やはり春が近いことは間違いないのでしょう。日中は穏やかな暖かさなので、ほっとしているところです。けれどもどんよりと重い雲を観ていると、いったい雪が降るのか、それとも雨か、と出かけの持ち物にも気を使います。
ぼくはだいたい何かを持って出かけることを以前からあまり好きではなく、要するに手ぶらで外出することが多いのです。では必要なものはどこに、といわれるかもしれませんが、要点を書いたメモや紙を四つ折くらいにまとめ、内ポケットに入れて歩きます。そのほうが忘れたり落としたりしないからです。
あれこれもつとだんだんと物忘れの確率が高くなりがちです。先日もナップザックに借りた本を返却すべく持ち歩き、その中にカメラも入れてあったのですが、そのカメラが家に帰るとない! そこで自分のたどった道を半数してみると、だいたいのあり場がわかったのです。
2週間後実際に予想していたところにありました。こうして取り戻せたときはいいのですが、それがさっぱりわからないというときもあり、そんなときはじたばたせず、あきらめるしかありません。あまり執念深くないのかもしれません。
なんだかこれからの人生、気にすることが増えていくようです。もう悠々と過ごしてもよい年回りになっているのですが、こんなことばかり気にしているようでは、ちっとも楽しいときを過ごせません。
時あたかも春。うんと手足を伸ばしてわずかな季節を楽しみたいものと念じているのです。不思議に絵の道具だけは持ち歩いていても忘れることはありません。
今日も忘れ物をしないように。
やさしいタイガー