今日(3月27日)、辺野古新基地建設事業に関して、国を相手として公文書の開示を求める訴訟を提起した。
沖縄防衛局は、昨年から大浦湾で土質調査を行っている。この一帯は軟弱地盤が海面下90mまで続いているのだが、設計変更申請の審査で県が再三、ボーリング試験を実施するよう求めたが、防衛局は「離れた3地点の試験結果から類推できる」として頑なにボーリング試験を拒否してきたところだ。それが、いよいよ工事が始まると言う時点になって、ボーリング試験を実施しているのだ。調査結果によっては設計の見直し等が必要になる。
この土質調査に関する文書を公文書開示請求したところ、なんと開示決定期限を来年8月末まで、1年7ケ月も延長してしまったのだ(情報公開法では、開示決定期限は30日以内。特に正当な理由がある場合は30日延長できる。文書が「著しく大量」の場合、特例としてさらに延長できるとされている)。
今回の文書は「著しく大量である場合に該当する」というのが、その理由だが、これは逆に、文書は「大量ではない」ということを意味している。防衛局の恣意的な判断で、「著しく大量の場合」の規定を、「著しく大量である場合に該当する」として、大幅延長することは違法である。
大浦湾の工事が始まった今、地盤の安定性を揺るがせかねない土質調査の結果を出すわけにはいかないという、露骨な情報隠しである。
そのため私は、法定期限内に決定をしなかったことの「不作為の違法確認」、「開示の義務付け」を求める訴訟を那覇地裁に提起した。辺野古新基地建設事業に関しては、2018年当時にも、土質調査結果の不開示取消しを求める訴訟を提起したので、2回目の訴訟である。
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以下、この訴訟の内容について説明する。
辺野古新基地建設事業でデニー知事が防衛局の設計変更申請を不承認とした最大の理由は、防衛局が、海面下90mまで軟弱地盤が続いているB27地点で、地盤の強度を直接調べるボーリング試験を行っていないことであった。県は再三にわたり、同地点でのボーリング試験実施を求めたが、防衛局は、離れた3地点のボーリング試験結果でB27地点の強度は類推できると主張、B27地点でのボーリング試験を頑なに拒否し続けた。地質学者・土木技術者らは、このままでは弱い地震でも護岸・地盤の安定性は確保できないと指摘してきた。
昨年1月、代執行で大浦湾側での工事が始まったが、防衛局は昨年8月からB27地点周辺で、2隻の調査船でボーリング試験(傾動自在型工法)と思われる土質調査を始めている。防衛省は、「地盤改良工事に先立ち、護岸予定地付近で土質調査を実施している」と認めたが、「強度を評価する調査のやり直しではなく、別の調査という位置づけだ。結果の公表は予定していない」とした(2024.9.8 琉球新報)。
あれだけ拒否し続けてきたボーリング試験を今になって、何か月もかけて実施しているのは何故か? 調査結果によっては、護岸の構造や地盤改良工法の変更(=再度の設計変更申請)が必要となる重要な事態である。
そのため私は本年1月3日、今回の土質調査の調査内容、調査結果等の公文書公開請求を行った。情報公開法第10条では、開示決定期限は30日で、「その他正当な理由があるときはさらに30日以内に限り延長できる」としているが、第11条(期限の特例)で、「文書が著しく大量である場合」は、「相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし、残りの行政文書については相当の期間内に開示決定をすればよい」とされている。「相当の期間内」というだけで、開示決定の期限の定めはない。防衛局は、今回の請求に対して、「文書が著しく大量である場合に該当する」として、開示決定期限を1年7ケ月先の来年8月28日としてしまった。
防衛局は従来、土質調査報告書の開示請求に対して、延長せずに公開したり、3ケ月ほどで国会に提出してきた。たとえば、軟弱地盤問題が最初に明かになったのは、2018年の地質調査報告書の開示開請求だが、その際、防衛局は、10条2項の延長、11条の特例を適用することもなく、30日で開示している。
今回の土質調査に関する文書をこれだけ長期間、開示決定期限を延長したのは、軟弱地盤部の地盤の安定性等の問題が発覚し、事業への批判が高まることをおそれたためであろう。「国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利」(情報公開法1条)を無視したものである。
そのため私は、今回の土質調査関係文書の開示を求めて、3月27日、那覇地裁に「不開示の違法確認」、「開示の義務付け」訴訟を提起しました。是非、皆さんのご支援をお願いします。