ヨーロッパモビリティウィーク&カーフリーデー最新情報

カーフリーデージャパンによるカーフリーデーに関わる最新の動きの紹介

ヨーロッパモビリティウィーク・ロンドン会議2005 ・ヨーロッパ都市交通政策などの報告です

2005年10月03日 16時01分58秒 | ●2005年開催に向けての情報
9月15日から2日間の日程で、ヨーロッパ委員会と2005年のEU議長国イギリスが主催して、2005年のヨーロッパモビリティウィーク&カーフリーデーのスタートをきるロンドン会議に出席してきました。EU諸国の都市交通政策にかかわる関係者、ヨーロッパコーディネーション機関および各国のナショナルコーディネーターが参加して、テムズ川岸のミレニアム事業の一つとして建設したロンドン市庁舎が会場でした。昨年来、日本に数年先立って正式参加している台湾のコーディネーターも渋滞税(Congestion Charge)の学習のため短期留学していたので、今回はアジアから2人の参加となりました。

EUのロンドン会議の圧巻はロンドン市長のプレゼンテーションで、市長として責任を持って必要な政策を実施し、その評価は次の選挙で市民が判断すればいいと、ロンドンの渋滞税の政策議論では一向にひるむ気はないようでした。今では、ロンドンの主な市中心部全域で2003年にスタートしたときの5ポンドから8ポンド(1600円程度)に値上げし、一昨年の末に見たときと比べても、さらに一般車が少なくなり、我々の子供の頃の60年代頃まだ、道路が広く思えた時の様子を見るようで、その効果には改めて驚きました。道路に見えるのは、ほとんどが2階建てバスとタクシーという、今のベトナムよりマイカーがないといえるほど現代都市としては奇妙と思える街の風景となっています。もう金持ち以外街では車を使えないというぐらい社会差別的な料金設定ではないかとも思えるのですが、その効果は、とにかく歴然としたものでした。また、パリの「バスの廊下」事業の牽引者で.一方自転車野郎というあだ名もついているパリ副市長も、責任者の決断とリーダーシップが重要と同様のことを言っていました。
結果は次の選挙で市民が判断してくれればいいと、日本ではほとんど聞けないトップのリーダーシップのとり方、態度は迫力あるものでした。だからこそ、大都市における大胆な都市交通政策の実施は困難であるにもかかわらず、ヨーロッパを代表する2つの大都市が次の時代のあり方を示していることは重要であると思います。
中国の建設大臣も特別ゲストとして呼んでいましたが、我々の問題意識とのズレを感じこれから環境政策で協力体制を組むEUと波長が合うのか心配になりました。ロンドンの市長、副市長、パリ副市長等がいい話しているにもかかわらず、中国の通訳はほとんど内容を伝えていませんでした。
本会議前夜は、イギリス国王の迎賓館で夕食会を開催というプレステージの高い、予想以上にEUもイギリス自体も国として気の入れた会議であることがわかり、環境問題、都市交通問題に対する重要性への日本との認識の差をひしひしと感じさせられました。


ロンドン会議の様子


ロンドンの渋滞税


会議後の週末に、久しぶりにブルッセルに寄ってみました。今年のモビリティウィーク&カーフリーデーの参加都市に登録していなかったのですが、日曜日には全域をカーフリーゾーンとして一日、歩行者と自転車の天国としていました。天気がいいこともあり、家族で自転車を引っ張り出して美しい街の散歩を楽しむ無数の人が街にあふれていました。市の面積32平方キロメートルと思うのですが、地下鉄の線がそっくり入る広大な市域全体をカーフリーゾーンにして、すべての公共交通は無料、多くの市民がサイクリング、ピクニック、散歩等それぞれが都市空間を、また文化資産を楽しんでいました。EU本部や数多くの国際機関、企業を集める都市としての威信をかけているのでしょうが、街全体を舞台に4回目の「車のない日」を行っているのに肝を抜かれました。

ブリュッセルのカーフリーデー


パリでは念願の「パスの廊下」政策をヒアリングしました。40kmの計画のうち延長25kmを2年で整備してしまう4.5m幅員の「パスの廊下」、バス、二輪車、タクシー専用路線は既にクラシックといういい方して、さらに新しいタイプを進めていました。日本と同様未体験の都市空間の利用方法に対する警察の抵抗はそうとうのもののようでしたが、この戦いにおける政治のイニシアティブの重要性はロンドン会議での話と同じでしたが、政治責任をかけてさまざまな紆余曲折を経て実現にこぎつけることができ、今では理解を得ているということでした。日本の社会実験という名で進められている諸トライアルの基本的問題とともにわれわれの社会の現場にかかわる責任者、技術者のあり方を考えてしまいました。今は、さらに、いくつかの新しいチャレンジも進行中で、バス専用レーンを道路中央部にまとめて、将来トラムにもすぐ置き換えられるモンパルナス駅とリヨン駅を結ぶルートを整備中でした。ここでのパリのような大都市の広い道の中央を自転車が悠々と走る風景も新鮮でした。

パリのバス等専用路線


フランスの環境省は新しく「Bougez Autrement」を今年からはじめました。ヨーロッパをリードしてきた「車のない日」の社会イベントを拡大的、方向転換し、「これまでと異なる交通行動を」と意訳出来るのでしょうか、完全に次の段階に入っていました。街における車の問題はすでに社会的に十分認知され、現実の整備も進んでいるので、もう1日だけお祭りのカーフリーデーは役割を終え、さらに都市生活の質を高め、環境にやさしい交通行動をさらに具体的に進めるため、より幅広く、そして、施策の恒常化を前提とする交通週間へと進んでいたのです。
またリヨンでは、2000台、200箇所もステーションを配置したレンタサイクルシステムをはじめていました。この2-3年ほどの間自転車走行空間を整備していましたが、自転車利用環境が整ったこともあるのでしょうが有料にもかかわらず、街のあちこちで赤い自転車の利用者を見かけるなど、半年もあけないうちに、ヨーロッパはどんどんかわっていくさまは、驚きです。

リヨンのレンタサイクルシステム


日本でも、今年は昨年より多く5都市がsupporting cityとして参加を報告することができましたが、台湾のほかに、韓国でもEUに報告していなかったのですが5都市で、さまざまな行動がとられていたようです。
我々はこれからさらにアジアと連携を視野に入れて、われわれの移動、交通の問題、地球環境問題そして、21世紀のより豊かな都市生活の構築のためにこの活動を続けていきたいと思います。

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