千字のおもい


徒然のことを千字を超えずに載せていきます。

春の句UP  

2024年05月05日 | 俳句をつくる
今日は立夏。この節目に春に詠んだ句をまとめてUPしようとしているが、句の数が少ない。句にする対象を見つけられないのだ。生活の中で感性が乏しくなつたというのは実感できる。原因は気力、体力の衰え、言い換えれば老の進行と言えるかもしれない。もう少し、それに逆らってみたい。






春の句一覧    2024・2・4~2024・5・4

春寒や雀まぢかに餌をつつく
車窓より西方(さいほう)の山春の雪
鞦韆を振り切って今宙にあり
料峭のバス待つ二人諍ふや
雛飾り終へて正座の老母なり
一心に読書の少女カフエに雛
男びな女びなのみ飾りけり
バス一便遅らせ帰る遅日かな
待つ人なき家に退院椿咲く
空見上げゐる姿勢なり落椿
伐根の庭渺渺と春の雲
ヘッドホン外し振り向く春夜かな
点滴の間遠のリズム春愁
春眠や目覚めて夢の繋がらす
ロト籤のもしやと思ふ万愚節
卓の端に息殺すごと春の蠅
永き日のバス待つときの句集かな
諸手あげ立ちつくす児や春の泥
母のけるボール追ふ子や初桜
一歳てふ園児のかける花の下
躓いてたたら三歩の桜まじ
場所とりの茣蓙に桜を一人占め
玄関が終の戸締り花見旅
着く前の家より沈丁匂ひけり
石庭の端の緑に春の鳥
病む身ならラジオに暮るる日永かな
春昼や眼鏡はずして辞書を引く
児は砂場母はベンチの日永かな
友の忌の初蝶墓石を巡りけり
芹鍋を夕膳にして帰り待つ
ひともとのつくづくし立つ石の陰
小春日や歯医者帰りの回り道
二の腕の濡るる春雨二人傘
公園の転寝覚ます春の風
地震(ない)跡は倒壊のまま海は春
ちょっとだけ跳ねてみたいや春の土手
認知症あるやも知れぬ雨水かな
春寒し耳にイヤホーン夜の道
放られて伸びきつている菠薐草
時ずらしはやるグルメへ春の昼


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冬の句UP

2024年02月04日 | 俳句をつくる
今日は立春。地震、飛行機災害と一緒に迎えた新年だったが、能登半島地震の災害跡は未だ片づけられていない。
そんな中の立春、日差しもあり春らしい天気になつているが、残り大半の1年、穏やかな日々であって欲しい。
二十四節気の今年の冬の句をUPする。





冬の句一覧 2023・11・8~2024・2・3

昼長きへ変わる冬至の南瓜食ふ
極月の地下鉄誰もが無口にて
ワンコインのワインを買って十二月
書に耽り午餐遅れる冬の昼
終バスに乗客ふたり冬の月
神の居ぬ二人にイブのショートケーキ
ひい婆の鼻のクリームクリスマス
十二月白杖の行く青信号
大根煮を一番に取るバイキング
数へ日や残る齢の思はるる
人多く真直ぐ歩けぬ歳の市
年の瀬のトイレの詰まり通りけり
過ぎ去りしひととせ思ふ寒北斗
ジャスミンの香る仕舞湯年惜しむ
数え日やからおけ唄ひ納めとす
メモ書きを一つずつ消す年用意
両輪に車止め置き初荷積む
熱燗に触れし指先耳たぶに
終バスに乗客ふたり冬の月
人死ねば凍て夜の電話けたたまし
窓揺する夜の木枯し遠のきぬ
死に体の翁ベンチの日向ぼこ
遠来の友と寝起きの冬ぬくし
居酒屋の更地となりぬ雪催
雑踏を背に電話の歳の市
踏台の天板に立ち飾る注連
日の昇る人出まばらの初詣
人日や入れ代へのある非常食
くる年の老ひの朝寝に来訪者
棹しなる初売の旗開店前
注連縄や玄関に日の満ちゐたり
雪催口中に飴転がして
目交ぜしてゴールへ走るラガーマン
着膨れて準備体操老人会
ほのと吹く風に蓑虫父思ふ
朝市の焼牡蠣啜る紅の口
外灯をすり抜け面に千の雪
出始めのシャワー冷たし一番風呂
妻ありし日を思ふ夕の根深汁
マスクせぬ顔もまばらのショウウインドウ
いっせいに吹かれ地を飛ぶ落葉かな
声高にインフル予防の接種者を
散髪のうなぜに触るる小春風
冬麗の歯医者帰りの散歩かな
喪服着て映る鏡に雪催
牛鍋の半煮えの肉つまみけり
伐採の庭を吹きぬく冬の風
身をよじり風をこらへる冬椿
給食費ゼロと幟に冬の風
陽の翳りベンチに跳ねる霰かな
一人寝の眞夜に寝覚めの電気毛布



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秋の句UP

2023年11月09日 | 俳句をつくる
11月8日、昨日は二十四節気の立冬だった。猛暑日の続いた型破りの夏に、領分を侵されたような秋だった。とはいえ、要所要所で秋の気配を楽しむことはできた。そんな心の記録だ。






秋の句一覧   2023.8.8~2023.11.7

庭椅子の尻辺のぬるき残暑かな
かけ声の三で絶えたり長縄飛び
「それくれ」に「これ?」と応える秋の昼
秋うらら男洗濯終へて昼
ハンバーグの嵩に大口文化の日
今日の月雲のパレオをまとひけり
食台を箸に追はれる秋の蠅
バックミラーに迫る車影夜夜の月
紅唇のそろそろ啜るとろろ汁
飛行雲緩む円弧の秋高し
首振りの風に身を寄す残暑かな
電柱の影に身を寄す残暑かな
秋暑し庇の下に書を開く
秋の蠅真広の部屋に消えにけり
扉を開き外に出でてみよ秋きたる
哀れ蚊の老いのかいなにしがみつく
跳ぬるごと看護師のゆく九月尽
夕影や昏き土塀に曼珠沙華
杉鉄砲できて児にいふ熊撃つか
雲割れてかわたれの野に秋日影
声高になりゆく会話敬老日
棚経の遺影のまなこ光をり
宵なかば未だ消えざる夜学の灯
中秋やイヤホーンの音漏れざるや
天辺を朝霧覆ふオフィスビル
つる草の絡む杖先秋野かな
庭石をまたがす梯子松手入
次に乗る人もまた杖文化の日
もみじ葉の早瀬の渦を抜け出せず
秋の夕男料理を始めしか
杖のみち行く先見えぬ秋の暮
韓流のドラマ見終へぬ更待月
三才の笑顔弾ける竹の春
喪服着て鏡に背みる寒露かな
行く秋を伴走杖にウオーキング
洗濯物干されしままの夜夜の月
筋力の衰へに立つ花野かな
幼き日の記憶の狭庭ほうし蝉
ほのと吹く風に蓑虫父思ふ
雨上がる庭にここぞとすがれ虫
身に染むや土手より蹟へ人の影
手の凹に児のくれゐたる一位の実
朝霧やまどろみ残る街の上に
下校の子一人遅れる草の花
敬老日機能検査の乾ぶる指
腰痛の居座るままや冬隣




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夏の句UP

2023年08月13日 | 俳句をつくる
立秋は5日前のことだが、それまでの夏の句をUPする。
昨日今日と、台風の影響で太陽は雲の陰だが、気温は連日の猛暑と変わりない。もう少しの辛抱とは思うが。





夏の句一覧  2023・5・6~2023・8・7

Tシャツにコロナマスクの炎暑かな
万歳の小さき稚の手五月来る
灼熱のとぐろ巻く中溝浚い
マンションの炎暑の空に半ば溶け
諸手あげひよつとこ走りの夕立かな
炎天の狭庭の灼けし匂ひかな
疫緩み友尋ねきて明けやすし
「運命」の動機に重ね日雷
念を押す受話器の声や天の川
息詰めて屈む腰痛なつあざみ
五月雨を覚へて真夜の目覚かな
教会の尖塔つきさす夏の雲
滝壺のほとり誰をも無口にす
虎杖の勢ひ淵の縁隠す
ゆるゆると腰伸ばし立つ草取女
母の手をほどき歩む子潦
廃線の錆びし鉄路に蝸牛
山霧を車飛び出てかすめ去る
土塀の上にのそりと本アジサイ
涼風に押されきて乗る献血者
葱刻む音を重ねる大夕立
隠沼に日の行き渡り夏の蝶
クーラーやジョギングをかへストレッチ
大噴水飛沫を避けて乳母車
天帝や隠沼じっと息殺す
ひそひそとパナマの男女カフェの隅
手作りの目隠し塀の夕涼み
打ち水に両手差し出す赤い爪
冷房バス降りて焔魔に囚わるる
炎天や幟はためく笛太鼓
建物の裏に駐車の日傘かな
ビル陰に歩を止め吐息の油照
緑陰をい出て日向のウオーキング
夏風や樹々揺るがして届きけり
茹でられて筍白身に剥かれをり


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春の句UP  

2023年05月07日 | 俳句をつくる
昨日は立夏。コロナ規制解除で観光地の賑わうゴールデンウィークのただ中、躍動する夏へ向かうように世の中が明るくなるような予感もするがどうなんだろう。
それにしても、頭のめぐりにも衰えがきたのか俳句がなかなか作れない。







春の句一覧  2023・2・4~2023・5・5

 
春の雪甍の茶色見え初めし
正社員になりしとライン桜餅
バス停のポール赤錆山笑ふ
ウインカーのいつまで花の駐車場前
海老天を縦に食ひをる花見膳
炊きたてに塩味苦味の焼目刺
春陰や眼鏡頭に読むニュース
囀りや朝一番の現かな
野遊びに出前珈琲近づきぬ
春昼やナースと患者の立話
眼鏡の縁より外の藤おぼろ
大部屋の端よりいびき春の昼
散水に日焼けし庭の息延ぶや
春光へ寺院の陰を抜けい出す
五類へと疫の移行万愚節
春昼や呼べば振り向くメインクーン
春風に委ねて木々はささめき合ひ
春時雨車道の向ひの停留所
フラココの揺れに遅れて兄の声
まろまりてペタル漕ぐ子や花薺
一歩また泥田歩む子学校田
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冬の句UP

2023年02月05日 | 俳句をつくる


早い。昨日は立春、歳時記上であるがもう冬は終わった。
振り返ると、この冬は作った句数が少ない。感性が鈍くなり身の回りの事象を詩的に捉えられなくなったか、それとも作ろうとする根気強さがなくなつたか。おそらく寒さと加齢で脳の萎縮が進んたのかもしれない。






冬の句一覧  (2022.11.72~023.2.3)

病む母の下駄の狭庭に蜆蝶
突風の撥ね上ぐる色紅葉散る
裸木の下ときおり目交ぜの老夫婦
居酒屋の更地となりぬ雪催
八階までワクチン受けに歳の暮
川向うの静もる街に淑気満つ
盛り上がる雲影雲に初日影
クーポンに硬貨を足して初買ひす
粉末の七草色なる一人粥
死に体の翁ベンチの日向ぼこ
寒の虹はにかむ妻の仮退院
部屋干しの増えゆく日々や雪催
仄暗きカフエの片隅女郎花
凍て廊を巡る看護師小さき灯
終バスの灯の近づきぬ冬の星
床に臥す妻へ男のねぎま汁
煖房のバスを微かに換気の冷
地吹雪を背で逆らひ進みけり
吹雪く日の電球の下頁繰る
風邪かなと覚えし悪寒背を焙る
冬麗の歯医者帰りの散歩かな
頬杖に浮かびくる顔女郎花
アスファルト工事の湯気と舞ふ粉雪
粉雪吹く工夫無言の道普請
雪晴れの半分隠るビル横丁
みぞれ煮をかき分け牡蠣のミルク色
蝋梅の前にピースの女子学生
頬杖にthe roseを聴く春の雪
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入選内定作品確認書   

2023年01月19日 | 俳句をつくる
NHK全国俳句大会に応募していたが「入選内定作品確認書」の文書がとどいた。入選作品として確定するために次の3項目を確認せよというものだつた。
  • 自作・作者本人による投句に間違いない。
  • 未発表作品であり、同一作品及び酷似する作品を二重投句していない(新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・大会・コンクール・結社誌・同人誌・機関誌・webサイト・ブログ・SNS等に投句発表していない) 
  • 作品・都道府県名・名前の表記に誤りがない 
二つ以上の主催団体に投句して、どちらかに入選することを期待する人もいるようだが、これは品がないので止めた方がよい。
だが、ブログなど私的媒体に発表したものもいけないとある。自分としてはその日の俳句をその日のブログに載せたいときもあるがそれができない、
そのため、俳句は季節の終いにまとめてUPすることにしている。
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俳句素人考 

2022年12月11日 | 俳句をつくる
俳句結社に所属している。構成員は同人と会員からなるが、素人俳句の自分は会員で月1回の句会でお世話になっている。
同人の人には句集を自費出版する人が時々いる。そして、結社の同人、会員全員に献本しているようだ。私を知らない人からも献本されて恐縮しているが、その都度礼状は出している。
それらの句集のなかで「この句集に掲載する句を主宰に選句して頂いた」と序文や後書きで感謝している人がいる。これには違和感がある。句集を作るということは自分の作品の中から自分で選句までしなければならないと思うがどうだろう。権威ある人に選句を委ねる気持ちもわかるが、自分の句集を作るというのはそうではない。折角の上梓が完全に自分の作品になっていない。もったいないと思う。
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秋の句UP(2022-8-7~2022-11-6)

2022年11月08日 | 俳句をつくる

昨日は立冬。
歳時記上では秋は終わった。終わりに来て振り替えつた時、季節の移ろいは早いなあといつも思う。
 今秋は地震被害(1年前)にあった家屋の修理に何かと気忙しく、俳句作りに集中できなかった。と句数の少ないことの言い訳けだ。





秋の句一覧 (2022・8・7~2022・11・6)


雨晴れて庭の一樹に秋の蝉
独唱の息継ぐ音も芸術祭
早暁や長子無口に墓洗ふ
抱くチワワ除き遺影に秋つばめ
暮れの秋エンドロールにポップコーン
秋夕焼け清かに松のシルエット
キャッシュレス不首尾となりぬ秋セール
子の嗚咽途切れて後のちちろ虫
ドアチャイムに箸先止める走り蕎麦
水絡めタイヤの走る雨台風
此はステッキ杖に非ずと秋の道
見つけたる妻の恋文秋の昼
心地よき返事たのみに月の道
秋袷の帯の腰だか尻まろし
秋雲や壁の修理の足場組む
頬杖の手に無精ひげ秋の空
破裂音虫の音の止む闇となり
電柱の影の上歩く秋夕焼
あぶれ蚊や底高く注ぐ薬用酒
バス停に未だ来ぬバス秋湿
秋風や記憶の妻の息継ぐ音
秋陰の厚き雲割る陽のカーテン
手の平の風首辺り秋暑し
刈られたる土手のおちこち虫の声
獣めきアクセルを踏むスーパームーン
秋蝶のゆるり追ひ越す杖の身を
逃げる子も追ふ鬼の子も牛膝
湯の中の二人八十路の虫の声
パスワード失念したる秋セール
野分来て揺るる大樹や夜の更くる
薬石の効未だなく鰯雲
三階に落葉踏む音聞こへざる
破(や)れ庭に香放ちて金木犀


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素人俳句 

2022年09月27日 | 俳句をつくる
素人俳句と自覚しているがいい句は作りたい。
まず、句作りの初めは生活の中で感じたことを五七五でメモをとる。最近の例では、残暑の頃手の平を扇かわりにして風を送る時、蕎麦を啜っている途中にドアチャイムが鳴った時、車のバックファイヤーの音で庭の虫の音が一斉に鳴き止んだ時のメモがある。
 ・手の平の慰めの風秋暑し
 ・ドアチャイム箸を止めたる走り蕎麦
 ・いちどきに虫の音止みぬ破裂音
このメモを、俳句雑誌等に載っている「俳句作りの心得」を頭に入れながら手直ししていく。いろいろあるが今回は「リズムを整える」「説明にならない」「窮屈な表現にならない」を意識した。それを頭に手直していくうちに次の句になった。
 ・扇ぐ手の風の微かや秋暑し      千字
 ・ドアチャイムに止める箸先走り蕎麦  千字
 ・虫の音を闇に沈める破裂音      千字
もつと吟味すれぱいいのだろうが、これでよしとするのが素人俳句‥‥か。
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