昨年6月28日、名護市国道449号・安和桟橋出口前で、辺野古への土砂搬送のダンプトラックにひかれ、警備員さんが死亡、抗議行動中の市民が瀕死の重傷を負うという痛ましい事故が発生しました。
安和桟橋からの土砂海上搬送は事故当時ですでに5年以上も続いており、その間、現場での抗議行動は、「1台出し」(ダンプ1台が出るたびに前を抗議者が横断する)等の「暗黙のルール」ができており、危険な状態ではありませんでした。ところが、事故の前年ぐらいから、防衛局が工事を加速させるために、「2台出し」等の危険な誘導が行われるようになったのです。
今回の死傷事故も、市民が「2台出し」に抗議しようとした際、ダンプトラックが国道の車道部に出る前に一時停止もせずに飛び出したために発生したことが、被害女性やすぐ横で目撃した市民らの証言で明らかになっています。
◎防衛局による監視カメラ映像の勝手な利用
事故からすでに1年以上が経過しましたが、何故か、警察の捜査は遅れ、今も事故の原因等は明らかにされていません。それにもかかわらず、沖縄防衛局は、「市民が警備員の制止を聞かず、-- 進行中のトラックの前方車道上に出た」(2024.8.29、防衛局長の知事宛要請書)として、事故の原因を「県民の妨害活動」に押しつけているのです。そのために使われているのが、監視カメラの映像です。
さらに、昨年8月21日、22日には防衛局調達部長らが県庁を訪れ、県の土木建築部長らに監視カメラの映像を見せました。また、10月11日には、反対を押し切って県議会土木環境委員会の野党議員らが事故時の映像を見ていますが、これも防衛局が提供したものと報道されています。
この監視カメラは、琉球セメント㈱が設置したものと思われますが、何故か、防衛局が所持し、事故の原因を市民に押し付けるためのキャンペーンに利用されているのです。
◎被害女性による個人情報開示請求に、防衛局長は「映像は所持していない」と不存在決定
被害女性は、自らが巻き込まれた事故の映像が勝手に流されている現状に当惑し、事故の状況を確認するために、昨年12月5日、映像の個人情報開示請求を行いました。ところが沖縄防衛局は本年1月30日、「(事故の映像等について)保有を確認することができなかった」として、「文書不存在につき不開示」としたのです。あれだけ、監視カメラ映像を勝手に使っておきながら、「不存在」というのは通用しません。
そのため被害女性は、今日(7月29日)、国を被告として、監視カメラ映像の「不存在の違法確認、開示義務付」訴訟を提起しました。皆さんのご支援をお願いするものです。