酔っ払い

　いつも他店で飲んでくるので当店に来た時には泥酔状態で寝てしまうお客のM君がいる。この間も酔っていたので記憶が無かったとか。

　客M 「この間、酔うてなかった？」
　私　「かなり酔うてたで」
　客M 「そうやろ、草なぎ剛やないけど、家で丸裸で寝てたわ」
　私　「ちゃんと服をたたんでたか？」
　客M 「それは無かったわ」
　私　「(丸裸は)草なぎ剛に触発されてか？」
　客M 「違う、俺、酔っ払って丸裸になるのん年に2、3回あるねん」
　私　「全裸寝の常習者かいな。風邪ひけへんかったか？」
　客M 「母親が毛布を掛けてくれてたわ」
　私　「お母さん、M君の介護の為の予行演習になるなあ」
　客M 「年が逆やん」
　ママ「そんなけ飲んでたら酒臭いやろうな」
　客M 「日本酒飲んだ時は特に臭いがきついわ」
　私　「臭なる強しやなあ」と鼻をつまむ。
　ママ「それはそうと草なぎ君、CM下ろされたで」
　客M 「そら、仕方ないわ。CMはイメージが大事やからな」
　私　「サウナのCMやったら裸OKやから使うてくれるで」
　客M 「ホンマやなあ」
　私　「今、“裸になって何が悪い！”Tシャツが売れているらしいで」
　客M 「ホンマかいな、何でも商売に結びつけるなあ」
　ママ「今年の流行語大賞になるなあ」
　私　「俺、負けんと“ハゲになって何が悪い！”Tシャツを売ろかな」
　ママ「誰も買えへんわ」

　一句：全裸寝は　本人いい夢　はた、迷惑

久しぶり

　5年ぶりに女性客のA子ちゃんが来た。40代前半だがどうみても30歳くらい。独身のせいか今どきの女性は若い。

　A子 「マスター、お久しぶり～」
　私　「A子ちゃん、おさしみ(刺身)ブリ…」
　A子 「早速、ダシャレかいな」
　私　「会話にはシャレも必要やろ？」
　ママ「出来によるわ」
　私　「A子ちゃん、いつ見ても若いなあ」
　A子 「マスターもぜんぜん変われへんなー」
　私　「ぜんぜん進歩してないてことか」
　ママ「A子ちゃんは、アンタがいつまでも若いつもりで言うたんやで」
　私　「年いくと性格がひねくれるわ」
　ママ「身体もひねて(古びて)るわ」

　一句：身と心　時の経過で　ひねてくる

ママのオッパイ

　トラキチのお客さんが、阪神が勝率5割を行ったり来たりで今いちパッとしないにも関わらず今年は優勝すると言ってのけた。

　ママ「えーっ、今年、優勝するてか？」
　私　「俺も阪神ファンやけど、冷静に戦力を分析したらちょっと無理があるで」
　客K 「あくまでも俺の希望的観測や」
　私　「乳房(チボウ)的観測？」
　客K 「希望的観測て言うてん。お乳と違う」
　私　「俺、聞きまチチがいをしたなあ」
　客K 「ほんで、ママのオッパイはどんなん？」
　私　「Kさん、エッチやから(Hネタに)食いついてきたで」
　ママ「私は何にも言われへん。マスターに聞いて」
　私　「オッパイに関しては自慢するトコはない」
　ママ「どういう意味やのん！」
　客K 「小さかってもええねん。ママのオッパイ吸うてみたい」
　私　「君はロリコンか！」
　ママ「誰がロリータやねん！」
　私　「スマンスマン。立派な大人やった。口は大阪のおばちゃん顔負けの上沼恵美子や」

一句：オッパイで　決めたらアカンで　年格好

新パソコン

　日曜日に近くの家電量販店でノートPCを買った。嫁さんは「家に2台もあるのに…」とオカンムリだ。
　実は去年から作曲講座の『週刊MY MUSIC STUDIO』を勉強していたが添付のDTMソフトが毎週あり、シャープのノートPCでは容量が足らなくなりインストールできなくなった。
　またソ○○○○のデスクトップは買って1年半でディスプレイが故障、買い換えたら今度はミュージック系の基板がおかしくなった。だから作曲の勉強は休止したままだった。
　機械音痴の嫁さんに説明しても理解できないので、非難を背に浴びながらも強引に買った。
　だから私がしっかり勉強をして、いい曲を作って聴かせて嫁さんを納得させるしかない。
　買ったのは東芝の最新高性能機種を買ったので心おきなくPC三昧が出来る。やりたい事がいっぱいあるので頑張るぞう～！　

　一句：老い楽の　夢を広げる　新パソコン

頭打ち

　お客のKさんが足元に落としたライターを拾い上げる時にカウンターの端で頭を「ゴツン」と打った。

　お客「あ、痛！」
　私　「ゴツンといえば龍角散！」
　お客「それは、ゴホンといえば龍角散やろ」
　私　「Kさんは本好きやから、ゴホン(本)といえば紀伊国屋や」
　お客「それ、面白いなあ。もう無いか？」
　私　「ゴホン(5本)といえば手の指や」
　お客「ええやん、ええやん」
　私　「ゴホウ(誤報)といえば、ミス・ニュース」
　お客「ちょっと苦しいな。もう無いか？」
　私　「どこまでやらすねん、もう無いわ。頭打ちや」

　一句：頭打ち　ダジャレもワテには　限度あり

感情移入

　女性のお客さんに唄ってとリクエストされ、私はムード歌謡を唄った。こういう曲は自然に感情移入ができる。

　お客「ええなあ、マスターにピッタリの曲やわ」
　私　「そうやろ、俺の好きなジャンルやねん」
　お客「マスターの歌は、感情がこもってるな」
　私　「そらそうや、勘定奉行やから」と胸の中から電卓を取り出して見せる。

　一句：まけとこか　つい感情入る　女性客

五十肩

　お客さんが五十肩らしい。五十肩の原因は、老化によって硬くなった肩関節の腱や関節包の炎症。これがフトした動作で悪化し、肩が回らなくなったり上がらなくなった状態を五十肩というとか。

　お客「最近、肩がおかしいねん。五十肩と違うかな？」
　私　「どないおかしいのん？」
　お客「肩が回れへんねん」
　私　「肩が回れへんわ、借金で首が回れへんわで大変やね」
　お客「借金は無いで！でも腕を上げらへんから仕事出けへんねん。困るわ」
　私　「腕は上げらへんけど、手は上がる」
　お客「うーん？？？」
　私　「仕事、お手上げやな」
　お客「このままやったら、会社、クビになるわ」
　私　「A君やったら、したが回るから、営業の仕事しーや」
　お客「したが回るて、こうか？」と立って腰を回し始めた。
　私　「これこれ、なに下半身を回してんねん。したてベロの舌やがな」

　一句：五十男　肩が回らず　舌回る

痴女

　先日、痴漢の冤罪の裁判があり防衛医科大教授が逆転無罪を勝ち取ったが、痴漢行為をするのは男ばかりではない。

　ママ「この間テレビで見たけど、最近、電車の中で痴女が増えてるんやてなあ」
　私　「中島みゆきかいな」
　お客「なんでや」
　私　「ちじょの星！」
　お客「またダジャレかいな。中島みゆきは、ちじょうの星やがな」
　私　「俺のダジャレは、に・ちじょう茶飯事や。処で痴女が増えたら男性専用車両いるなあ」
　お客「そんな男ばっかりの車両、男は乗れへんで。むさ苦しいわ」
　ママ「痴女てどんな事をするのんかな？」
　お客「胸や身体を摺り寄せてくるんかなあ。それともアソコにタッチ…」
　ママ「男は嬉しいのんと違うの」
　お客「そやな。俺、痴女に遭いたいわ」
　私　「ちじょの星と違(チゴ)て、ちじょ欲しいやなあ」
　ママ「その点、男は損やね。何もしてなかっても間違われやすいもんな」
　私　「そうや、この間みたいに冤罪もあるから、男は満員電車では手のやり場に困るわ」
　お客「そやから俺、両手を挙げて吊皮を持つねん」
　私　「吊革てヒトの汗なんかで気持ち悪いやろ。そやから俺、自分の吊皮を持つねん」
　お客「持つほどあるんか？」
　ママ「そうやで、見栄張って」
　私　「ごめんちゃい」

　一句：一遍は　出遭ってみたい　痴女のテク（テクニック）

光りモノ

　チャラチャラと光りモノを着けた50代女性客が来た。

　私　「えらいチャラチャラ着けて、大阪のおばちゃんやな」
　お客「たまにはこんなん付けて着飾ってみたかってん」
　私　「その光りモンは眩しすぎるで」
　お客「マスターの光りモンよりマシやで」と言って私の頭を指差した。
　私　「あちゃ、言われてしもた。大阪のおばちゃんには勝てんわ」

　一句：大阪の　おっちゃんおばちゃん　光ってる

筍(タケノコ)

　お客さんが田舎から送ってきたからと筍を持ってきてくれた。

　私　「ありがとう。それにしても大きな筍やなあ」
　お客「そうやろ、ここらへんのスーパーでは見かけへんやろ」
　私　「ずっしりと重たいし、毛並みもエエなあ。馬体重は重たい方が有利や」
　お客「競馬と違う！」
　私　「竹馬やがな」
　お客「馬だけにウマいこと逃げたなあ」
　私　「それはそうと、この間テレビで見たけど白い筍てあるんやなあ」
　お客「そうや、2万円はするらしいで」
　私　「2万円!?それやったら皮が一枚数百円はするで」
　お客「ホンマや、皮を捨てるのがもったいない」
　私　「フグ皮の湯引きみたいにして食べたらどうやろ？」
　お客「無理、ムリ、ムリタ健作！刻んで湯がいても食べられへん」
　私　「森田健作、千葉県の知事になったなあ」
　お客「千葉県の大多喜町はエエ筍が取れる事で有名で、白い筍も取れるんやて」
　私　「それで白い筍は美味いんかいな？」
　お客「アクやエグミがなく絶品で、刺し身にして食べたら美味いらしいで」
　私　「ママの反対やなあ」
　ママ「なんや、私はアクがあってエグミがあってマズイてか！怒るで」
　私　「あ～怖、タケ(猛)り立ってるわ」

　一句：かぐわしき　筍ごはん　春の味