を楽しもうとしています。濡れ落ち葉にならないためにも。

やさしいタイガー


静かな祈り

2008-10-28 17:01:35 | 日記・エッセイ・コラム

 今月の最後の土・日の2日間、1300名も集まる大きな大会に出席しました。国際会議でしたから国際会長の代理としてフィリピンからお見えになり、スピーチや様々な出番の中で見事な話をされました。いよいよ大会の最後を飾る会長代理のスピーチが始まり激励と感謝の言葉を丁寧に述べられた後、静かに祈りの言葉を残されました。

May the road rise up to meet you.
May the wind be always at your back.
May the sunshine warm upon you face.
And the rain fall gently upon your fields.
And until we meet again
May the good lord hold you in the palm of his hand.

 下手に訳すより、この韻律を味わいながら、多くの参加者に注がれた神の祝福と加護を素直に感謝して受け取りたいと思いました。人はいつも他者のために祈り、他者のために遣わされてこの世にいることを自覚したとき、自分を謙虚にし、新しい自分を創ることができるような気がします。ささやかな祈りの中に深い意味を感じ、わが身の失われている信仰心を再び呼び覚まされた思いになりました。そして感動のうちに終了しました。

やさしいタイガー


爽やかな青年との会話

2008-10-24 09:56:14 | 日記・エッセイ・コラム

 二人の青年はテーブルを囲んでコーヒーのお替りを何度もしながら、3倍ほども年の違うぼくと向き合って話し込んできました。二人とも大学のときの卒業生です。その一人がいきなり「先生は現代アートお好きですか」とちょっと手ごわい問いかけをしてきました。ぼくは「興味はあるが、まだのめりこむほどではないね」と答えました。

 彼はその現代アートの作家の作品を見た後、一人で椅子に腰掛けていたくだんの作家らしき人にご本人だと思いこんで、思いきって話しかけてみたそうなんです。するとまさにピタリ作家でした。喜んで彼はいろんな話をぶつけてみると作家は真正面から答えてくれたそうです。しかも「終わったらぼくとコーヒーでも飲まないか」とお誘いを受けて、約束を守ってご馳走になりながら芸術談義をしたそうです。そしてあろうことか、東京の某作家に興味があるのなら紹介するよ、とまで言ってくれたそうです。

 思いもかけない話にぼくはそんな素晴らしい作家と出会ったことを無にすることなく、自分の未来に通じるなら、大事にしたほうがいいよ、と励ましておきました。目下無職の青年だが、なんだか意味のない「無職」ではないような気がして、とてもいい話を聞かせてくれたね、と感謝して別れました。どこか青年らしいきらりと光る爽やかさを感じるひと時でした。

やさしいタイガー


秋深し公園の彩り

2008-10-23 16:50:06 | 日記・エッセイ・コラム

 もう晩秋でしょうか。札幌の中島公園の樹々の色は原色に近いほど艶やかな姿を見せてくれて恰好の絵のモデルです。久しぶりにスケッチ仲間のHさんと中島公園からみた藻岩山を眺め、楽しんできました。強い風がときどき池に漣をたて、鴨が気持ちよさそうに泳いでいました。

 二人は黙々と筆を動かします。見知らぬ日曜画家が後ろから「よく来るんですか」と親しく話しかけてきます。「ぼくたち仲間できているんですよ」と質問もしないのに話が続きます。できるだけ人を避けて座り込んだはずなのに、いつの間にか周囲にイーゼルを立てています。みんないかにも楽しそう。

 イチョウの葉の鮮やかな黄色、紅葉の真紅は遠目にも感動するほどの美しさ。なかなか美しさが表現できない。悔しいけれど、腕が問題なのはよくわかっているのです。次第に陽は西に傾いていき、空の雲も流れが早い。描き終えてやっぱり来てよかったという爽快感に満たされた一日でした。

やさしいタイガー


着物姿の艶やかな美術鑑賞

2008-10-20 09:07:07 | 日記・エッセイ・コラム

 着物というのは、何といっても日本女性を一層艶やかに、そして品を高めるように思うのはぼくだけでしょうか。全員着物を召した方々20人の方が美術鑑賞にお見えになり、ぼくも解説の一端を担わせてもらいました。解説一つ一つにうなずきながら興味深げに聴いてくださいました。作品に触れる仕草もどこか愛おしそうにみえます。

 美術館の近くにある「きもの学院」の主に指導する先生方のようで、物腰も柔らかく、僕はもう居並ぶ方々の前に立つだけで圧倒される思いでした。とても新鮮で、華やぎ、日本画の一風を見ているような心地でした。

 もちろん解説も大体うまくいきました。後で、「こうして解説を伺うと作品の意図や作家の内面が理解できますね」と声を掛けていただき、来てよかったといわんばかりの感想をいただき、短い30分の解説でしたが、とても印象的な時間を過ごしました。またのご来館をお待ちしております。

やさしいタイガー