国の情報公開法10条では、公文書公開請求の開示決定期限を「30日以内にしなければならない」とし、「事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、30日以内に限り延長することができる」と定められています。
しかし、防衛局はこの間、ほとんどの公文書公開請求に対して、情報公開法11条の特例(例外規定)を濫用し、開示決定期限を大幅に延長しています。
(参考)情報公開法の開示決定期限に関する条文は下記のとおりです。
第10条(開示決定等の期限)
開示決定等は、開示請求があった日から30日以内にしなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、行政機関の長は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項に規定する期間を30日以内に限り延長することができる。
第11条(開示決定等の期限の特例)
開示請求に係る行政文書が著しく大量であるため、開示請求があった日から60日以内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、前条の規定にかかわらず、行政機関の長は、開示請求に係る行政文書のうちの相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし、残りの行政文書については相当の期間内に開示決定等をすれば足りる。
そのため、私は、防衛局が昨年、実施した大浦湾の土質調査に関する文書を、1年7ケ月も開示決定期限を延長したことに対して、「違法確認」「文書開示の義務づけ」を求める訴訟を提起したところです(3月27日のブログ参照)。
ところが、またとんでもないことが起こりました。奄美大島からの辺野古埋立土砂調達問題に関する公文書公開請求です。
防衛局は昨年9月、奄美大島の採石場等で特定外来生物の調査を実施しました。沖縄県の土砂条例では、県外から埋立土砂を調達する場合は、特定外来生物の調査を行い、その駆除策等を示す必要があるのです。
昨年11月、この奄美大島での調査に関する全ての文書を開示請求したところ、12月になって、「法11条の特例を適用し、本年1月6日までに、可能な部分について開示決定等を行い、残りの部分は3月28日までに開示決定等する」と通知してきたのです。「不開示情報が含まれる可能性があり、開示・不開示の判断にあたり、関係部署等に相当の時間を要するほか、担当課の他の業務の適正な執行に著しい支障が生じるおそれがある」というのが、その理由です。
昨年12月26日、「可能な部分」として開示されたのは、鹿児島県等に説明した際に使用したという辺野古全体の概略図の1枚だけでした。
特例まで適用されたのですから、かなりの量の文書が開示されると思っていたおですが、唖然とした事態となります。
4月になって開示された「残りの部分」は、受注業者が防衛局に、「奄美大島からの石材調達を検討しているが、外来生物調査を実施する必要がありますか」と問い合わせ、防衛局が「調査を実施する必要がある」という簡単な2枚の文書だけだったのです。現場代理人等の名前は黒塗りになっていますが、「不開示情報が含まれる可能性があり、開示・不開示の判断にあたり、関係部署等に相当の時間を要するほか、担当課の他の業務の適正な執行に著しい支障が生じるおそれがある」というような文書とするのは無理としか言えません。
防衛局は、この件について、沖縄県と再三、メール等で協議し、沖縄県からは防衛局のメールも公開されています。また、鹿児島県や奄美大島の市町村からも防衛局との協議についての文書が公開されています。
奄美大島での特定外来生物の調査は昨秋、行われましたが、防衛局はそれらの文書も全く出していません。文書の「隠蔽」も同時に行われているのです。
わずか2枚の簡単な文書を、「文書が著しく大量である場合」に適用される例外規定を使って開示決定期限を延長したことは、違法・不当です。