沖縄県「自民党・無所属の会」が県内全域に折込みチラシ --- 昨年6月の安和桟橋の死傷事故の原因は県民の「妨害行動」だと決めつけて知事批判。沖縄平和市民連絡会・本部町島ぐるみ会議が同会派に申入書を提出
3月30日から31日にかけて、「沖縄自民党・無所属の会」の4頁にわたる議会報告が、県内全域で新聞折り込み等で配布されました。
ワシントン事務所問題等が中心ですが、4面の上半分に、「名護市安和桟橋死亡事故問題 -- 玉城知事の無責任な対応」という記事が掲載されています。その内容には多くの事実誤認、決めつけがあり、多くの方から「これはあまりにひどい」と、問い合わせの連絡等が寄せられました。
そのため、本部町島ぐるみ会議と沖縄平和市民連絡会は昨日(4月4日)、9名で、県議会の自民党・無所属の会を訪ね、それぞれ「申入書」を提出し、その後、県庁記者クラブで会見を行いました。
今回の自民党会派の議会報告は、事故の原因を、「作業を妨害する者が、警備員の制止を聞かず、進行中のトラックの前方車道上に出たことに起因したもの」、「牛歩行動は、人々の安全を脅かす危険な妨害活動」と一方的に決めつけたものです。そして、知事がガードレールの設置を拒否し続けていること等について、「県民の安全をかえりみない知事」と強く批判しています。
この申入れでは、私たちは次のような点を強調しました。
今回の事故の直接の原因は、ダンプトラックが徐行もせずに強引に走行したこと(車両乗入部から国道に出る際は、当然、一旦停止して後方からの車両が来ないかを確認すべきでした。しかし、死亡・負傷した2人は、ダンプにはねられた場所から7~8mもひきづられています。ダンプは、一旦停止せず、逆に加速した疑いが強いのです)、警備員の誘導の誤り(車両乗入部中央でダンプを誘導していた警備員が「2台出し」を指示したこと。また、事故の映像を見ると、誘導の警備員2人の方を見ています。何故、ダンプを止めなかったのでしょうか)にあります。そして根本的な責任は、ダンプトラックの走行を急がせた防衛局・業者にあることは明らかです。
県民の牛歩行動は、「危険な妨害活動」と言われるようなものではありません。「歩くこと」には何の問題もありませんから、現場は混乱もなく、常時は警察官らも常駐していませんでした。
防衛局が、「抗議する市民が歩道を渡りきってからダンプを1台だす」という暗黙の了解を無視し、いわゆる「2台出し」等の強引な誘導を始めたことによって、現場が混乱し、今回の事故にもつながったのです。牛歩行動は、辺野古新基地建設に反対する県民としての当然の表現行為であることはいうまでもありません。
事故の後、知事は、「事故原因が究明され、安全対策がなされるまでの間、土砂運搬作業を中止すること」と指示しました。しかし防衛局は昨年8月22日、これらが満たされていないにもかかわらず、ネットフェンスを持った大量の警備員で国道の歩道を封鎖して県民を排除し、運搬作業を再開しました。今では、事故前の2倍を超えるダンプトラックが出入りするようになっています。死傷事故を利用して工事を加速させているのです。
沖縄平和市民連絡会が特に強調したのは、今回の死傷事故は、辺野古新基地建設事業で相次いでいるということです。現場の監理態勢・安全対策に問題があるのであり、県民の抗議行動を排除しても事故はなくなりません。
たとえば、安和桟橋からの土砂搬送が始まった2018年末から昨年夏まで、安和桟橋前の国道では30件もの交通事故が発生しています。また、事業では、人身事故、火災、座礁、油流出等の事故が頻発しています。2019年7月には、安和桟橋の土砂運搬船内で作業員が6mも落下し、脳挫傷・脊椎損傷の重傷を負いました。2020年には、海上警備の作業船が座礁・沈没し、7人が負傷しています。今年になってからも、安和桟橋前での交通事故が連続し、大浦湾の工事現場でも、作業船からの3回の油流出事故、土砂運搬船の火災事故、2週間に2回もの人身事故(骨折)等が相次いでいます。
工事の監理態勢、安全対策そのものに問題があるのは明らかです。
事故の原因を県民の抗議行動に短絡させ、知事批判を繰り返すのではなく、こうした事業の実態を真摯に検証する必要があるでしょう。
(本部町島ぐるみ会議、沖縄平和市民連絡会の記者会見)
(県内全域の新聞に折り込まれた沖縄自民党・無所属の会の議会報告)