雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

2005年09月05日 | adorably autistic
夕食を作っている時に、いやに息子が静かだなあ、と思って
様子を見に行ったら、布団に突っ伏して泣いていました。静かに。

そっと近寄っていって、背中をさすってやると、一度顔を上げて、
私の膝に顔をうずめて、またさめざめと泣き始めます。
「悲しくなっちゃったんだ?どうして悲しくなっちゃったのかな?」

本当は、私には想像がついていました。
今日から、運動会の練習が本格的に始まったのです。
メインは、高学年の目玉である組体操。

息子は、10歳になった今も、自分の体を思うように動かすことが
できません。筋力も弱くて、鉄棒に飛びついたり、ぶらさがったり、
ということもできません。
体幹の軸が出来ていないために例えば片膝立ちといった姿勢をとるには
相当な努力を要します。

こんな息子にとって、組体操は非常に難しい課題なのです。
もちろん、学校の先生たちはそのことをよくわかってくれていて、
1人技はアレンジして彼でもできるように考えてくれるし、
複数技は、先生も補助に入って助けてくれることになっています。
これまで、何年も、どんなに障碍の重い子にも、その子なりの
参加を考えてきたノウハウが、この学校にはあります。
ちびくまが1年生の時から先生たちの姿勢を見てきた私には
その姿勢への信頼があります。

そして、息子への信頼も。
彼は頑張り屋です。そして、自分の得意な事、苦手な事、
自分にはみんなが簡単にできることでもできないことがあることも、
周りが見えるようになってきた彼にはわかっています。
自分が組体操をするのが苦手なことは
彼自身にもしっかりわかっているはずです。
それでも彼は「ぼくは頑張るから」と宣言したのです。
今日も、「みんなのようにできない」自分を痛いほど自覚しながら
泣きべそをかかずに頑張ってきたのでしょう。

しばらく答えずに泣いていた息子は、
「くみたいそう、むずかしい」とぽつりとつぶやきました。

「そうだね、難しいね。でも、ちびくまくんは
頑張って練習したんだね。しんどかった?」
「しんどかった。でも、がんばった」
「そう、頑張ったんだね。偉かったね」
「ちびくまくん、くみたいそう、じょうずにできる。
 がんばる」
ごしごしと顔をこすって、彼は照れたように笑いました。
「おかあさんに、23にちにみてもらう」
「そうだね。楽しみにしてるよ」

・・・ホントは、「そんなに頑張らなくてもいいのよ」
って言ってしまいたいけど、そう言われても本人も
困るだけでしょう。
「ほどほどにする」というスキルはまだないから。

私には、必死で頑張っている息子の背中を静かに見守ることしかできない。
嬉しくて、淋しくて、複雑な気持ちです。