大げさ

　U君とD君が当店に来(キ)始めた時の話で張り合った。

　客U「俺、この店に来だして40年になるわ。客の中で俺が一番最初にお母ちゃんの息子になったんやで」
　客D「お母ちゃんて誰や？」
　客U「ここのママやがな」
　私 「U君は50歳やろ。ママと一回りしか違えへん。親子にはならんで」
　客U「それぐらい、慕ってるて事やん」
　客D「俺もこの店に来て40年ぐらいになるわ」
　私 「D君が40年前言うたら10歳やん。小学生には酒は売らんで」
　客U「ホンマ、大げさやなあ」
　客D「お互い様や。話は大げさな方が面白いやん」
　私 「ほんだら俺、15歳からこの店をやったて言おか」
　客U「中学生は酒を売る商売なんか出けへんやん」
　私 「二人のホラに付き合(オ)うたんや。大体この店は36年目やで」

　一句：大げさに　話を盛って　笑い取る？
　謎かけ：大げさとかけて、かなり遠い昔と解く。どちらも(誇大・古代)である

カラオケ採点機

　当店のカラオケ番付は、毎月1日から月末までの1か月間のポイントを集計して順位を決めるが、月末になり横綱の優勝争いもいよいよ佳境に入った。
　今日はMさんに少しリードされている金曜日の男・Tさんが熱唱を繰り広げる日で、私は優勝の行方を楽しみにしている。
　そんな高みの見物気分で店に出て、カラオケ採点機の電源を入れると点灯しない。他の機器は点いているのに採点機だけ真っ暗だ。
　コンセントを抜いたり入れたり、以前に自分で配線した2つの外付けヒューズを取り替えても、無情にも反応しない。
　「今日はTさんが来る日や。どないかせんと…」「採点機は30年以上もなるから、もうアカンかも…」「修理出けへんかったら、MさんもTさんも来ん様になるやろなあ」「店の売りはカラオケ番付やから、器械がアカン様になったら店を閉めやなアカンなあ」
　色々な思いがよぎるなか、今日はTさんが来るのでどうしても修理をしなくてわ…と、大きくて重たい採点機を棚の上から下ろした。
　器械を分解して中にあるもう一つのヒューズを替えても点灯しない。他に施し様がないが、とりあえずサビ止めスプレー『KURE5-56』を配線の接点部分にふりかけた。
　試しに電源を入れると点灯した。「これでOKや」と、器械を組み立てるとビスが2個余った。お客さんと喋りながらビスを外したので分からなくなったみたいだ。
　とにかく採点機を棚の上に設置して、早速、待ちかねていたTさんに唄ってもらうといきなり100点を3連発で出した。
　「器械を修理して点数の出が良うなったのかなあ。また、2人の熱戦が楽しみになるわ」と言いながら胸を撫で下ろした。

　一句：採点機　なおってバトルが　再開だ
　謎かけ：カラオケ採点機とかけて、実際よりも低く見積もると解く。どちらも(歌唱・過小)評価します

ハウス

　K子さんが最近買ったトイプードルをケージに入れて連れて来て、店の中でケージから出した。

　私 「ハウス！言うたら従うか？」
　客K「その時によるわ」
　私 「俺とこ、ハウス！言うたらカレーが出てくるわ」
　客K「ハウス・カレーね。またジョークを言って…」
　私 「それでケウス！言うたら、俺が出てくるねん」
　客K「うん、納得～！」
　私 「納豆を食うてか？」
　客K「納得て言ったのよ」
　私 「毛薄で納得か。髪の毛が増えるハウスーは知らんか？」
　客K「ハウスー？」
　私 「何かをする時の方法や技術の事や」
　客K「それはハウツーよ」

　一句：愛犬は　ハウス！で住みかに　入ります
　謎かけ：ハウスとかけて、落語の結末と解く。どちらも(落ち着く所・オチ付くところ)です

ありえへん…

　4年前に某テレビ局のバラエティー番組『ありえへん世界』の収録をした事がある。
　この時は営業中に収録をしたので、テレビに出る2人のお客さん以外の居合わせたお客さんは、カメラに映らない場所に追いやられた上に、カラオケ無し、ヒソヒソ話、あるいは沈黙するなどお通夜みたいになり、いつもは笑いが絶えない店内が『ありえへんスナック』になった。
　テレビに出るお客さんは、テレビ局のスタッフが「お客さんを呼んどいて下さい」との要請で依頼した近所の会社の所長さんで、部下も連れて来た。
　スタッフの要望は、スナック芸を決めた後に“どや顔”をして、との事だったが、「顔が優しい、もっとキツイ顔をして…」と何度もダメ出しされ、所長さんをニラミつける構図になってしまい、普段は笑顔をふりまく私が『ありえへんマスター』になってしまった。
　2日間かけて念入りに収録をしたので放送を楽しみにしていたが、運悪く放送予定日前に東日本大震災が起きて放送がボツになり『ありえへん世界』が『ありえへん事態』に。
　収録後、「テレビに出るから」と、会社や知人に宣伝するなど喜んでいた所長さんは「放送が無く恥をかいた」と、当分の間店に来なくなり、これまた『ありえへん余波』を招いた。
　そんな悲喜こもごもの出来事もとっくに忘れていた昨今であったが、昨日の昼、テレビ局のスタッフから「4年前に収録した『ありえへん世界』を6月16日(夜７時54分～）に放送します」との電話があった。
　全く諦めていたので、予期していなかった喜ばしい知らせに、妻と「こんなこと、ありえへんなあ」と顔を見合わせた。

　一句：様々な　ありえへん事に　揺れ動く　　
　謎かけ：ありえへんとかけて、経験が浅い刑事と解く。どちらも(考えられない・勘が得られない)です

墓穴を掘る

　M君が知り合いの仕事を手伝って、顧客の敷地に穴を掘ったとか。

　客G「穴を掘るのんには免許が要るで」
　客M「そんなん聞いた事が無いわ」
　私 「穴を掘るのに免許要るんやったら、オカマはみんな免許取得せんなアカンなあ」
　客M「ホンマや、オカマも掘るもんなあ」
　客G「オカマは尻の穴を掘るんや。免許いるのは土地や」
　私 「子供の頃に掘った落とし穴も免許いるんか？」
　客G「それは要らん。深さによって要るんと違うか」
　客M「マスター、ネットで調べてや」
　私 「今、ネットで調べたけど穴を掘るのには免許がいるて書いてないで。穴を掘る重機を使うのんには、それの免許が要るけどな」
　客G「あ、そうか。そうやったかも知れん」
　客M「G君、知ったかぶりをして間違(マチゴ)うてたやん」
　私 「G君はオカマやなあ」
　客G「何でですのん？」
　私 「オケツを掘る」
　客M「それは、墓穴を掘る、やろ」

　一句：知ったかぶり　間違った事言い　墓穴掘る
　謎かけ：墓穴を掘るとかけて、自分の言動を慎むと解く。どちらも(自壊・自戒)します

女子相撲

　堺の大浜公園にある相撲場は学生相撲選手権大会が日本で最初に開催された場所であることから、アマチュア相撲の『聖地』と呼ばれている。

　客K「この前、大浜公園に行ったら女子相撲をしてたわ」
　私 「へえ、女子相撲に出場したん？」
　客K「何でやのん。いくら肥えてるといってもそこまでは太って無いよ」
　客G「マスター、冗談でもそんなん言うたらアカンは。女性は傷つくで」
　私 「こういう事は女性には冗談でも言うたらアカン事ぐらい分かってるわ」
　客G「分かって無いやん。たった今、冗談を言うたやん」
　私 「冗談は言うて無い。本気や」
　客G「余計、悪いわ！」
　私 「因みにK子ちゃんは横綱やなあ」
　客K「どうして？」
　私 「煙草を吸うてるやん」
　客K「それが？」
　私 「スモーキング、相撲キング＝横綱」
　客G「面白いやん。その手の冗談やったら許す！」　

　一句：女子相撲　恋を取らずに　まわし取る
　謎かけ：女子相撲とかけて、学校生活のスケジュールと解く。どちらも(行司・行事)に従います

種明かしシリーズ-29 スプーン＆コイン

　マジックの種明かし第29弾は『スプーン＆コイン』です。手の中のコインにマジナイをすると、不思議な事にコインが消えると言うマジックです。おまけのマジックは『コインの瞬間移動』です。

☆YouTube⇒http://youtu.be/jn5cvYqNnh0

休肝日

　酒好きのG君がお酒にするかウーロン茶にするか迷っている。

　私 「何を迷てるのん？」
　客G「いや、医者に酒を止められてん」
　私 「どないせー、言われたん？」
　客G「休肝日を作れ言うけど、作られへんねん」
　私 「種まきの2週間前に苦土石灰(クドセッカイ)と堆肥(タイヒ)を入れて耕し、1週間前に化成肥料を入れて畝(ウネ)を作るねん」
　客G「何の話をしてるのん？」
　私 「キューカンバー…、日本語で言うキュウリを作るんやろ？」
　客G「キューカンバーと違う！休肝日や」
　私 「そうかいな。ほんだら新聞配達をしたら？」
　客G「何で？」
　私 「新聞配達は健康にエエし、月にいっぺんは休刊日があるで」
　客G「確かに新聞配達は健康にエエけど、その休刊日と違う！肝臓を休める休肝日や」

　一句：休肝日　オールフリーで　紛らわし
　※オールフリー＝サントリー・オールフリーでノンアルコール・ビール
　謎かけ：休肝日とかけて、ワクチンと解く。どちらも(節酒・接種)します。

転職

　バーテンをしているAさんが転職の話をした。

　客A「俺、ホストしよ思てんねん」
　私 「ポスト？」
　客A「ポストと違う、ホストや」
　私 「いや、赤い顔をしてるから、ピッタシのバイトや思て」
　客A「赤い顔は酒を飲み過ぎたからや。俺はホストをしたいねん」
　私 「一体何処でするのん？」
　客A「ここのお客さん盗ったらアカンから、ちょっと離れたとこでするわ」
　私 「離れたとこて、何処や？」
　客A「天神で」
　私 「ここに近いやん」
　客A「福岡の天神や」
　私 「福岡？離れすぎ～。因みに何で天神がエエのん？」
　客A「天神は夜の店が多いからホステスも多いねん」
　私 「A君は女好きやし明るいので天神が合うなあ」
　客A「どう言う事？」
　私 「女好きで明るいのはラテン系に多い。ラ・天神(ラテン人)！」
　客A「ラは何やねん？」
　私 「laはスペイン語の定冠詞で、英語のtheと一緒や」
　客A「難しいダジャレにはついていかれへんわ」
　私 「A君には高尚過ぎたか…」

　一句：転職で　新しい自分　見つけます
　謎かけ：転職とかけてけ、カラオケ採点機と解く。どちらも(飛躍・100)を期待します

当て逃げ

　Y君の知り合いが、自転車に乗っている時に車に当てられて逃げられた。彼はケガをして自転車も壊れたとか。

　私 「へえ、当て逃げかいな？車のナンバーは見たんか？」
　客Y「うん、車のナンバーを覚えてたので警察に通報して調べてもろたら、廃車の車やってん」
　私 「ええっ、歯医者かいな。医者としてあるまじき行為やなあ」
　客Y「その歯医者と違うねん。登録を抹消した廃車の事や」
　私 「登録を抹消してたらナンバープレートはあれへんやん」
　客Y「廃車に盗難のナンバープレートを付けとったんや。そやから犯人は見つからんで」
　私 「犯人の方角は分かるんやけどなア」
　客Y「何でわかるのん？」
　私 「盗難のナンバープレートを付けてたんやから、東南や」

　一句：当て逃げの　逃げ得許さん
　謎かけ：当て逃げとかけて、集団リンチに遭うたと解く。どちらも(ぶつけられ・撲つ蹴られ)ました