雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

音楽会

2005年11月19日 | Wonder of Autism
今日はM小学校の音楽会でした。ちびくまたち5年生は
リコーダー奏が1曲、合唱が1曲、それに合奏が1曲。

1年生のときは「とにかく舞台から逃げない」が目標で
何もせずただにこにこと周りの子どもたちを見回しながら
その場に立っていただけで褒められた息子。

翌年から少しずつ自分から参加するようになり、去年はついに
リコーダー奏と合奏のオルガンを担当するまでになりました。

でも、さすがに5年生ともなると曲の難易度もぐっとあがります。
それでも、去年と同じように、リコーダー奏も合奏も
「がんばります」という息子に、障担は個別で特訓もしたりして
サポートしてくれました。

大切なのは、こうした特訓が「普通学級の子どもと同じことをさせるため」や
「普通学級のみんなの足を引っ張らないように」行われるのであっては
それは「指導」の形ではあっても「サポート」ではありえない、と
いうことです。障担は、あくまで、ちびくま本人の「みんなと同じように
リコーダーが吹けるようになりたい、オルガンが弾けるようになりたい」という
気持ちを「応援するため」の指導をしてくれました。

外見ではそう変わりませんが、指導してくださる先生がそのことを
わかって、意識しているのといないのとでは、全く違います。

その子その子の「今」のレベルで、ちょっと頑張ればできる、という
ところを目指して、しっかりと「参加できた」「頑張った」という
達成感を育てることを重視してくれる学校や先生だとわかっているからこそ
安心して子どもをまかせられるのです。

本人と障担の頑張りもあって、何とか本番の3日前には、
ちびくまの弾くオルガンを聴いていた他の先生が
「K先生(障担)が代わりに弾いているのかと思った」と
言ってくださるまでになりました。

途中では「ちびくまくんは、なかなかじょうずにオルガンが
ひけない。もうタンバリンにしようかなあ」
「リコーダーがじょうずにふけないから、もうやめたほうがいいね」
と弱音を吐きまくりだった息子も、ようやく自信が持てるように
なったらしく、今朝はついに
「おとうさんと、おかあさんと、2人でみにきてね。
 ビデオもとってね。ちびくまくん、じょうずにできるから」と
宣言して家を出て行きました。

M小の音楽会は運動会と並んで私の好きな行事です。
障級の仲間たちが、それぞれの性質や発達のようすに合わせて
一人ひとり違った形の支援を受けて、一人ひとり違った参加を
する姿を見て、なんとも幸せな気持ちになれるからです。

黒子の先生を背後に従えて、ノリノリで踊る子。
楽しそうにタンバリンを盛大に叩く子。
みんながリコーダーを吹いているときに、一人
調子っぱずれに「ピ~」とリコーダーを吹き鳴らす子。
でも、不思議なくらい、出るのを嫌がって泣いたり、
舞台の上でパニックになる子どもは誰もいません。
そんな「参加」もまた「あり」なんだよ、という空気を
しっかり感じるからなのかもしれません。

ちびくまたち5年生の出番は4番目でした。
リコーダー奏、ちゃんと指が動いていました。
合唱も、声の大きさはわからないけど、ちゃんと唇の動きが
歌詞にあっています。
合奏のオルガンは、指揮の先生の影になって手元までは
よくわからなかったけれど、弾き終わった瞬間に
息子の顔に笑顔が浮かんだことと、その後立ち上がった
瞬間に「えっへん」というように、腰に手を当てて
踏ん反り返ったポーズをとったこと(ちびくまが得意に
なったときに時折見せるポーズ)を考えると、
本人にとっても「やった!」と考えられる出来だったのでしょう。

教室へ迎えに行った私と夫の顔を見るなり、
「おとうさん、おかあさん、ちびくまくん、おんがくかい
 がんばったよ!」
出来よりなにより、本人がその実感を持ったことがなによりの
成果だと思いました。

いよいよ来年は小学校生活最後の音楽会。
「私、号泣するよ」と今から宣言して
障級のお母さん仲間に笑われている私です。