おうちBAR開店

本格的なパーティー料理から手抜きお手軽料理まで、私のキッチンから発信します。毎日の出来事を含めて楽しくご紹介。

東北紀行/出羽屋1日目

2013年01月23日 | 旅(国内)
六田麩街道を後にして
向かった先は月山山麓にある
山菜料理旅館の出羽屋さん。
月山に近づくに連れて雪深くなり
旅館の駐車場もモリモリに積もってました^^;


出羽屋

この写真は翌朝撮ったものです。
到着時はそんな余裕すらなかった。。。




玄関の火鉢でやかんがシュンシュン。
冷えきって硬直した掌が溶けるよう。

月山の天然水を温めて贅沢に掛け流している
軟水で熱めのお風呂で身体を温め
待望の夕食へと臨みます。
出羽屋さんは月山山麓で採れる山菜を
先代が創意工夫をこらして編み出した
お料理の数々を楽しめる旅館です。
この地域では有名みたいですね。


さて、お料理を列記します。




菊と木耳の酢胡桃和え

山形は食用菊の一大産地。
出羽屋さんでも多用しているようです。
山胡桃入りの合わせ酢で和えてあります。
菊の何ともいえない食感と香りがいいですね。
木耳の方には和芥子が入って
ピリリとアクセントがついていて美味。




こごみの黒ごま和え

流石に今は栽培ものらしいです。
栽培でもこれだけ美味しいんだから
春になったら天然を食べてみたいな。





もだしのずんだ和え

この辺では名もない美味しい茸をひっくるめて
「もだし」と呼ぶそうです。
秋に採れたもだしを塩漬けにして
食べる分だけ塩抜きしていただく保存食。
それを山形の「秘伝豆」のずんだで和えてます。
少し甘めだけど風味豊か。





ぶなかのか

枯れたブナに群生する茸だそうです。
これを醤油でシンプルに味つけてあり
独特の食感と香りが楽しめます。
香り…野性的なハーブのよう。
余韻も長く印象的な味わい。
これ、本当に美味しかった!




浅葱のおひたし

山形では赤ちゃんみたいな浅葱を
好んで食べるみたいですね。
分葱のように香りは強いのに
浅葱由来の軟らかさがたまりません。






うるいのおひたし

シャキシャキした食感がいいわ。





独活の胡桃和え

栽培ものですが香り高いです。
濃厚な山胡桃の和え衣を纏い
少量で大きな満足を与えてくれる一品。





なめこおろし

天然なめこを上品に味付けしてあります。
シンプルだけど滋味深いわ。





蕨の一本漬け

塩漬けした蕨を塩抜きし
醤油と七味で漬けてあるそう。
極太の蕨の食感と
漬けても尚漂う香りが絶品。





山菜の天ぷら

こごみ、たらの芽、ふきのとう、
アケビの皮「わっか」、筍、
椎茸、天然舞茸。

春の山菜は栽培ものらしいですが
十分美味しいです。
筍は水煮したものみたい。
椎茸と舞茸の香りがたまらない!




鮎の塩焼き

美味しい。








名物・月山山菜そば

山菜そばというと
かけそばに水煮の山菜が
申し訳程度に載っているのを想像しますが
月山の山菜そばは山菜と茸がメイン。
鶏肉の旨味を主体とした汁に
ざくざく山菜と茸が入ってます。



しばらくお鍋として具と汁を味わった後
つけそばとして楽しんだり
鍋にそばを入れて楽しんでみたり。



その為にお蕎麦はかなり太めに打たれてます。


とにかくお出汁が美味しかったです。
汁より具の方が多いのでは?と思うほど
贅沢な山菜と茸に感動しまくり。
だけど…酒飲みの私は食べきれなかった(涙)
今度はペース配分して完食したいものです。



あ、六浄豆腐の写真がない。。。

六浄豆腐とは月山に入山する修験者の携行食。
豆腐に塩を塗ってカチカチになるまで干し
鉋で削って保存食にしたそうです。
それを戻してお澄まし仕立てにしてありました。
買って帰りたかったけれど
月山周辺の道の駅はどこもクローズ。
春まで冬期休業なんですって。
それぐらい普通の暮らしもままならない土地。
だからこそ芽生えた食文化なのですね。
春~秋に採れたものを干したり凍ませたり塩漬け保存。
雪に閉ざされた冬ごもりの時期に大切に頂く。
植物の生命を慈しむこの土地の人々に
心から敬意を払いたいと思った次第です。
出羽屋さんのHPの「出羽屋について」を
是非読んでみて下さい。




本当にご馳走様でした!



出羽屋

東北紀行/六田麩 文四郎麩

2013年01月23日 | 旅(国内)
以前計画はしてみたけれど
交通の便に難ありで行けなかった、
東根市にある六田麩街道を訪れました。



ここは六田麩街道

羽州街道が通る東根市。
紅花や葉煙草などを陸路で結ぶ
交通の要所だったとか。
六田宿として栄え
500年の歴史を持つそうです。
麩の製法が伝えられたのは江戸後期。
海から遠く、ゆき深いこの地域の
貴重なたんぱく源として
食文化に根付きました。
今でも麩を製造する老舗が8件残り
街道と呼ばれる街を成しています。


金沢や新潟など、車麩を作る地域は多いですが
六田の麩が他と違うところは
グルテンの含有量が多いところ。
中学生時代に家庭科の授業で
グルテンの作り方について学びましたが
なんて贅沢なしろものだろう、と驚いたものです。
乾麩が焼き麩や干麩、湿麩が生麩と教わりました。
全ての麩がグルテン100%だと思い込んでいたら
一般に流通する麩は小麦粉主体。
六田麩は昔ながらの製法を大切にしているようです。









創業文久年間の文四郎麩さん


扉をくぐると大女将がニコニコとお出迎え。
憧れて愛知から伺った旨をお伝えすると
驚きながらも喜んで下さいました。
残念ながら吊るされた麩は見ることが出来ず…
この時期は三日にいっぺんしか焼かないんですって。
そうですか~っ、と落胆しまくっていたら
おもてなしの席を調えてくれました。





毎日作る麩の煮物

文四郎さんが毎日お店でおもてなしする麩料理。
シュンシュンに出汁が染みたお麩が美味しい。



奥は牛蒡を挟んだ生麩の揚げ


いただいたお惣菜を頬張りながら
大女将とお話をしていたら
六代目文四郎さんが現れました。
って、後からパンフレットの写真を見て知りました^^;
だって、老舗の旦那というよりは
あまりにも気さくで普通のオジ様ぽかったんだもの。
で、これもどうぞと六代目が勧めてくれたのが




生麩の白和え


これ、大好き!
っていうか贅沢過ぎて家では無理^^;
生麩の切れ端が上品な白和え衣を纏ってます。
本当に美味しいです。




生麩の柚味噌田楽

いろいろお話ししていたら
こんなに素晴らしいものまで出していただきました。
生麩の田楽に目がない私。
目が爛々としていたと思います^^



本当はお昼の懐石が食べたかったけれど
時間の都合で断念していたところ
こんなに素敵なおもてなしをしていただきました。
思わぬ幸せに顔が緩みっぱなし^^





だんご木ならぬ麩木

山形では小正月にだんご木を飾る習慣があるそう。
文四郎さんのところは麩が枝に飾られていました。
女将さんは「写真撮ってね」と誇らしげ。
こういう行事や節目を大切にすること
最近忘れがちだった気がします。



素敵ですね。




ふなせんべい

鯛や宝船など、縁起物を象ったおせんべい。
おせんべいというよりは最中の皮かな。




ご当主ご夫妻から素敵なおもてなしを受け
お麩についていろいろお伺いして
お料理もいただきまして感謝感謝!
老舗で料亭も持つお麩屋さんだからと
思いっきり構えてお邪魔したけれど
とっても気さくで温かかったわ。
訪れることが出来て良かったです。





戦利品



車麩



車麩の切れ端



揚げ麩


冷凍庫には生麩も眠ってます。
我が家の麩の在庫が更に増えました^^;



ありがとうございました!


文四郎麩