英語な日々

京都在住の英語講師のと猫と英語と美味しいもののお話。
時々、脳動脈瘤のお話もね。

記憶の蓋が開く。

2024-07-26 | 病気

オーディブルで、研修医が外科医として成長していくという、長いシリーズの小説を聴いていた。

その中で、その研修医が、死に瀕する幼い少年の姿に涙するシーンがある。

そこで突然、記憶の蓋が開いた。

 

遠い昔に、幼子が、絶望的な病で長い入院をしていた時のことである。

その日、私はその幼子を抱いて、廊下の窓から遠くを眺めていた。

そこには小さな公園があって、子どもたちがたくさん遊んでいた。

別世界のような風景だった。

ふと気づくと、廊下の向こうから担当医の先生が歩いてくる。

院生だそうな。

目があって、少し話す。

あそこで一緒に遊びたいね、って言ってたんです。

返事がない。

先生の顔を見上げると、目に涙が滲んでいた。

そのまま先生は、ちょっと頭を下げて行ってしまった。

それを見た私は、ああ、この子は助からないんだな、と思ったのだった。

 

場面は変わる。

今度は、教授回診の1コマだ。

ベッドの周りに沢山の医者達が集まっている中で、何度も「ユーイング」という言葉が聞こえてきた、「決まりだね。」とか、「99%ね。」とかいう声も。

すると、その若い先生が声をあげた、「いえ、まだ・・・な可能性があり・・・で」と。

話の内容は分からなかったが、今度は私が落涙した、戦ってくださっていると思ったのだろう。

 

あの先生は今頃どうなさっているんだろう。

名前も覚えていない。

それにしても、こんな大切なシーンを何故忘れていたのか。

 

その先生の仰った通り、幼子は手術をして『99%』をくぐり抜け、1%の側にたどり着いた。

今は遠くで元気に暮らしている、とても、とても、ありがたいことに。

 

・・・だなんてセンチメンタルになる深夜。ww

 

(センチメンタルとは程遠い子、足が太短いね。ww)

 

高崎市の行方不明猫『まめちゃん』です。


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2 コメント

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Unknown (そらにゃん)
2024-07-26 16:42:16
人は、一生懸命過ぎたり、つら過ぎたりした時の記憶って、飛んじゃうものなんですってね。ストレス性の健忘症とかも、あるみたいですし。…ん?そうだとすると、最近の私って、とんでもなく辛い毎日なのかしらん?だって、あれも忘れこれも忘れ…。話がそれました。その頃は、ポン吉さんにとって、それくらい大変な日々だったのですね。その1%の先生は、本当は魔法使いだったのかも。同じ仲間のよしみで、奇跡の魔法で魔女の窮地を救ったのかも知れません。目には目を、歯には歯を、魔女には魔法使いを。あっ、わかった!その頃、その先生は、研修魔法使いだったので、奇跡の魔法を許可なく使うのは禁じられてたんです。バレると魔法検定3級の試験資格が剥奪されちゃう。それなのに、ついつい、途方に暮れる魔女にほだされて、禁を犯してしまいました。だから!バレないように、記憶に蓋をしたんです。でも、ここのところの猛暑による経年劣化で、蓋のタガが緩んでた。そこにきて、地獄の釜の蓋も開いちゃうこのシーズン。そこで、一気にパカッと蓋が開いちゃった。あー、ポン吉さんが、ここでその話をバラしちゃったから、その先生は、もしかしたら魔法検定の資格は取り消しになっちゃってるかも。でも、今は、魔検より、魔ーイックの方がもてはやされてるから、大丈夫、大丈夫。
今日は、白いナスと緑のナスのステーキの元気玉です。甘い田楽味噌をたっぷり乗せてどうぞ。
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そらにゃんさま (ぽん吉)
2024-07-26 23:37:40
なるほどね!
先生が研修魔法使いだった、というのは正しいかも!魔ーイック990点の満点院生先生だったのでしょう。
で、頭の蓋は、暑さによる劣化じゃなく、正真正銘経年劣化・・・ゴホゴホ。

ブログには1%と書きましたが、実際は99%がユーイング肉腫、1%が骨髄炎、そして最後に、レアケースとして好酸球性肉芽腫(これなら助かる)とのことでした。そして、そのレアケースだったんだから、やっぱり最高の魔法使いが、全力で頑張ってくださったんだろうなと思うのです。

手術室から出てきた先生方がにこにこしてらしたことも、今思い出しました。「ユーイングじゃなかったんですよ。」と仰った時に、私はそれじゃ骨髄炎だと思って返事をしたら、年嵩の先生が「いいえ、いいえ、違ったんですよ。」と微笑みながら声をかけてくださった。
あー、今頃になって泣けてきた。ww

再発の可能性はあったので、4年間検査に通いました。長かったな。
その間に、私たちが通っていた大学の医学生が同じ症状で入院されて、2年ほどで亡くなってしまったそうです。お父様が出された手記を読みました。これも今思い出しました。

マジでお返事してしまいました。
不思議だな、ほんとに。
ぽっこり抜けていた記憶です。

お返しの元気玉に乗せるのは、溢れる感謝の元気玉。真面目すぎてごめんなさい。ww
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