雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

リーダーに会いたい。

2005年10月29日 | adorably autistic
金曜日、学校から帰ってきた息子が言いました。
「おかあさん、あしたはKだいがくのおまつりに
つれていってください」

K大学、というのは、我が家から車で20分弱のところにある
私立大学。そこの学祭に行きたい、と言うのです。
人ごみが嫌いで、通っているM小学校のこども祭りにも
参加しようとしない息子が、どうして大学祭になんか
行きたいと言うんだろう、と不思議に思って尋ねると、
「Oリーダーに会いたいから」

今年6月に、息子たちは5泊6日の自然学校に行きました。
そのときに、各クラスに1人ずつ、さらに障碍児学級在籍児には
マンツーマンで、学生ボラさんが付いてくれたのでした。

私は、彼らは野外活動とか、児童福祉かなんかのサークルだろうと
思っていたのですが、後で聞いてみるとそうではなく、
発展途上国の住宅問題に貢献する国際ボランティアのサークル
だったのだそうです。

息子の学校では総合の時間に「国際理解教育」として
さまざまな取り組みをしています。よくある「英語体験」も
その1つですが、JICAでアフリカへ行かれていた先生が
いることもあり、アフリカ某国の政府高官が訪問されたり、
発展途上国からJICAを通じて日本で研修中の人たちを
お招きして、それぞれの国の話を聞かせてもらう、という
授業もありました。

先日もあったそんなイベントに、通訳として呼ばれていたのが
自然学校でもお世話になったリーダーたちのサークル。
ちびくまは、5泊6日、ずっと自分に寄り添ってくれた
Oリーダーにまた会えて、とても嬉しかったようです。

そして、先週また彼らが学校にやってきました。
今度は自分たちの国際ボランティア活動の紹介だったようですが、
そのときに初めて、息子はOリーダーがK大学に通っている
学生さんなのだということがよくわかったようで
今度は自分がOリーダーの学校へ行けば、
また彼に会えると思ったようなのです。

そこまで言うのなら、と今日、家族3人でK大学へ出かけてみました。
パンフで彼らのサークルの企画展示室を確かめて、まっすぐ
そこへ向かいます。
息子は「Oリーダーにあえるかなあ」と既にウキウキ。

でも、私は少し心配していました。学祭の企画展示なんて、
サークル員全員が張付いているものではないはずです。
友達を呼んで案内していたり、ひょっとしたら彼女と
歩き回っているかもしれない。
学祭に行ったからといって、彼に会えるとは限らないし、
会えたところでそれが彼に迷惑でないという保障はないのです。

目指す展示室を見つけて、早速にこにこ顔で飛び込んだ息子。
でも、案の定、Oリーダーの姿はそこにはありません。
「どうしようかなあ」と考えながら、とりあえず展示してある
写真を息子に示して、一緒に見ます。

と、そこへ。天の助け!
Oリーダーが、一人で、展示室に入ってきたのです。
息子に「Oリーダーがいたよ」と囁くと、大ニコニコで
駆け寄っていきました。
Oリーダーは息子の顔を見ると、「ちびくまくん!どうしたん?」
とびっくり。

「どうしてもOリーダーに会いたいから連れて行け、って
 うるさくて」
と説明すると、Oリーダーはにっこり。
「そうか~、会いに来てくれたん」

それからしばらく、息子はOリーダーに付き合ってもらって
校舎の中を探検したり、障碍者用トイレに1人で入って用を足して
見せたり、楽しい時間を過ごすことができました。

別れ際に「ちびくまくん、また音楽会も見に行くよ。
頑張ってな」と言ってもらって、すっかり満足した息子は
笑顔で手を振りました。

人とうまく付き合えない、コミュニケーションに障碍があると
言われる自閉っ子ですが、私は時々、息子が自分を愛してくれる人、
自分を支え、導いてくれる力を持った人を
周りに呼び寄せる力の強さに、驚くことがあります。
ひょっとしたら、彼の最大の支援者は彼自身なのかもしれません。

Oリーダーと一緒に歩く息子を見ていて、
ちびくまにとって、「大切な人」がまた一人増えてたんだなあ、と
嬉しくなりました。

それにしても、Oくんって、いい青年ですわ