弄(イラ)う

　店にカラオケの営業マンが来た。

　私　　「兄ちゃんとこ、何処(の会社)？」
　営業員「DAMです」
　私　　「滝畑？」
　営業員「えっ？」
　私　　「堺でダム言うたら滝畑ダムや」
　営業員「はあ、そうですか？」
　私　　「堺で滝畑ダム、知らんかったら、ダムヨ～、ダムダム」
　営業員「僕、和歌山の出身ですから…」
　私　　「和歌山はぎょうさんダムがあるなあ」
　営業員「ハイ、高さ・水量ともに日本一の那智の滝に、県下一を誇る多目的ダムの椿山ダム、湖畔の桜がきれいな七川ダム…」
　私　　「兄ちゃん、一体何を売りに来たん？水がめのダムか？」
　営業員「カラオケのDAMです。因みにこちらは何処の製品ですか？」
　私　　「UGAや」
　営業員「何年ぐらい使ってるんですか？」
　私　　「100年ぐらいかな」
　営業員「その時代にはカラオケはありませんやん。カラオケは替える予定はありませんか？」
　私　　「俺とこ買い取って3年やから今んとこ予定はないわ」
　営業員「何処かお店を紹介して頂けませんか？」
　私　　「俺、年やから知り合い言うたら廃業してるか死んでるかやわ」
　営業員「そんなこと、無いでしょ」
　私　　「まあ、次に買い換える時には兄ちゃんに連絡するわ」
　営業員「有難うございます」
　私　　「20年後にな」
　営業員「マスターはお歳は？」
　私　　「66歳や」
　営業員「20年後て言ったら86歳…」
　私　　「店をしてるどころか死んでるかもしれんなあ」
　営業員「それでは営業になりませんね」
　私　　「兄ちゃん、UGAの店に来てウガツやったなあ。まあ、営業に行き詰ったら、また弄われにおいでや」
　※弄う＝からかうこと。

　一句：ヒマな時　弄いたくなる　営業マン　
　謎かけ：弄うとかけて、貯金箱と解く。どちらも(からかい・空、買い)ます