雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

「頑張れ」は言わない。

2006年12月05日 | 入院生活
最初の入院と再入院で、通算23日の入院になりました。
(自分でもちょっとびっくり)
決して嬉しい体験ではなかったけれど、他ではできない
いろいろなことも学べたと思っています。
思いがけず病に倒れる不安、急に体がきかなくなることの
恐怖・不安・情けなさ、完治するのだろうかという不安、
無力感・・・。

神経内科の病気は、その多くが原因不明、治療困難です。
いわゆる「不治の病」の1つにかかった患者さんの1人と
入院生活を通して仲良くなりました。

その人といろいろとお話をさせてもらって感じたこと。
溌剌とした美人で、優しく穏やかな性格のその人は、これまで
お友だちも多かったのでしょう、お見舞いの人がしきりに
来ていました。でも、その人たちが帰った後、彼女は
涙ぐんでこう打ち明けたのです。

「元気だった頃の知り合いにはもう会いたくない。
 よく知りもしないくせに『絶対治る』とか
 『知り合いが○○で治った』とか。親切で言ってくれるのは
 わかっているから怒ることもできないけれど、
 今でも一生懸命頑張っているのに、それを否定されるようで
 たまらない。『頑張って』なんて言われると、『あなたが
 今まで頑張っていないからこうなった』と言われてるような
 気がする。病気を治すために何の力を貸してくれるわけでも
 ないくせに、『頑張って』 なんて気軽に言わないで欲しい。
 『頑張ってね』と言われて『うん、ありがとう』と言わないと
 いけない私の気持ちが あの人たちにはわからないに違いない」

一方、私のわずらったギラン・バレーにはルンバール(髄液検査)と呼ばれる
苦痛を伴う検査が伴います。
その検査についての愚痴を打ち明けたときに「頑張れ~」と言われたことが
(好意から出た言葉であることは百も承知だけれど)
実は私にとっても今回の入院で一番へこんだ言葉でした。

それは、息子が自閉症だと知って間もない頃の私の気持ちに
似ていました。他の人にはどう見えるかわからないけれど、
今の私にはこの事実を抱えて生きているだけでも精一杯なのに、
『頑張って』『母親がしっかりしないでどうするの』と
言われることは、まるで傷口に塩をすり込まれるようでした。
『頑張れ』という言葉は、エネルギーの低下した状況の人間には
かえって辛い響きを持つのかもしれません。

『頑張れ』という言葉は、もう使わないようにしよう。今回の
入院で、つくづくそう思いました。
少なくとも、今辛い状況にある人に対しては。
辛い、怖い、嫌だ、不安だ。
弱っている人には、きっとただ「寄り添ってもらう」ことが一番の癒しだから。