辺野古新基地建設事業では、本部塩川港と安和桟橋から埋立土砂が海上搬送され、県民が連日、懸命の抗議行動を続けている。
ところが沖縄防衛局は、さらに土砂搬送を加速させるために、琉球セメント安和鉱山から国道449号の地下を横断する暗渠(ボックスカルバート)を構築し、ベルトコンベアで土砂を本部塩川港に搬送するというとんでもない計画を推し進めている。
国道も本部塩川港も沖縄県の管理だが、すでに昨年末、業者から、国道449号の道路占用許可申請、本部塩川港の港湾施設用地使用許可申請が沖縄県北部土木事務所に出され、現在、県の審査が続いている。
県民の牛歩等の抗議行動を無力化し、土砂搬送を加速させるための計画だが、一部の民間業者に公共施設の排他的・独占的な使用を認めるものであり、とても許されない。
沖縄平和市民連絡会と本部町島ぐるみ会議は、今日(7月18日・木)、知事に対して質問・要請書を提出した。速やかに土木建築部長が交渉に応じるよう求めている。デニー知事の英断を期待したい。
(末尾に質問・要請書の全文を添付する。)
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沖縄県知事 玉城デニー様 2025年7月18日
質問・要請書
沖縄平和市民連絡会
本部町島ぐるみ会議
辺野古新基地建設事業を阻止するための日々の県政運営に敬意を表します。
本年2月、6月の県議会本会議の質疑で、琉球セメント安和鉱山から沖縄県管理の本部塩川港まで、国道449号の地下にボックスカルバートを構築し、ベルトコンベアで土砂・石材等を搬送させる計画があることが明らかになりました。すでに業者からは、昨年11月21日、国道の道路占用許可申請、12月20日には本部塩川港の港湾施設用地使用許可申請が北部土木事務所に提出され、現在、審査が続いているとのことです。
しかし、この道路占用申請・港湾施設用地使用申請の目的は、県民の反対運動を無力化して辺野古新基地建設事業を加速させるためのものであり、特定の民間企業に公共施設を排他的・独占的に使用させるものです。道路法、港湾法、沖縄県港湾管理条例等からも認められません。速やかに、現在、提出されている申請を不許可とすべきです。
下記のとおり、質問・要請しますので、ご回答ください。
記
1.計画が明らかになって以降、県の担当部署は、「審査中であり、内容についての説明はできない」として、具体的な計画内容の説明を拒んでいる。しかし、国道、港湾という県管理の公共施設での計画であり、県民にその内容を隠ぺいしたまま審査することは認められない。
少なくとも、ボックスカルバートの設置個所、寸法・延長、本部塩川港に設置される施設、国道での工事方法、工事期間等、計画の概要について明らかにすること。
2.国土交通省は、道路占用の許可基準として、「公共性の原則」が必要であり、「特定の営利目的のための公共性のない占用は原則として認めるべきではない」としている。今回の占用申請の目的は、特定の民間企業の土砂・石材の搬送を加速させるためのものであり、「公共性」は全く認められない。
今回の道路占用申請を不許可とすること。
3.また、道路占用の許可基準には、「安全性の原則」もある。2月の県議会本会議で土木建築部長は、「国道449号は緊急輸送道路であり、かつ周辺に迂回路がないことから、施工方法も含めた安全性の面が問題となる」と答弁した。今後、ジャングリアの開業等により一帯の交通量が激増するが、本件工事の際の国道の交通規制計画について説明されたい。
4.本部塩川港も、県が管理する公共の港である。今回の計画では、港内に安和鉱山からのボックスカルバートや出口部の施設を設置するための港湾施設用地使用許可申請書が出されているという。現在、県は、土砂積込みのためのベルトコンベア設置を港湾施設用地使用許可で認めているが、許可期間が1ケ月間であることからも分かるように、港湾施設用地使用許可はあくまでも一時的な使用を対象としたものである。
しかし今回の、ボックスカルバートや出口部の施設はほぼ恒久的に設置されるものである。特定の民間企業のために、公共の港湾の使用が恒久的に制約されることは問題ではないか?
5.県議会本会議の審議でも、本件申請の許可を求める議員は、「(県民の)妨害行為を避け、事業を進捗させるために必要不可欠であり、県も協力してもらいたい」、「港内で多数の妨害者でダンプトラックが滞留する状態は非常に危険。そうした状態を一刻も早く解消するために、鉱山からの地下のベルトコンベアで資材の搬送を行うことは、これらの問題に対してもきわめて重要」と質問している。本件申請は、辺野古新基地建設事業を促進するために、ダンプトラックでの搬送を減らし、地下のベルトコンベアで土砂を搬送させて、県民の抗議行動を無力化させることを目的としたものであり、辺野古新基地建設反対というデニー県政の柱と真っ向から対立する。こうした、政治的な目的のために公共施設を占用させてはならない。
そもそも、昨年6月28日の安和桟橋出口での死傷事故を受け、知事は安和桟橋・本部塩川港からの土砂搬送について、「事故の原因究明、安全対策が講じられるまでは土砂搬送を中止すること」と行政指導した。しかし、防衛局は昨年、事故原因が究明されておらず、安全対策も講じないまま、土砂搬送を再開した。知事は、行政指導を無視する防衛局に毅然とした措置を取るべきであり、自らが出した行政指導に矛盾し、土砂搬送を加速させるための道路占用許可申請・港湾施設用地使用許可申請を認めてはならない。
(以上)