先日の入院中でのこと。
点滴をしながら時間つぶしに本を読んだりイヤホーンで音楽を聴いたりして過ごす。
仰向けになつて音楽を聴きながら目の前に手をかざし手の甲を眺めたりもする。手を反り気味にすると手の皮に張りがなく深い皺々ができる。あげくに若者のような艶がなく澱んだ色になつている。その手の甲の皮を反対側の指で摘まみながら山脈を作ることもできる。
逞しくもなく綺麗でもない手だが、なんかこの手が好きだ。大げさだが愛おしい気持ちになる。
石川啄木の短歌に
「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢつと手を見る」
というのがある。石川啄木も自分の手を愛おしい思いでみていたのだろうと思う。