雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

「おこらないでね。」

2005年06月06日 | adorably autistic
自閉っ子を育てていると、いろいろ誤解や偏見にさらされることも多いですが
私がよく言われてきたのは「母親がちゃんと叱らないのが悪い」。

確かに、私が息子に対して声を荒げることは滅多にありません。
それは、息子の障碍がわかるずっと前からのことです。
なぜかというと、彼は、明らかに大声に対して怯える子どもだったからです。
怒鳴っているわけではなくても、勢いのある喋り方や大きな声を聞くと、
びくっと体を固くして泣きはじめる、そんな子どもでした。

いろいろ困ったことはしでかしてくれるけれど、基本的に穏やかで
ニコニコ笑顔の可愛い息子に対して、怒鳴りつけて言う事をきかせる、と
いうのは、とても非人道的に思えたのです。

「お母さんが、ちゃんと『ダメ!』と言わなきゃだめ」
「口で言ってわからないなら、体でわからせるくらいの気持ちでいないと、
 こういう子のしつけはできないんじゃないの?」
「お母さんが、子どもの言いなりになってしまっているんじゃない?」
親戚や、保育士さんや、知人など、「善意の」人々にどんなに
「アドバイス」されても、「あ~、だめだあ」の「ダメ」に
反応して泣いて怯えるような子どもに、私は「ダメ!」とは言えなかったのでした。

今も息子は「ダメ」「やめて」といった否定的な言葉に、過敏に反応します。
アニメの「クレヨン**ちゃん」を見ていて、**ちゃんのお母さんが
「☆△○◆×~っ!!」と叫んだだけで
テレビをミュートにしてしまい、お父さんが「ばかやろー!」と
言っただけで「**ちゃんのおとうさんがおこった」と
泣いてしまうくらいに。

こんな息子にきちんと躾をしようと思ったら、
「大声を出さない」「否定的な言葉は使わない」「感情を込めず、おだやかに」は
鉄則なのです。

ところが。最近暑くなったので、窓を開けてすごす事が増えました。
仕事から帰ってきた私、学校から帰ってきた息子、
のんびりまったり、畳の上でごろごろくつろいでおりますと…

「こら~っ!」と女性の大声。
「なんべん言ったらわかるのっ!!またこんなことしてっ!」
思わず、息子と顔を見合わせます。
「***(ちびくまの本名)、こっちへ来なさいっ!!
 ほんとに、アンタって子は、どうしようもないんだからっ!!」

自分の名前を呼ばれて、顔がこわばる息子。
都会のマンション生活、廊下などで出会えば挨拶する程度の関係なので
詳しくはわからないのですが、どうも3人いるお子さんの真ん中が
うちの息子と同じ名前のようなのです。
「ちびくまくんのことじゃないのよ。大丈夫。お隣のおばさん、ちょっと怒ってるね」

「じゃあ、おかあさん、こんど、『ちびくまくんはこらーっていうのがこわいから
おこらないでね』っていうのはどう?」
うぷぷ。そんなこと言われたらおばさん、どうするだろうね


でも、本当はお母さんがそう言ってあげたいよ。
だって、怒鳴りつけなくても、君も、そしてきっと隣の***くんも
十分いい子だもの。